中国提携先は強力だが、本邦が微妙。バロックジャパンリミテッド(3548)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3548】バロックジャパンリミテッド(東証一部) ---

現在値 1,267円/100株 PER10.0 PBR2.72 1月配当優待 7月優待

若い女性向けの衣料、服飾雑貨のSPA。多品種小ロット、中国・日本が二本柱。
配当金は1月に一括38円配当のため、配当利回りは約3.00%となります。

バロックジャパンリミテッドは株主優待制度を実施しており、1月末・7月末の
単元以上の株主に対して2,000円分の買い物券を進呈しておりますので、配当
優待利回りは約6.15%となります。

業績から確認していきます。当社は昨年11月のIPO銘柄です。
■2015年1月期 売上高 625億円、経常利益▲8.7億円 EPS ▲74.8円
■2016年1月期 売上高 687億円、経常利益 61.4億円 EPS 134.9円
■2017年1月期 売上高 694億円、経常利益 53.8億円 EPS 108.3円 
■2018年1月期 売上高 762億円、経常利益 66.4億円 EPS 126.1円 ce
□2017年7月中 売上高 345億円、経常利益 22.0億円 EPS 38円 四e

2017年1月期の売上高は前期比1.1%増の694億円、経常利益は同12.3%減
の53.8億円となり、11月1日の上場時点からの起算では約3ヶ月間しか予想
期間がない筈だった増収増益の計画を、大きくショートさせて落着しました。
未達の原因は主に国内事業の低調であり、下期の天候不順と定価販売により
客離れが起きたようです。国内既存店は通年91.8%へ大きく沈んでいます。

また進行期である2018年1月期の売上高は9.7%増の762億円、経常利益は
23.4%増の66.4億円を予想しています。国内事業は前の期からのリバウンド
と、出店及びS&Bによる収支改善を見込んでいます。期末店舗数は計358店
ですが、前の期同様S&Bにより、純増ベースで20店の新店を計画しています。

なお第二の柱となる中国事業は比較的順調に推移しており、今期についても
期末店舗数計187店から純増ベースで60店ほどを計画しています。特にこの
中国事業が当社最大の特色であり、現地パートナーの百麗国際(HK:1880)は
深圳に本拠地を置き、中国本土に靴・衣料小売店舗を2万店抱える、中国では
有名な小売業者です(売上高7000億円超、時価総額5000億円超)。百麗国際
とは卸売会社と小売会社をそれぞれ約半々の持ち分で持ち合っており、卸売
が持分投資利益、小売が少数株主利益として当社業績にオンされる構造です。
国内は微妙ですが、中国は百麗が強力なため、店舗数の激増が見込まれます。

今期は4年中計の初年度となっており、最終年度の2021年4月期に、売上高
694→1015億円(CAGR10%)・経常利益は53.8→111.9億円(CAGR20%)
と向こう4年に渡って2桁の売上・利益成長を目論んでいます。海外売上比率
を2割程度まで向上させる計画であり、利益を半分持っていかれるとはいえ、
利幅の取れるロイヤリティ収入で入るので、ひとえに中国次第と言えます。
(いきなりの未達決算を踏まえると、定量目標値はかなり野心的な印象です)

ちなみに株主還元については、これまで欠損状態だった利益剰余金が今期
よりプラスに転じたため、配当方針に関しても配当性向30~40%を基準と
した高率の株主還元を始めています。上場時の公募で80億円(@2000円)を
調達した時よりも株価位置が相当低い状況での大幅増配(10→38円)なので
資本政策的にどうなんだ・・・という話は当然ありますが、当社の筆頭株主は
百麗の完全子会社であり、他の株主もファンドやオリックスなので、公募で
調達した資金であろうと色はなく、容赦なく配当に回されると推察されます。


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