【6089】ウィルグループ/増額後も見通しはやや保守的か、傘下フォーSU社の方が好調。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6089】ウィルグループ(東証一部) OP

現在値 1,307円/100株 P/E 12.7  P/B 3.35 3月配当株主優待

人材派遣や業務請負等の人材サービス。家電量販店などの販売現場も。
配当金は年1回で25円のため、配当利回りは1.91%となります。

 

ウィルグループは株主優待制度を導入しており、3月末の単元株主に対して、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.29%となります。また長期優遇制度があり、最長の3年以上保有となった場合は、クオカード進呈額が2,000円分(約3.44%)までハネあがります。

業績を確認をしていきます。2019年3月よりIFRSに移行しています。

■2018年3月期 売上高 791億円 営業利益 24.1億円 EPS 57.4円 

■2019年3月期 売上高 1,036億円 営業利益 25.4億円 EPS 55.6円

■2020年3月期 売上高 1,219億円 営業利益 41.4億円 EPS 107.1円

■2021年3月期 売上高 1,182億円 営業利益 40.3億円 EPS 106.5円

■2022年3月期 売上高 1,270億円 営業利益 40.5億円 EPS 102.3円ce修正(8/6)

□2021年6月1Q 売上高 315億円 営業利益 11.3億円 EPS 31.5円 (8/6)
□2021年9月2Q 売上高 635億円 営業利益 20.0億円 EPS 52.9円ce修正(8/6)

2021年3月期の売上高は前期比3.0%減の1,182億円、営業利益は同2.8%減の40.3億円となり、減収減益となったものの、期中開示の見通し比では上回りました。国内事業については、新型肺炎禍でアパレル販売分野や減産等により工場分野が低迷したものの、コールセンターや介護・保育分野が堅調に推移したほか、セールス分野も持ち直し基調となりました。海外事業についてもロックダウン等の影響が一部であったものの、感染拡大抑制傾向がみられてから受注回復がみられたほか、SGで7億円もの政府雇用補助金を受領したことから、この一過性要素で増益を果たしています。

進行期である2022年3月期の通期見通しについては、1Q時点ではや増額しており、売上高が7.4%増の1,270億円(期初予:1,210億円)、営業利益は0.5%増の40.5億円(期初予:34.0億円)を見込んでいます。国内事業については、新型肺炎禍の一巡による生産活動の再開により、アパレル販売分野といった厳しさの残る分野以外は回復が進み、中でも顧客側の投資意欲が強い通信、コールセンター、介護・保育分野の堅調推移が見込まれます。海外事業についても、豪州・SGともに経済活動が回復しており、採用活動再開から人材紹介売上の回復基調の継続が予想されます。8月6日に開示済の1Qも、売上高315億円&営業利益11.3億円と高水準となっていることから、増額後の通期見通しもやや保守的とみられます。

 

当社は新型肺炎禍を理由に先延ばしにしていた中計の数値公表に踏み切っており、最終年度である2023年3月期に売上高1,335億円(CAGR6%)、営業利益53.5億円(CAGR15%)を目指すこととしています。定性取組事項として①定常派遣分野シフト(一時派遣でなく、人材紹介や長期専門派遣)、②派遣事業のデジタル効率化、③海外における子会社間シナジーやHRテック強化を掲げているほか、その他目標KPIとして、ROIC20%(直近実績17.7%)や、自己資本比率20%(同17.7%)を目指すこととしています。

 

本中計期間において、この2ヵ年で26億円もの先行投資を予定しており、①の定常派遣の建設領域において未経験技術者を採用して育成と定着を図るほか、同様に介護領域でも外国人を積極採用しする方針であり、これら2領域の人員増強と採用費に16億円を投じる計画です。このほか③としてAI人材紹介の「LAPRAS」や外国人就労管理ツールの「ビザマネ」、インバウンド労働者向けサービスの「ENPORT」といったHRテックの拡大や、上場子会社であるフォースタートアップス(7089)の新興企業向け人材紹介事業の営業拡大を図る計画です。特にフォー社は新型肺炎禍の影響が限定的だったネット系新興企業の採用意欲が旺盛なため、マネジメント層の人材紹介サービスが絶好調で推移しており、中長期的に当社連結業績の底上げが期待されます。

 

財務面については、2017年にSMBC日興証券に28億円(※概算)の新株予約権を発行しており、全て行使完了しているものの、過去に多額ののれん付きの買収で資金を消化してしまったため、自己資本比率は17.7%と依然として低い状況となっています。他方、今次中計においても総還元性向30%を掲げ直しており、1円増配の年25円を予想していますが、財務改善を中計で謳っている以上は此方の株主還元についてはもう少し絞った方が良いように感じます。

 

*参考記事① 2020-09-20 935円 OP

【6089】ウィルグループ/のれん付きMA連発で中計達成も、財務悪化と希薄化で評価難。

 

*参考記事① 2017-09-06 1,191円 OP

高株価で増資を一蹴、高成長続くウィルグループ(6089)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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