頼みの百麗国際はMBOでファンド傘下へ、高配当続く・バロックジャパンリミテッド(3548)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3548】バロックジャパンリミテッド(東証一部) ---

現在値 1,154円/100株 PER12.6 PBR2.36 2月配当優待(変) 7月優待

若い女性向けの衣料、服飾雑貨SPA。多品種小ロット、中国・日本が二本柱。
配当金は2月に一括38円配当のため、配当利回りは約3.29%となります。

バロックジャパンリミテッドは株主優待制度を実施しており、7月末・2月末の単元以上

の株主に対して2,000円分の買い物券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約

6.75%となります。

業績を確認していきます。
■2015年1月期 売上高 625億円、経常利益▲8.7億円 EPS ▲74.8円
■2016年1月期 売上高 687億円、経常利益 61.4億円 EPS 134.9円
■2017年1月期 売上高 694億円、経常利益 53.8億円 EPS 108.3円 
■2018年1月期 売上高 679億円、経常利益 25.5億円 EPS 34.5円 (3/15)

■2019年1月期 売上高 713億円、経常利益 47.8億円 EPS 90.7円 ce暫定
□2018年7月中 売上高 310億円、経常利益 6.0億円 EPS 11.1円 四e

2018年1月期の売上高は前期比2.2%減の679億円、経常利益は同52.5%減の25.5億円と

なり減収減益となったほか、中間時点での下方修正予算を更に下回って着地しました。

売上構成の大きい「AZUL」を中心とする国内のSC向けブランドの苦戦が継続したほか、

ルミネ等向けの「RODEO CROWNS」も施設集客減の影響を受けました。一方、駅ビル

向けの「MOUSSY」や百貨店向けの「EMFOLD」は健闘したものの、全社業績を底上げ

するには至らず、国内事業における既存店売上高は前期比91.6%へ大きく沈みました。

成長が続く中国事業については、店舗純増40店となり、概ね期初計画通りに推移した

ほか、この店舗数の増加に伴って卸での売上高は前期比で3割強も伸長しました。


進行期である2019年1月期の予算については、売上高が4.9%増の713億円、経常利益

は87.0%増の47.8億円と、一転して増収増益を予想しています。苦戦の続く国内事業に

おいてはポイント会員アプリの導入による店舗・自社ECの売上最適化や、店員を中心

とするインフルエンサーの最大活用による売上強化、利益については主力商品の強化

による商品絞り込み等のMD再構築を実施し、発注をコントロールする方針です。他方

堅調な中国事業については、今期も年間50店舗ほどの純増を計画しています。なお、

月次売上高は既に2ヶ月分が開示されていますが、累計97.3%水準で推移しています。


今期は4年中計の2年度目となっており、最終年度である2021年1月期に売上高694→

1015億円(CAGR10%)・経常利益は53.8→111.9億円(CAGR20%)と連続で2桁成長を

計画していましたが、僅か1年で頓挫確実な情勢になっています。また、本来であれば

今回決算の際に減額ローリングがなされる予定でしたが、今期から小売業界の慣習や

在庫都合を理由に、決算期を2月末へと変更する方針を急遽明らかにしました。そして

2019年2月期としての予算は“集計中”としており、一旦煙に巻いた形になっています。

中国事業における出店はまずまず順調に推移しており、今期も期末店舗数227店から、

純増で50店ほどの積増しを計画しています。やや気掛かりなのは、中国事業における

(ほぼ)イコールパートナーである靴小売り大手の百麗国際(HK:1880)が、自社ブランド

靴「BeLLE」小売等の販売不振から経営不振にあえいでおり、この1年で700店舗以上

を閉鎖してリストラした挙句、最終的にはMBOで上場廃止となりました。新しく同社の

株主となったHillHouseは、テンセントやJD.comに投資実績のあるIT特化の投資会社

として有名ではありますが、中国でのEC事業での協業はともかくとしても、当社サイド

に(不利な)注文がついてくる可能性を孕んでいるため、今後は要注意と言えます。


その一方、株主還元については、欠損状態だった利益剰余金がプラスへと転じている

こともあり、公表通りの配当性向30~40%を基準とし、実績期も38円が配当されました。

(実際は2回の下方修正で配当性向110%のタコ配)。また、驚くべきことに2019年2月期

についてもこの配当性向レンジ上限を超える?38円配当の維持が予想されています。

やはり筆頭株主の百麗と投資会社であるHillHouse、大株主であるオリックスの存在

は大きく、高値でIPOした時の公募資金が手許にあるうちは、多額の配当を吐き出し

ていく可能性は少なくないと思われます。“抜け殻”になった後は知りませんが・・・。

 

*参考記事① 2017-11-13 965円 ---

「AZUL」苦戦で再減額含みも、高配当予想は据置・バロックジャパンリミテッド(3548)。

 

*参考記事② 2017-05-17 1,267円 --

中国提携先は強力だが、本邦が微妙。バロックジャパンリミテッド(3548)。

 

 

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