九州屈指の優良企業だが、全方位的に投資妙味が薄い・アイ・ケイ・ケイ(2198)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2198】アイ・ケイ・ケイ(東証一部) --

現在値 730円/100株 PER17.3 PBR 1.89 10月配当 4月株主優待

九州・北陸・四国・東北など地方中核都市でゲストハウス型挙式等展開。
配当金は10月末に一括12円配当のため、配当利回りは1.64%となります。

 

アイ・ケイ・ケイは株主優待制度を導入しており、4月に単元株以上を保有する株主に対し、

1,500円相当の特選菓子を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.69%となります。

業績を確認していきます。 
■2015年10月期 売上高 169億円、経常利益 21.0億円 EPS 39.3円
■2016年10月期 売上高 179億円、経常利益 21.6億円 EPS 45.5円 
■2017年10月期 売上高 181億円、経常利益 18.2億円 EPS 44.9円

■2018年10月期 売上高 200億円、経常利益 20.9億円 EPS 46.2円 

■2019年10月期 売上高 200億円、経常利益 19.2億円 EPS 42.1円 ce
□2019年4月1Q 売上高 41.5億円、経常利益 0.7億円 EPS 1.6円(3/1)とうし

□2019年7月2Q 売上高 89.0億円、経常利益 3.6億円 EPS 8.1円 ce

2018年10月期の売上高は前期比10.1%増の200億円、経常利益は同14.8%増の20.9億円

となり、期初予算ピンポイントでの着地となりました。主力の婚礼事業に於いて、昨年10月

に開業した岡崎支店が通期稼働したことや、同12月開業の大阪支店もほぼ通期稼働した

ことにより、トップラインから2桁の伸びとなりました。また、全社的に施行単価が増加(387

→398万円)したことにより採算性が向上し、利益の伸び幅の方が大きくなりました。なお、

挙式組数自体は前期比8.7%増となっていますが、これは主に新店寄与によるものであり、

既存店ベースでの挙式組数は減少しています。


進行期である2019年10月期の予算については売上高が横ばいの200億円、経常利益は

8.4%減の19.2億円と減益予想になっています。昨年12月開業の大阪支店が巡航稼働する

ほか、本年7月にポートアイランドで神戸支店の開業を予定しているため、同店の部分的

な寄与が見込まれます。然しながら、1年前比でバンケットが2つ増えているにも拘わらず、

期末時点の受注残高については僅か22組増の3,719組に留まっており、婚礼単価の引上

げの影響等で受注が伸び悩んでいると考えられ、トップラインを据え置いたとみられます。

利益が反落するのは、神戸支店の開業費用に約2.3億円を見込んでいることによります。

なお、去る3月1日に1Q決算を開示しており、前年同期比では数字が良化していますが、

あくまで当社の場合、春の3Q及び秋の4Qの各四半期に数字が偏重する傾向があるため、

現段階ではまだなんとも判断出来ない状況です(単価は好伸も、受注残高は微妙)。

 

当社は毎回10~20億円の巨費を投じる新店の出店を軸とした外部成長を志向している

ため、慎重に立地を厳選した上で出店をすべく、中期経営計画は意図的に非開示として

います。実際、今期開業予定の神戸支店以外では、現時点で名有りになっている式場は

なく、投資は基本的に既存店(金沢支店・盛岡支店)のリニューアルに投じられる見込み

です。ゲストハウスは施設の陳腐化が早い上に、償却が大きいので、不振気味の式場で

あればさっさと取り壊して、他のロケーションで新設した方が合理的な部分はありますが、

そこについては既存店への再投資(改装)に拘っているため、既存店のロケーション自体

は悪くないものと判断されます。

 

一方、海外事業については、ジャカルタのオフィスビルの上層階を賃借して、オフィスビル

内ウェディングを展開し始めていますが、意外にも今期中の黒字化を見込んでいるため、

まだバンケット数が限られるものの、国内事業の伸び代が限られるだけに、今後の成長

ドライバーとなることが期待されます。

 

なお、財務状況については相変わらずの鉄板ぶりを誇っており、挙式業者としては異例

の自己資本比率57.0%をキープしています。それでも株主還元に回す意向は感じられず、

今期の配当予想は4期連続同額の12円を据え置いている状況であり、あくまで従業員の

雇用・待遇の維持を最優先している模様です。九州では抜群の就職人気を誇るだけに、

確かにいい会社ではありますが、既述のとおり、業績の成長スピードを求めることもなく、

株主還元の意志も薄いため、基本的には株主の方を向いておらず、顧客と従業員の方

を向いている会社と捉えるべきであり、投資先としては疑問符のつく会社ではあります。

 

*参考記事① 2018-10-12 764円 --

競合他社より出店ペースは非常に緩やかで好財務維持、アイ・ケイ・ケイ(2198)。

 

*参考記事② 2018-02-28  763円 --

従業員待遇改善完了で、2桁増収増益路線に復帰か。アイ・ケイ・ケイ(2198)。

 


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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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