【2198】アイ・ケイ・ケイ/挙式単価減痛いが、既受注案件の売上顕在化ペースには明るさも。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2198】アイ・ケイ・ケイ(東証一部) OP

現在値 685円/100株  P/E --.-  P/B 2.83  10月無配 4月株主優待

九州・北陸・四国・東北など地方中核都市でゲストハウス型挙式等展開。
配当金基準日は10月末ですが、無配に転落しています。

 

アイ・ケイ・ケイは株主優待制度を導入しており、4月に単元株以上を保有する株主に対し、1,500円相当の特選菓子を進呈しておりますので、(配当)優待利回りは約2.18%となります。

業績を確認していきます。 
■2017年10月期 売上高 181億円、経常利益 18.2億円 EPS 44.9円

■2018年10月期 売上高 200億円、経常利益 20.9億円 EPS 46.2円 

■2019年10月期 売上高 201億円、経常利益 19.5億円 EPS 45.4円 

■2020年10月期 売上高 87.4億円、経常利益▲35.2億円 EPS▲143.2円 

■2021年10月期 売上高 111億円、経常利益▲9.5億円 EPS▲33.6円ce修正

□2021年4月2Q 売上高 42.9億円、経常利益▲9.2億円 EPS▲32.2円
□2021年7月3Q 売上高 78.0億円、経常利益▲8.3億円 EPS▲29.3円(9/6)

 

2021年4月中間期の売上高は前年同期比41.8%減の42.9億円、経常利益は同赤字拡大の▲9.2億円となり、期初予想との比較はないものの壊滅的な進捗となりました。主力の婚礼事業における期初時点での受注残高は同1,430組増の5,598組を確保していたものの、3度目の緊急事態制限発出なども影響し、実際の施行組数は同516組減の僅か1,237組に留まり消化が進みませんでした。併せて新規の受注組数についても同804組減の1,599組と大きく減少したものの、キャンセル率は3.9%と歩留まりは確保出来ている状況です。なお上期の出退店についてはゼロとなっています。


2021年10月期の通期見通しは3Q時点で未定から公表に踏み切っており、売上高は前期比28.0%増の111億円、経常利益は赤字縮小の▲9.5億円を予想しています。期ズレのペントアップと低位のキャンセル率により、受注残高は1年前比1,142組増の5,960組と高水準をキープしているものの、依然施行を留保している受注済顧客が多いほか、新規受注分の単価が百万円弱も落ちており、ワクチン接種進捗により状況が沈静化しても売上復元には相応の時間がかかる公算です。他方、去る9月6日に開示された3Qについては、売上高78億円&経常利益▲8.3億円と数字が戻っており、売上の顕在化にやや明るさも確認出来ます。

 

当社は毎回10~20億円を大型新店を軸とした外部成長を志向してており、立地厳選の上で出店をすべく、中計は意図的に非開示としており、売上高や業界順位の目標は特に定めていません(“地域No.1”、“海外展開”といった漠とした目標感のみを公表)。昨年9月開業の東京支店が江東区の豊洲ふ頭公園等管理運営事業だったように、公共施設関連の引き合いが増加しており、直近では茨城県が星野リゾートを起用して再活性している偕楽園(日本三名園の一角)の公園PFI事業において、婚礼等施設案件の当社による受託が決定しています。

 

他方、当社は本年5月から持株会社制に移行する予定だったものの、新型肺炎禍への取組を優先させることを理由に本年11月に延期しています。持株会社化により、引出物・引菓子を中心とした食品事業会社を明徳庵という会社に分社化し、ECの活用により一般拡販を図るほか、今後は偕楽園のような複合型PFI案件の受託増を見越して、お土産品の製造・販売事業を増やす意図があるものと考えられます。なお、現状では東証新区分でプライム市場の要件を満たせておらず、一部市場からスタンダード落ちしてしまう見通しであり、流通株式数拡大のための分売等の可能性が想定されます。

 

財務状況については、婚礼事業者としては異例の自己資本比率4割強という好財務をキープ出来ており、株主還元を極力絞ってきたことが奏功しています。また、平時の配当額である年12円さえも早々に全て削って無配に落とすなど堅実な財務運営が目立ちます。また、創業者の金子会長も進行期は1年間に渡って役員報酬100%減(配当もゼロ)、社長も同30%減、執行役員も同20%減など突っ込んだ減給措置を講じており、体力温存と雇用維持を最優先とするマネジメントの姿勢は評価出来るものと考えています。

 

*参考記事① 2021-03-15 644円 OP

【2198】アイ・ケイ・ケイ/受注残高水準も消化遅めか、堅実な財務運営は光る。

 

*参考記事② 2020-03-19 489円 OP

【2198】アイ・ケイ・ケイ/創業者の金子氏の“会長成り”で、再び成長路線に回帰か。

 

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