【3252】日本商業開発/マーキュリアからのツノダ全株買収で、当座の売却玉を確保か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3252】日本商業開発(東証一部) BY

現在値 1,763円/100株  P/E 11.1  P/B 1.22  12月配当株主優待 6月株主優待

スーパーなどテナントの商業施設建設を前提に底地取得、売却益を狙う。私募REITも。
配当金(12ヶ月実績ベース)は3月末の一括の50円で、配当利回りは約2.84%となります。

 

日本商業開発は株主優待制度を実施しており、12月末・6月末に3単元以上を保有する株主に対して、3,000円分のジェフグルメカードを進呈しておりますので、3単元保有時における配当優待利回り(12ヶ月実績ベース)は約3.97%となります。
 

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 312億円、経常利益 30.4億円 EPS 109.6円 

■2019年3月期 売上高 398億円、経常利益 43.2億円 EPS 149.3円 

■2020年3月期 売上高 741億円、経常利益 46.0億円 EPS 174.9円 

■2020年12月変 売上高 298億円、経常利益 21.5億円 EPS 89.9円 9M変則

■2021年12月期 売上高 510億円、経常利益 42.0億円 EPS 158.5円 ce 

□2021年6月中 売上高 266億円、経常利益 24.4億円 EPS 94.9円(8/12)

2021年6月中間期の売上高は前年同期比44.5%増の266億円、経常利益は同68.0%増の24.4億円となり、期初予算との比較は無いものの大幅な増収増益となりました。新型肺炎禍でも生活密着型商業施設の多い当社物件については賃料減額は発生しておらず、安定的な賃料収入を計上したほか、1月に公募増資を実施した傘下私募REITに対して11物件/合計125億円(最大物件はライフ川崎大島/1,417坪、47.5億円)を予定通り売却しました。また、REITのAUM増大に伴いAMフィーの積み上げが進んだほか、サポート会社であるSMFLへのウェアハウジング用物件の売却もあり、順調な折り返しとなりました。


12ヶ月決算に復帰する2021年12月期の見通しについては、売上高が510億円、経常利益は42.0億円と期初予想を据え置いています。今次決算期変更は通常傘下REITの増資・物件取得時期が旧4Q期間(毎年1月頃)に該当することによる業績進捗の不可視性を是正するための変更となります。前期末時点の棚卸資産残高は383億円であり“玉不足”の状態であったものの、本年4月の不動産MAによるツノダ(※後述)の買収により、同社所有不動産は残高には積算されないものの、事実上の残高は相当程度拡充されたとみられます。そして、早速この7月には土地面積1万坪強に及ぶコーナン小牧店をSMFLに売却しており、3Q時点での計上が見込まれます。

 

当社は新型肺炎前の2018年10月から「早期売却、有利子負債削減」を優先取組事項として掲げ、KPIである棚卸資産残高については、この2年弱で695億円→383億円へ削減させるとともに、ネットD/Eも2.54倍から0.90倍まで良化しています。また、当社の物件売却加速にともない傘下REITも順調に成長しており、本年1月の公募増資で当社拠出外を含め23物件・259億円の取得を完了したため、AUMは5年内目標である1,000億円を突破した1,090億円となり、成長著しい状況です。現状、物件利回り4%、分配金利回り4%ながらLTVが30%程度とみられるほか、エンドテナントの契約残存期間が約20年(同解約不可期間11年)もあるため、安定的な運用が期待できるほか、スポンサーである当社同様に取得余力も多く残る印象です。

 

REITへの順調な拠出や、一昨年から物件売却による有利子負債の大幅削減を進めたことから、棚卸資産が枯渇気味であったものの、4月に旧名証2部上場のツノダ(7308)の全株式をマーキュリアインベストメントのコアファンド(バイアウト1号)から全株取得する不動産M&Aを実現し、事実上の残高を増やしています。ツノダは祖業こそ自転車の開発・販売会社であるものの、旧上場時より賃貸業が主力の“含み資産”銘柄であり、コーナン小牧店1万坪(売却済)のほかにも、名古屋市中区のデータセンター550坪(敷地)、大垣市ドラッグストア1,500坪など大型物件を有しています。傘下REITのAUM目標が6年目(2022年)に1,515億円としていることから、これらが早速組み込まれる公算が高そうです。

 

財務の状況については、41億円を投じたツノダの買収はほぼPBR1倍であり、借入も起こさず同社を手金で買収したことから、足許の自己資本比率は34.8%と高水準を維持しています。なお株主還元については、年50円配当を予想しており、過去巡行水準より年5円の減配となってしまうため、その復元に期待したいと考えています。

 

*参考記事① 2021-02-05  1,711円 BY

【3252】日本商業開発/決算期変更による期ズレで、とりあえず来期業績までは確保。

 

*参考記事② 2020-07-21 1,509円 BY

【3252】日本商業開発/早期売却進み、財務余力大きい。仕入好機が到来。

 

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