【2198】アイ・ケイ・ケイ/受注残高水準も消化遅めか、堅実な財務運営は光る。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2198】アイ・ケイ・ケイ(東証一部) OP

現在値 644円/100株 P/E--.-  P/B 2.53  10月無配 4月株主優待

九州・北陸・四国・東北など地方中核都市でゲストハウス型挙式等展開。
配当金基準日は10月末ですが、無配に転落しています。

 

アイ・ケイ・ケイは株主優待制度を導入しており、4月に単元株以上を保有する株主に対し、1,500円相当の特選菓子を進呈しておりますので、(配当)優待利回りは約2.32%となります。

業績を確認していきます。 
■2017年10月期 売上高 181億円、経常利益 18.2億円 EPS 44.9円

■2018年10月期 売上高 200億円、経常利益 20.9億円 EPS 46.2円 

■2019年10月期 売上高 201億円、経常利益 19.5億円 EPS 45.4円 

■2020年10月期 売上高 87.4億円、経常利益▲35.2億円 EPS▲143.2円 

■2021年10月期 売上高 165億円、経常利益 2.0億円 EPS 4.1円 四e
□2021年1月1Q 売上高 19.0億円、経常利益▲4.4億円 EPS▲15.5円(3/8)

□2021年7月2Q 売上高 65.0億円、経常利益▲5.0億円 EPS▲17.1円 四e

 

2020年10月期は売上高が前期比56.7%減の87.4億円、経常利益は同赤転の▲35.2億円となりました。主力の婚礼事業については、期初時点での受注残高は1年前の3,719組→4,168組へと400組以上積み増していたものの、2020年春先からの新型肺炎の本格化により、同年8月以降に挙式延期を顧客に推奨したことから、実際の施行組数は2,136組と半分以下に留まりました。併せて受注組数についても同1,689組減の3,566組と大きく減少しました。出退店については、旗艦店となる豊洲に東京支店を9月に開業したほか、福井支店・富山支店のバンケット改装を実施しました。


進行期である2021年10月期については予算非開示となっているものの、外部予想によれば売上高は88.7%増の165億円、経常利益は黒転の2億円が観測されています。上述のとおり実績期の受注組数は低調に推移したものの、ペントアップにより期ズレした受注残高が高水準に積み上がっており、1年前と比べて1,430組増の5,598組となっていることから、この消化が進む公算です。ただキャンセル率自体は5.0%以下に抑えられている一方、新規受注分は単価が落ちているほか、依然として挙式施行を留保している受注済顧客が多いことから、売上の顕在化時期が不透明な状況です。去る3月8日に開示された1Qについては、売上高が19億円、経常利益は▲4.4億円となっており、受注の進捗消化に鈍さがみられます。

 

当社は毎回10~20億円の巨費を投じる大型新店の出店を軸とした外部成長を志向しているため、慎重に立地を厳選した上で出店をすべく、中期経営計画は意図的に非開示としています。昨今、昨年9月開業の東京支店が江東区の豊洲ふ頭公園等管理運営事業だったように、公共施設関連の引き合いが全国から相当数寄せられている模様です。既に名有り化している案件としては、茨城県が星野リゾートを起用して再活性を図っている偕楽園(日本三名園の一角)のPark-PFI事業の一環として公募された婚礼等施設案件を当社が射止めています。ただ新型肺炎禍のため開業時期は未定となっており、一応の目安としては本年9月を目標としているようです。

 

また本年4月からは持株会社制に移行する予定であり、婚礼事業を柱に据えつつも、引出物・引菓子を中心とした食品事業会社を明徳庵という会社に分社化し、ECの活用により高級ポン酢等の一般販売を狙うこととしています。が、これは上述の偕楽園のような複合型PFI案件の受託が増えることを踏まえ、お土産品の製造・販売による食品事業の業容拡大を見据えてのこととみられます。

 

なお財務状況については、婚礼事業者としては異例の自己資本比率44%という好財務をキープ出来ており、これまで株主還元を極力絞ってきたことが奏功したほか、その年12円に過ぎない配当金さえも全て削って無配に落とすなど堅実な財務運営が目立ちます。有事ということもあり、一度会長に引っ込んだ創業者の金子氏が出張ってきて村田社長の代わりに全部説明してしまうなど“院政”感丸出しですが、金子氏も役員報酬ゼロ(配当もゼロ)で陣頭指揮を採っているようですので、ここは会社側・株主ともに堪え時なのかなと考えます。

 

*参考記事① 2020-03-19 489円 OP

【2198】アイ・ケイ・ケイ/創業者の金子氏の“会長成り”で、再び成長路線に回帰か。

 

*参考記事② 2019-03-09 730円 NT

九州屈指の優良企業だが、全方位的に投資妙味が薄い・アイ・ケイ・ケイ(2198)。

 

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