【3548】バロックジャパンリミテッド(東証一部) ---
現在値 891円/100株 PER11.2 PBR1.68 2月配当株主優待 8月株主優待
若い女性向けの衣料、服飾雑貨SPA。多品種小ロット、中国・日本が二本柱。
配当金は2月一括の年38円配当のため、配当利回りは約4.26%となります。
バロックジャパンリミテッドは株主優待制度を実施しており、7月・2月の単元株主に対して
2,000円分の買い物券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約8.75%となります。
業績を確認していきます。
■2016年1月期 売上高 687億円、経常利益 61.4億円 EPS 134.9円
■2017年1月期 売上高 694億円、経常利益 53.8億円 EPS 108.3円
■2018年1月期 売上高 679億円、経常利益 25.5億円 EPS 34.5円
■2019年2月変 売上高 710億円、経常利益 45.4億円 EPS 81.4円
■2020年2月変 売上高 679億円、経常利益 47.2億円 EPS 79.0円 ce
□2019年8月中 売上高 315億円、経常利益 13.5億円 EPS 20.6円 四e
2019年2月期は13ヵ月変則会計期間のため、前期との単純な比較は出来ないものの、
売上高は中間時点の修正見通比1.5%減の710億円、経常利益は同5.8%増の45.4億円で
の着地となりました。売上構成の大きい「AZUL」を中心とする国内のSC向けブランドは、
暖冬影響やセールの不振により苦戦が継続したものの、ルミネ・パルコ等に代表される
駅ビル向けの「MOUSSY」や、百貨店向けの「EMFOLD」「STACCATO」が好調に推移
しました。利益面については、プロパー販売比率の増加やMD見直しによる商品ミックス
が奏功したことにくわえ、他社ECサイトでの割引圧縮と自社ECサイトへの誘導により、
利益率が良化しました。成長が続く中国事業の出店については、店舗純増が22店となり
出店未達となったほか、卸売上も小売会社サイドの在庫効率化のあおりで減少したため、
一転して好調な国内事業の足を引っ張る格好となりました。
変則明けで12ヶ月決算に復帰する進行中の2020年2月期の予算については、売上高が
前年同期間比変わらずの679億円、経常利益は同1.1%増の47.2億円と事実上の横ばいを
予想しています。予算の前提となる既存店売上高は、102.6%と強い設定をしていますが、
これは足許で年率16%程伸長しているECサイトの売上を包含した数値設定となっています。
国内出店については、新店21店・退店17店のネット4店の純増を計画しているほか、別途
改装を21店で実施する計画であり、今期はどちらかと言うと出店成長よりも、S&Bを軸とし
た採算性改善を重点施策に据えています。一方、拡大の続く中国事業については、今期
も引き続き出店攻勢を続ける計画であり、期末時点の249店からネット20~30店程の店舗
数の純増を前提としているものとみられます。なお、既に開示されている月次の売上情報
によれば、1Q既存店売上は99.8%で着地しており、進捗は若干ビハインドと判断されます。
今期は当初4年中計の3年度目の位置付けとなっており、最終年度である翌2021年1月期
に売上高1015億円、経常利益119億円を見込んでいましたが、今期初のタイミングで打ち
切りとし、事実上大幅減額した上でロールしています。新中計は5年間となっており、2024
年2月期に売上高1,000億円(CAGR10%)、経常利益は87億円(CAGR17%)を新たな目標に
据えています。基本的な考え方として、当社は既に国内は成熟市場として捉えており、
「AZUL」に代表されるSC向けのブランドで、FCから安定的に資金回収しつつも、主力を
「MOUSSY」「EMFOLD」等少数に絞って育成し、積極的に海外展開していく方針であり、
この5年で海外売上比率を1/3まで引き上げ、その後は逆転させる青写真を描いています。
海外事業を注力する上で計算違いだったのは、中国のイコールパートナーで、靴小売大手
の百麗国際(旧HK:1880)が、投資会社のHillHouseに買収されてしまったことであり、同社の
進めるEC再定義戦略“NEW RETAIL(要はネットとリアル店舗の融合みたいなこと)”を共同
で推進することとなりました。現時点ではその過渡期となっており、十分最適化されていない
上に初期投資が嵩んでいるため、中国事業は踊り場に突入してしまっているものの、当社
はこの“NEW RETAIL”をRFIDなどの導入を通じて、国内事業でも実践していくことを志向し
ていますが、浸透までには相当な時間要すると考えられるため、現時点では新5年中計に
掲げる業績定量目標については、過大な計画であると考えています。
なお株主還元については、欠損状態だった利益剰余金が既にプラスへ転じていることから、
公表配当性向の30~40%が維持される公算が高そうです。これは当社の上位株主が百麗
国際(と親会社の投資会社HillHouse)であることや、同じく大株主のオリックスも純投資目的
で保有していることも遠因かと思いますが、多少業績が悪くなっても年38円の配当額につい
ては、簡単に揺るがないものと判断しています。
*参考記事① 2018-12-14 1,002円 ---
決算期変更でドサクサの減額も、内容はやや良化の気配・バロックジャパンリミテッド(3548)。
*参考記事② 2018-05-06 1,154円 ---
頼みの百麗国際はMBOでファンド傘下へ、高配当続く・バロックジャパンリミテッド(3548)。
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