親会社さながらのMAによる外部成長に舵、SFPホールディングス(3198)。  | なちゅの市川綜合研究所

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【3198】SFPホールディングス(東証1部) --- 

現在値 1,765円/100株 PER28.3 PBR 2.92 2月配当優待 8月配当優待

居酒屋「鳥良」「磯丸水産」が主力。クリエイト・レストランツHD傘下。
配当は年2回・合計26円予想のため、配当利回りは1.47%となります。

SFPホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末の単元株主に対して、

それぞれ4,000円分の食事券を進呈していますので、配当優待利回りは約6.00%となります。

業績は下記の通りとなっております。
■2016年2月変 売上高 140億円、経常利益 15.6億円 EPS 31.7円
■2017年2月期 売上高 359億円、経常利益 35.6億円 EPS 71.0円 

■2018年2月期 売上高 368億円、経常利益 38.2億円 EPS 100.1円 

■2019年2月期 売上高 377億円、経常利益 32.2億円 EPS 75.6円 

■2020年2月期 売上高 390億円、経常利益 27.0億円 EPS 61.9円 ce
□2019年8月中 売上高 195億円、経常利益 13.6億円 EPS 30.7円 ce

2019年2月期の売上高は前期比2.5%増の377億円、経常利益は同15.8%減の32.2億円での

落着となり、一転して減益となったほか、売上・利益共に期初予算を下回りました。出店は

計画の20店に対して実績15店と未達になったものの、業態転換についてはほぼ計画通りと

なる26店で改装を完了したため、トップラインは抑制された一方、改装・休業コストが確り

発生した格好となりました。業態別では主力の「鳥良」「磯丸水産」ともに既存店売上高が

96%~97%に留まったほか、改装後の転換先業態である「いち五郎」「五の五」についても

想定を下回る売上に留まっており、見せ場の少ない内容となりました。


進行期である2020年2月期の通期予算については、売上高が3.3%増の390億円、経常利益

は16.2%減の27.0億円と期初段階から連続減益を見込んでいます。「鳥良」「磯丸水産」が

低迷している状況のため、出店を7店までペースダウンするとともに、不採算店8店を閉鎖

する計画となっており、今期は業績成長を諦めてS&Bによる採算性の改善に注力します。

なお、本年3月1日に熊本で地場居酒屋チェーンを展開するジョースマイルを買収しており、

同社の業績(売上高約14億円・経常利益約1.5億円)が通期にわたってフルに寄与しますが、

この買収が成就していなかった場合は、今期は減収減益予算だったということになります。


当社はローリング式の従来3年中計で、2021年2月期に売上高500億円(CAGR10%)、経常

利益45.0億円(CAGR6%)を計画していましたが、今回の決算で1年先へとロールしており、

最終年度の2022年2月期の目標値として売上高500億円(CAGR16%)、経常利益42.0億円

(CAGR9%)に数字を置き換えているため、今回のロールにより大きく下方修正しています。

従来計画では、期当たり40店レベルの新規大量出店をドライバーとした外部成長が基本

的な戦略でしたが、「鳥良」「磯丸水産」の失速にともない、MAを中心とした“飛び道具”の

活用による成長戦略へと方針転換しています。親会社のクリレスHDの中計目標が基本的

にMA抜きのオーガニック成長を前提としている点で好対照となっており、今期初における

ジョースマイルの買収のように、地方の飲食チェーン店を買収していく計画となっています。

 

当社はクリレスHDとは異なり、業態力も業態ポートフォリオも弱いため、地方の有力業態

を“輸入”して当社の地盤の首都圏などで展開するほか、逆に地方チェーンの不採算店に

廉価業態の「鳥良商店」「いち五郎」「五の五」を“輸出”してシナジーの創出を図ります。

足許では長野の飲食チェーンであるクルークダイニング(売上高約10億円・経常利益僅少)

も買収しており、2Q途中から業績にオンされます。

 

なお買収余力については、2014年のIPO時に約130億円もの巨額の調達を実行しており、

その後クリレスHDに対する自社株買いで約半分をかすめ取られてしまったものの、依然と

して盤石な財務体質を誇っているため、当面は手金や新規借り入れなどでバンバン買収

出来る余力があるものと考えています。そのため、MAを軸に据えた(ある意味割り切った)

成長シナリオは、少なくとも外形的には一定の蓋然性があると判断しており、まずは新中計

初年度の数字の仕上がりに注目したいと思います。

 

株主還元については、実質無借金状態が継続しているものの、上記のような方針転換から

年26円の配当を維持し、財務面を温存していく公算が強そうです。

 

*参考記事① 2018-12-19 1,637円 ---

駅前餃子業態は「日高屋」寄りへと迷走中、SFPホールディングス(3198)。


*参考記事② 2018-05-28  2,035円 ---

総額70億超のメガトン級自社株買いで“親孝行”、SFPホールディングス(3198)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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