【7456】松田産業/取扱数量、販売スプレッド急拡大で1Qではや増額。更に増配公算。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7456】松田産業(東証1部)  OP

現在値 2,616円/100株 P/E 8.8  P/B 0.99  3月配当優待 9月配当

電子部品スクラップから貴金属を回収、電子材料・地金の形で販売。
配当は3月末・9月末の年2回・計42円配当であり、配当利回りは1.61%となります。

松田産業は株主優待制度を導入しており、100株以上保有の3月末株主に2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.37%となります(但し1年以上の継続保有が条件)。また、これとは別で3月末の株主へのサービスとして、希望する全株主に対して、富士山をフィーチャーした特製カレンダーを進呈しています。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 1,901億円、経常利益 51.4億円、EPS 131.3円 

■2019年3月期 売上高 2,083億円、経常利益 50.9億円、EPS 128.8円  

■2020年3月期 売上高 2,109億円、経常利益 63.8億円、EPS 153.7円 

■2021年3月期 売上高 2,315億円、経常利益 83.6億円、EPS 232.6円

■2022年3月期 売上高 2,500億円、経常利益 111.0億円、EPS 295.1円 ce修正(8/11)

□2021年6月1Q  売上高 701億円、経常利益 43.1億円、EPS 114.5円 (8/11)

□2021年9月2Q  売上高 1,300億円、経常利益 67.0億円、EPS 176.3円 ce


2021年3月期の売上高は前期比9.8%増の2,315億円、経常利益は同31.1%増の83.6億円となり、3Q時点の再増額予算を更に上回って3割超の増益で着地しました。主力の貴金属事業については、主要顧客であるエレキ業界において、新型肺炎禍一巡後に電子部品・デバイス分野の生産が一段と復調したほか、金・銀パラジウム等の貴金属価格が全面高となったことで販売スプレッドが拡大しました。他方、食品事業については、新型肺炎の影響で冷食・加工食品向けが順調だったものの、外食向けや土産物用等の業務用の水産品・畜産品需要が減退したため、当該セグメントは減収減益となりました。

進行期である2022年3月期通期見通しについては、1Q時点で期初予算をはや上方修正しており、売上高は8.0%増の2,500億円(期予:2,200億円)、経常利益は32.6%増の111.0億円(期予:86.0億円)と大幅に増額しています。主力の貴金属事業については、産廃処理受託及びリサイクル量が増加する一方、販売側ではエレキ業界、自動車業界の回復により需要の大幅な増加がみられ、金・銀価格といった金属市況も全面高となっていることから、数量・販売スプレッドともに一段と増加する見通しです。また、食品事業についても新型肺炎禍の一巡により、水産物・畜産品等の販売量が増加していることから、これら主要2セグメントとも期を通じて堅調な業績進捗が予想されます。

 

終わった期は3年中計の最終年度であり、売上高2,083億円→2,200億円、営業利益49億円→55億円へと其々伸長させる計画となっていましたが、事実上1年前倒しで達成しており、最終年度で更に積み増して大幅な過達を達成しました。貴金属事業における設備投資積極化や海外拠点の拡大を図り、2020年は貴金属スクラップの分別・選別・濃縮といった前工程を行う関工場に直近10年で最大規模となる設備投資を実施したほか、台湾に設立した現地法人の前処理工場を本格稼働させています。結果、この関工場の大増強により新型肺炎禍後の生産回復局面と貴金属高の恩恵をフルに享受出来た格好となりました。

 

現状新たな中計は開示されていないものの、業績が貴金属市況(単価)に大きく依存しやすいことから多角化や新領域進出等の対策を進めています。既存分野では更なる数量拡大のため、営業と物流の両機能を有する仙台営業所(金属・食品)を昨秋開設したほか、北九州で18千坪の工場用地を取得しています。また、有害物質であるPCBの無害化処理や収集・回収を全国34都道府県で出来る体制を整備し、周辺領域の業容拡大を図っています。他方、太平洋セメントと協業でEV等のリチウムイオン電池からレアメタル回収する事業を始めたほか、食品事業でも大豆ミート原料(AgriaceソイミートベースS)の開発を進めるなどしており、好業績を背景に中長期目線の“種蒔き”が進んでいます。

 

株主還元については、期初時点から4円増配の年42円配を予想しています。設備投資や新工場用地取得等の資金需要が相次いでいるものの、空前の好業績を背景とした自己資本の積み上がりは早く、自己資本比率はなお60%台後半を維持しています。そのため、今期の大変順調な業績を鑑みれば更なる大増配が期待されるところであり、「50円+α」を予想しています。

 

*参考記事① 2021-02-22 1,893円 OP

【7456】松田産業/貴金属市況全面高の恩恵大、減価償却増を丸飲みして2桁増益圏。

 

*参考記事② 2020-07-20 1,437円 OP

【7456】松田産業/業績予想非開示だが、増配予想公表で中長期的に手応えも。

 

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