【3548】バロックジャパンリミテッド/新型肺炎後の中国出直り鮮明も、大幅減配は不可避か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3548】バロックジャパンリミテッド(東証一部) NT

現在値 639円/100株 PER--.- PBR1.14 2月配当株主優待 8月株主優待

若い女性向けの衣料、服飾雑貨SPA。多品種小ロット、中国・日本が二本柱。
配当実績は2月一括の年38円配当のため、実績ベースの配当利回りは約5.94%となります。

バロックジャパンリミテッドは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末の単元株主に対して2,000円分の買い物券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約12.2%となります。

業績を確認していきます。
■2017年1月期 売上高 694億円、経常利益 53.8億円 EPS 108.3円 
■2018年1月期 売上高 679億円、経常利益 25.5億円 EPS 34.5円 

■2019年2月変 売上高 710億円、経常利益 45.4億円 EPS 81.4円 

■2020年2月期 売上高 658億円、経常利益 45.8億円 EPS 79.2円(4/14)

■2021年2月変 売上高 (未定)億円、経常利益 (未定)億円 EPS (未定)円 ce

2020年2月期は変則決算明けとなるため未監査参考数値との比較となるものの、売上高は前年同期間比2.8%減の679.4億円、経常利益は同6.3%減の45.8億円と実質減収減益となったものの、ほぼ予算水準を確保し、まずまずの仕上がりとなりました。長らく低迷していた売上構成比の大きい「AZUL」を中心とした国内SC向けが復活したほか、ルミネ・パルコ等駅ビル向け「MOUSSY」や、百貨店向けの「EMFOLD」「STACCATO」も底堅く推移したものの、下期から特に4Q期間において消費増税や新型肺炎による春節期間の訪日中国人の減少影響を受け、やや尻すぼみとなりました。また中国事業については、店舗純増36店(期末285店)となり順調に拡大したほか、人民元安の影響を受けつつも為替考慮後でも増益を確保しました。

 

進行期である2021年2月期の通期予算については、新型肺炎による影響を合理的に算出することが出来ないことを理由に未定としています。既に開示済の3ヶ月累計の月次によれば、新型肺炎影響が発現した3月の既存店売上高は76.9%に留まったほか、4月は27.1%まで沈んでいます。5月はGW明けの6日時点までは実店舗全てがクローズしていたものの、月末時点では8割が営業を再開しており、41.1%まで持ち直しています。そのため、新型肺炎影響は1Qだけでは織り込み切れず、2Q期間も相応のダメージが続くとみられます。一方、一足早く新型肺炎が一巡した中国事業については、決算取込時期が当社から3ヶ月遅れとなるものの、ほぼ全ての店舗が営業再開しているほか、3月単月の卸売上は前年同月比140.5%まで急回復しているため、“第2波”の影響次第ではあるものの、早期回復の期待がかかります。


今期は減額ローリング後の新5年中計の2年度目となっており、4年後の2024年2月期に売上高1,000億円(CAGR10%)、経常利益は87億円(CAGR17%)を目指しています。基本的な考え方として、当社は既に国内を成熟市場として捉えており、構成比が高いSC向けの「AZUL」での資金回収を進めつつつも、今後は「MOUSSY」「EMFOLD」等の将来性のある少数のブランドに絞って育成し、積極的に海外展開していく方針です。この5年間で海外売上比率を1/3まで引き上げるとともに、その後は国内外を逆転させる青写真を描いており、(民主化デモの影響で完全に裏目だったものの)香港事業については2019年に全店直営店化するなどしています。

 

中国事業については、現地イコールパートナーの靴小売大手の百麗国際(旧HK:1880)が進めるEC再定義戦略“NEW RETAIL(ネットと実店舗の融合)”を共同推進しています。依然先行投資の期間であり、RFID(電子タグ)を導入はしているものの、在庫確認やMD半自動化といったサプライ側でしか活用されていないため、今後は購買履歴捕捉やEC・店舗間連携といったマーケティング側での活用が望まれます。EC化についても、アリババのTmallへの出店強化と日本企画商品の供給増により、中国事業の方が伸びが良好ですが、EC化率はそれでも10%(国内事業は13%)に過ぎず、伸びシロが多いとみることも出来そうです。


なお株主還元については、「公表配当性向の30~40%」を堅持することを明らかにしていますが、それでも年38円の配当額については、今回未定に変更していることから、利益の減少に応じて大幅な減配となる公算が高そうです。ただ期末時点の自己資本比率は50%超と良好な水準となっているため、もし通期で赤字に転落するようなことがあっても、安定配当的側面から一気に無配までいくことはないかと思います。

 

*参考記事① 2019-12-30 977円 OP

上期好調も下期失速気味で、通期達成は微妙・バロックジャパンリミテッド(3548)。

 

*参考記事② 2019-06-20 891円 OP

中国事業足踏みも、全社的には復調気配・バロックジャパンリミテッド(3548)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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