【3548】バロックジャパンリミテッド(東証一部) ---
現在値 1,002円/100株 PER13.43 PBR2.15 2月配当優待(変) 7月優待
若い女性向けの衣料、服飾雑貨SPA。多品種小ロット、中国・日本が二本柱。
配当金は2月に一括38円配当のため、配当利回りは約3.79%となります。
バロックジャパンリミテッドは株主優待制度を実施しており、7月・2月の単元株主に対して
2,000円分の買い物券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約7.78%となります。
業績を確認していきます。
■2015年1月期 売上高 625億円、経常利益▲8.7億円 EPS ▲74.8円
■2016年1月期 売上高 687億円、経常利益 61.4億円 EPS 134.9円
■2017年1月期 売上高 694億円、経常利益 53.8億円 EPS 108.3円
■2018年1月期 売上高 679億円、経常利益 25.5億円 EPS 34.5円
■2019年2月変 売上高 720億円、経常利益 42.9億円 EPS 74.3円 ce修正
□2018年7月中 売上高 311億円、経常利益 11.2億円 EPS 17.1円(9/14)
2018年7月中間期の売上高は前年同期比1.6%増の311億円、経常利益は同黒字転換
の11.2億円となり増収増益となったほか、期初予想との比較はないもののコンセンサス
水準を上回って着地しました。売上構成の大きい「AZUL」を中心とする国内のSC向け
ブランドは苦戦が継続したものの、パルコ・ルミネ等向けの「MOUSSY」や百貨店向けの
「EMFOLD」がプロパー販売比率の増加やMD見直しによる品揃えの強化により、好調
に推移し、国内事業における既存店売上高は昨年対比で98.8%に踏みとどまりました。
成長が続く中国事業の出店については店舗純増9店となり、通期計画の50店に対して
出遅れており、卸売上も在庫効率化のあおりで減少したため、伸び悩みとなりました。
なお、今期から決算期間を変更予定であり、中間決算開示のタイミングで、既に開示済
の12ヶ月予算から、1ヵ月伸ばして13ヵ月予算となる2019年2月期の予算を修正開示し
ています。売上高が6.1%増の720億円(従予:713億円)、経常利益は67.9%増の42.9億円
(従予:47.8億円)と、増収増益予算は据え置いたものの、内容的には下方修正になって
います。これは新たに数字を取り込む2月が例年赤字月ということや、国内事業は持ち
直しつつあるものの、今期も既存店の月次売上高が恒常的に前年割れしており、予算
前提に届いていないほか、台風や地震などの災害の影響も一定程度織り込んで減額
した模様です。また、中国事業も既述の通り出店が遅れていることや、“NEW RETAIL”
構想というEC再定義戦略の最中で、業績の過渡期となっていることが影響しています。
今期は4年中計の2年度目となっており、最終年度である2021年1月期に売上高694→
1015億円(CAGR10%)・経常利益は53.8→111.9億円(CAGR20%)と連続で2桁成長を
計画していましたが、初年度時点で既に頓挫確実な情勢となっていました。そのため、
今般の決算期変更にともない内容が見直される(減額ローリングされる)ことが既に明
らかになっており、2019年2月の本決算発表時に再度開示される予定となっています。
開示予定の新中計では、国内事業はアプリ強化やEC拡大、拡大余地のあるスポーツ
ブランド「MOUSSY STUDIOWEAR」の展開拡大などの戦略が盛り込まれるとみられま
すが、国内事業はもはや成長のドライバーとしては捉えていないものと考えています。
そのため、基本的には中国事業におけるイコールパートナーである靴小売り大手の
百麗国際(旧HK:1880)及び、同社親会社となった投資会社のHillHouseが着手している
EC再定義戦略“NEW RETAIL”戦略を共同で推進し、マーケティングはもとより店舗や
在庫のデジタル化により中国事業での飛躍的な業容拡大を目指すものとみられます。
ただ、当社側としては、中国の共同事業で“NEW RETAIL”戦略でノウハウを蓄積し、
米国等の他国において単独で展開することが真の意図とみられ、その辺りの戦略が
次の中計で明らかになるかどうかが、当社における次の投資論点となりそうです。
株主還元については、欠損状態だった利益剰余金が既にプラスへ転じていることから、
高水準の株主還元にはなるものの、公表配当性向の30~40%が維持される見通しです。
これは当社の上位株主が百麗国際(と親会社の投資会社HillHouse)や、オリックスで
占められていることによる“吐き出し目的”が背景にあるものと推察されますが、今期
は晴れてタコ足配当を脱出できそうな雰囲気もあるので、まぁ許容範囲かと思います。
*参考記事① 2018-05-06 1,154円 ---
頼みの百麗国際はMBOでファンド傘下へ、高配当続く・バロックジャパンリミテッド(3548)。
*参考記事② 2017-11-13 965円 ---
「AZUL」苦戦で再減額含みも、高配当予想は据置・バロックジャパンリミテッド(3548)。
![]() |
新品価格 |
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。