【9279】ギフト(東証一部) OP
現在値 2,985円/100株 P/E 37.5 P/B 7.62 10月配当優待 4月優待
横浜家系ラーメン「町田商店」の運営と、麺やスープ等を提供するプロデュース事業。
配当は10月末一括の15円配当であり、配当利回りは0.50%となります。
ギフトは株主優待制度を導入しており、10月末・4月末現在の単元株主に対して、食事券を年2回・2枚進呈しておりますので、1枚1,000円換算した場合の配当優待利回りは約1.84%となります。
業績を確認していきます。
■2018年10月期 売上高 69.7億円、営業利益 7.7億円 EPS 55.8円
■2019年10月期 売上高 90.5億円、営業利益 10.0億円 EPS 53.6円
■2020年10月期 売上高 109.8億円、営業利益 4.6億円 EPS 11.3円
■2021年10月期 売上高 137.0億円、営業利益 14.8億円 EPS 79.3円 ce修正
□2021年4月2Q 売上高 63.0億円、営業利益 3.0億円 EPS 35.7円
□2021年7月3Q 売上高 97.5億円、営業利益 6.6億円 EPS 86.7円(9/14)
2021年4月中間期の売上高は前年同期比18.9%増の63.0億円、営業利益は同4.7%増の3.0億円となり、期初予想を下回ったものの、増収増益を確保しました。新型肺炎禍で引き続き時短を強いられた店舗が多かったことから、上期6ヵ月の既存店売上高(SSS、補正後)は105.3%と堅調に推移したものの、前年ハードルが低いことから高めとなっている予算前提の107.1%には届かず仕舞いとなりました。他方、積極的な出店施策により、通期計画の純増82店に対して上期だけで純増48店を達成しているほか、時短協力による助成金(1.5億円)を営業外で受けており、収益が底上げされています。
なお2021年10月期の通期見通しついては、3Q公表前に減額しており、売上高が前期比25.0%減の137.0億円、営業利益は同101.6%増の9.3億円に修正しています。目下の感染再拡大傾向により、緊急事態宣言やまん延防止の適用自治体が増加していることから、営業時間の短縮や消費者マインド低迷により、通期SSS前提107.1%に対し、補正前10ヵ月分実績の実力ベースSSSは前年割れ水準で推移(補正前108.2%)しています。他方、出店については公表済の3Qで既に69店もの純増となっており計画超のピッチで出店が進んでいるほか、タイムラグで入金されている助成金が既に4.6億円に上っていることから、営業外は逆に増額しており、通期の経常利益については前期比2.9倍の14.8億円にまで大きく膨らむ見通しです。
当社は2018年に東証マザーズに上場し、その際の公募で24億円(60万株@1,045円)を調達しており、2020年に既に一部へ指定変更しています。IPO時の調達資金については、①21店舗分の直営出店、②①の敷金、③残金はその他投資としています。中期的な目標としては、2025年10月期に直営・OEM店合計で1,000店舗展開(期末時点532店;直営122/OEM410)を目指すほか、業績目標として2023年10月期までの3年間で売上高を1.9倍の213億円、経常利益を3.2倍の21億円にまで伸長させる計画です。
成長戦略としては、この大量出店に合わせて新業態の開発と推進するとともに、MAも絡めて加速度をつけて増店していく方針ですが、上述のとおり進行期は計画超の出店が進んでおり、足許ベースで614店にまで膨らんでいます。また、実際は直営/OEMのミックスも想定より直営店の出店比率が多くなっていることから、収益インパクトは会社側の“青写真”よりも大きくなっているとみられます。他外食企業や個人店が軒並み閉店していることで、好立地店舗に好条件での出店が出来ているほか、飲食系人材が買い手市場で離職率も過去最低水準に抑えられているため人材確保も容易で、事業環境としては全方位的に“追い風”が吹いているような状況です。
業態的としては家系の「町田商店」を主力としてきましたが、二郎インスパイア系業態の「豚山」を順調に拡大させており、会社側では全国で200~300店の出店を見込んでいます。また、2019年には栃木の「ラーメン天華」とその製麺及び餃子等製造を担うケイエイケイフーズを買収しており、同社が味噌ラーメンと餃子の製・販に強みを持つことから、当社の既存ラーメンとの相互補完性が高いほか、北関東エリア本格展開の橋頭保を築くことに成功しています。そのため、好調な出店や業態開発に関しては大した論点が無く、どちらかというと急速な出店に耐えうるチャーシューやスープ工場の新設や買収等によるサプライ能力の確保が課題といえそうです。
株主還元については、5円増配の年15円配当を予想しています。足許ベースの自己資本比率も48%と高水準を確保しており、もし工場新設等の資金需要が発生したとしても、新規借入で十分賄えるような盤石な財務状況が維持されているものと考えています。
*参考記事① 2021-03-13 2,046円 OP
【9279】ギフト/盤石財務をテコに高速出店進む、翌期にかけて成長加速も。
*参考記事② 2020-10-03 1,940円 OP
【9279】ギフト/宅配・テイクアウト注力で底堅い、同業廃業で火事場の出店攻勢も。
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