総額70億超のメガトン級自社株買いで“親孝行”、SFPホールディングス(3198)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3198】SFPホールディングス(東証2部) --- 

現在値 2,035円/100株 PER25.1 PBR 2.82 2月配当優待 8月配当優待

居酒屋「鳥良」「磯丸水産」が主力。クリエイト・レストランツHD傘下。
配当は年2回・合計26円予想のため、配当利回りは1.28%となります。

SFPホールディングスは株主優待制度を実施しており、2末・8末の単元株主に対して、

其々4,000円分の食事券を進呈していますので、配当優待利回りは約5.20%となります。

業績は下記の通りとなっております。
■2015年9月期 売上高 286億円、経常利益 33.3億円 EPS 74.8円
■2016年2月変 売上高 140億円、経常利益 15.6億円 EPS 31.7円
■2017年2月期 売上高 359億円、経常利益 35.6億円 EPS 71.0円 

■2018年2月期 売上高 368億円、経常利益 38.2億円 EPS 100.1円 

■2019年2月期 売上高 396億円、経常利益 38.5億円 EPS 90.9円 ce
□2018年8月2Q 売上高 193円、経常利益 15.6億円 EPS 34.5 ce

2018年2月期の売上高は前期比2.5%増の368億円、経常利益は同7.5%増の38.2億円となり

売上高は予算に若干足りなかったものの、利益は予算クリアで着地しました。出店は通期

計画の20店に対して、18店の出店を済ませたほか、7店の既存店改装と7店の閉鎖により、

不採算店の整理が進みました。ただ、主力の「磯丸水産」の既存店売上高は96.8%と低調

に推移しており、かような背景から「磯丸水産」を「鳥良」の廉価版業態である「鳥良商店」

へと転換する動きが目立ちました。なお、期末の総店舗数は218店になっています。


2019年2月期通期の予算については、売上高が7.5%増の396億円、経常利益は0.6%増の

38.5億円を予想しています。「磯丸水産」の大量出店で家賃の高い一等地を長期定借で

借りまくってしまったため(!?)、不採算店を業態転換でしのぐ“後付けの成長戦略”に注力

するほか、老朽化の進む「磯丸水産」の経年店舗に改装投資をするため利益が伸び悩み

ます。なお、出店については前の期と同水準の20店程度を見込んでおり、これまで東京

・大阪圏にほぼ絞っていた展開エリアを地方主要都市へと拡大します。


なお当社はローリング形式の新3年中計を公表しており、最終年度となる2021年2月期に

売上高368→500億円(CAGR10%)、経常利益38.2→45.0億円(CAGR6%)を目指しています。

従前中計は1年前の2020年2月期時点で売上高470億円、経常利益47.0億円(CAGR9%)

を目指していたため、これまでより更に成長ペースが鈍化します。出店については今期

20店程度となるものの、来期・再来期は40店程度を見込んでおり、最終年度で300店舗

の展開を目標にしています。
 

基本的な戦略としては、冒頭でも触れたとおり「磯丸水産」で上手くいかなかった店舗を

「鳥良商店」や餃子業態の「トラ五郎」に随時切り替えていく形となりますが、これ以外の

受け皿業態として、更に廉価型業態の「大衆酒場ホームベース」、「大衆酒場五の五」を

開発しており、場合によっては同一立地で業態を三回転させることも視野に入れている

ものと推察されます。中には立ち飲み業態もあるため、トリドールHD傘下の会社が運営

する「晩杯屋」インスパイアと思われますが、この辺がヨシックスに訴えられた「磯丸すし」

と正に同じような展開であり、当社のイマイチな業態開発力が垣間見れるところです。

 

そんなわけで、足元の業績や中長期の展開は可もなく不可もなくという感じなのですが、

特筆すべきは株主還元であり、本年2月までに約12億円の自社株の購入枠を設定して

いましたが、親会社のクリレスHD(など)を相手先とした自社株のTOB(@2,030円)により、

最終的には発行済株式の13%に迫る約76億円ものメガトン級の自社株買いを実行して

おり、これを3月22日にすべて消却しています。これによりクリレスHDも10%強の持ち分

を手放しましたが、売却前と殆ど変わらない保有比率を維持することに成功しています。

 

これで2014年12月のIPO時に集めた約130億円(@1,940円)の公募資金のうち、半分強

を一気に市場から引き上げた形となりました。まぁ公開価格水準をクリアしているので、

当初株主への義理は果たした格好になりますが、クリレスHDに良いように利用されて

いる印象は強く、自社株買いにより一旦財務が悪化してしまいますが、財務の復元後

は遠慮ない増配による吐き出しで大株主に報いていく展開を予想します。

*参考記事① 2017-11-22  1,943円 ---
念願の公募価格奪回で大還元時代へ、SFPホールディングス(3198)。

*参考記事② 2017-05-29 1,434円 ---
「トラ五郎」は業態転換向けフォーマットか、SFPダイニング(3198)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
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