駅前餃子業態は「日高屋」寄りへと迷走中、SFPホールディングス(3198)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_3801.jpg

【3198】SFPホールディングス(東証2部) --- 

現在値 1,637円/100株 PER18.0 PBR 2.84 2月配当優待 8月配当優待

居酒屋「鳥良」「磯丸水産」が主力。クリエイト・レストランツHD傘下。
配当は年2回・合計26円予想のため、配当利回りは1.59%となります。

SFPホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末の単元株主に対して、

それぞれ4,000円分の食事券を進呈していますので、配当優待利回りは約6.47%となります。

業績は下記の通りとなっております。
■2015年9月期 売上高 286億円、経常利益 33.3億円 EPS 74.8円
■2016年2月変 売上高 140億円、経常利益 15.6億円 EPS 31.7円
■2017年2月期 売上高 359億円、経常利益 35.6億円 EPS 71.0円 

■2018年2月期 売上高 368億円、経常利益 38.2億円 EPS 100.1円 

■2019年2月期 売上高 396億円、経常利益 38.5億円 EPS 90.9円 ce
□2018年8月中 売上高 187億円、経常利益 15.0億円 EPS 34.6円(10/12)

2019年8月中間期の売上高は前年同期比1.1%増の187億円、経常利益は同26.2%減の15.0

億円と減益となったほか、売上・利益ともに予算比96%程度での仕上がりとなりました。新規

出店は通期計画の20店に対して、8店の出店を済ませたほか、業態転換は通期計画29店に

対してこの上期で25店もの転換を済ませたため、その費用が嵩んだ格好となります。主力の

「磯丸水産」の既存店売上高は足元で94.9%まで落ち込んでおり、底が見えない状況が継続

しているため、「磯丸水産」を「鳥良」の廉価版である「鳥良商店」へ転換する動きを加速し

いますが、好採算の「磯丸水産」よりも利幅が薄いため、利益率の低下が懸念されます。


2019年2月期の通期予算については期初予想を据え置いており、売上高が前期比7.5%増の

396億円、経常利益は微増の38.5億円を予想しています。既述のとおり上期で「磯丸水産」

の不振店の業態転換が相当進んだものの、新店出店の進捗率が良くないため、期中での

上乗せ分が限定的となるほか、9月に豪雨や地震の影響を一定程度受けたとみられるため

期初予算の据置きは荷が重く、未達濃厚圏と思われます。


当社はローリング形式による3ヵ年中計を公表しており、最終年度の2021年2月期に売上高

500億円(CAGR10%)、経常利益45.0億円(CAGR6%)を計画しています。基本的には新規出店

をドライバーとした外部成長を軸とする計画となっており、今期20店、来期・再来期は40店

の出店を見込んでおり、最終年度で300店体制の構築を目標としています。ただ、業態開発

が甘く、それなりの出店数となった「鳥良商店」や「いち五郎」も、所詮は「磯丸水産」向けに

賃借した駅前の高賃料店舗の定期借家契約の解約ペナルティ回避を目的としたかのような

つなぎ的性格が強いため、“一等立地マルチコンテンツ戦略”などという後付けの成長戦略

を会社側の言い分通りに受け取ることは難しい状況です。

 

特に「磯丸水産」から餃子業態の「トラ五郎」切り替えたものの、やはり上手くいかず「トラ

五郎食堂」という、他社業態である「ダンダダン酒場」と「日高屋」を足して2で割った様な

業態に再転換する等、迷走している店舗が数店みられます。「トラ五郎食堂」はラーメンを

490円、生ビールを290円で提供したりと、限りなく「日高屋」フォーマットへ近づいており

「ダンダダン酒場」のように餃子自体の商品力で勝負が出来ない証左と言えますが、家賃

や人件費が変わらないまま、業態転換により客単価は順調に落ちているとみられるため、

既存店の採算性悪化が懸念されます。

 

なお、株主還元については、本年3月に親会社のクリレスHD(など)から、約76億円に及ぶ

自社株をTOB(@2,030円)で買付しており、最終的に発行済株式の13%もの大量の自社株

を消却しました。これによりクリレスHDは10%の持ち分を手放しましたが、売却前と殆ど

変わらない保有比率を維持しているため、株主還元というよりはクリレスHDへ“上納金”

を支払った性格が強いものとなっています。これで2014年12月のIPO時に集めた130億円

(@1,940円)の公募資金の約半分を親のクリレスHDに抜かれてしまった格好となりますが、

自社株TOBにより財務が悪化してなお自己資本比率は7割強を堅持しているほか、実質

無借金となっているため、減益含みでも年26円の配当は維持される公算が強そうです。

(※本来論では、発行済株式数が大きく減っているので、増配しないとおかしい)

*参考記事① 2018-05-28  2,035円 ---

総額70億超のメガトン級自社株買いで“親孝行”、SFPホールディングス(3198)。

*参考記事② 2017-11-22  1,943円 ---
念願の公募価格奪回で大還元時代へ、SFPホールディングス(3198)。

 

 

会社四季報 2019年1集新春号 [雑誌]

新品価格
¥2,200から

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村