【9279】ギフト(東証一部) OP
現在値 1,940円/100株 PER145.7 PBR6.04 10月配当優待 4月優待
横浜家系ラーメン「町田商店」の運営と、麺やスープ等を提供するプロデュース事業。
配当は10月末一括の10円配当であり、配当利回りは0.52%となります。
ギフトは株主優待制度を導入しており、10月末・4月末現在の単元株主に対して、食事券を年2回・2枚進呈しておりますので、1枚1,000円換算した場合の配当優待利回りは約2.57%となります。
業績を確認していきます。
■2017年10月期 売上高 56.1億円、営業利益 6.2億円 EPS 27.4円
■2018年10月期 売上高 69.7億円、営業利益 7.7億円 EPS 55.8円
■2019年10月期 売上高 90.5億円、営業利益 10.0億円 EPS 53.6円
■2020年10月期 売上高 108.8億円、営業利益 5.6億円 EPS 13.3円 ce修正
□2020年4月2Q 売上高 53.0億円、営業利益 2.9億円 EPS 17.2円
□2020年7月3Q 売上高 79.7億円、営業利益 3.0億円 EPS 18.3円(9/14)
2020年4月中間期の売上高は前年同期比22.3%増の53.0億円、営業利益は同46.8%減の2.9億円となり、2割の増収こそ果たしたものの利益は大幅反落となりました。新型肺炎の影響で4月・5月は時短を強いられた店舗が多く存在したものの極力営業を継続したことや、宅配やテイクアウトに注力したことにより、4月中旬時点の既存店売上高こそ74.3%まで低迷したものの、その後は緩やかな回復基調を辿っています。エリア別ではオフィス・繁華街が低調だったものの、住宅街やロードサイド店の戻りが早く、フル営業時間(11時-20時)比較では一番悪い時期でも平時の9割弱の売上を確保しました。かような状況から、トップラインの縮み幅を抑えることが出来たため、上期でも営業利益段階から黒字確保に至っています。
なお2020年10月期の通期予算については、6月上旬に減額しており、売上高が前期比20.2%増の108.8億円(従予:118.2億円)、営業利益は同43.5%減となる5.6億円(従予:11.8億円)に修正しています。去る9月14日には既に3Qの開示がなされており、売上高は前年同期比19.8%増の79.7億円、経常利益は同61.5%減の3.0億円で進捗しています。足許の既存店売上高の状況については、今年の夏は移動・帰省の自粛要請があったことから当社の展開エリアにおける人の滞留が多かったこともあり、4Q期間においても7月が92.5%、8月が93.0%と堅調に推移していることが確認されます。然しながら、新型肺炎の影響が深刻な海外店舗が大赤字となっていることや、そもそも8月には客足が完全に戻る前提を置いているため、減額後修正の予算まで届くかどうかはやや微妙な情勢です。
当社は2018年10月に東証マザーズに上場し、その際の公募で24億円(60万株@1,045円)を調達しており、今年9月には既に一部市場へダイレクトでの指定変更を済ませています。IPO時調達資金の資金使途については、①21店舗分の直営出店、②①の敷金、③残金はその他投資としています。中期的な目標としては、約5年後となる2025年10月期に直営・OEM店合計で1,000店舗の展開(期末時点462店;直営89/委託6/OEM367)を目指しており、それに合わせて新業態の開発と推進するとともにMAも絡めるのが成長シナリオの基本的な考え方となります。足許の新型肺炎禍では、相次ぐ駅前店舗の閉店により「希少立地にも拘らず超好条件」の空き物件が出てきているような状況のため、ハイエナ的に出店スピードを加速させるものと考えられます。
当社はこれまで家系ラーメンの「町田商店」を主力業態としてきましたが、二郎インスパイア系業態の「豚山」が順調に店舗数を増やしており、二枚看板と呼べる水準にまで育ってきました。また、昨年8月に栃木の「ラーメン天華」とその製麺及び餃子等製造を担うケイエイケイフーズを買収しており、同社同店が味噌ラーメンと餃子の製・販に強みを持つことから、当社の既存ラーメンとの相互補完性が高いほか、北関東エリア本格展開の橋頭保を築くための有効な買収と考えています。
なお株主還元については、当初予想から5円減配し年10円配当を予想しています。上場してまだ日が浅く、その際の公募増資による資本増強が厚く効いており、足許ベースの自己資本比率も50%と盤石な状況となっています。そのため財務面を鑑みれば更に還元することも出来ますが、会社側はこの新型肺炎禍をまたとない出店チャンスと捉えているものとみられ、そちらに回す意向があるものと推察されるため、資本政策としては極めて妥当な減配だと考えています。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。