【7456】松田産業/業績予想非開示だが、増配予想公表で中長期的に手応えも。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7456】松田産業(東証1部)  OP

現在値 1,437円/100株 PER--.-  PBR0.63 3月配当優待 9月配当

電子部品スクラップから貴金属を回収、電子材料・地金の形で販売。
配当は3月末・9月末の年2回・計36円配当であり、配当利回りは2.51%となります。

松田産業は株主優待制度を導入しており、100株以上保有の3月末株主に2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.89%となります(但し1年以上の継続保有が条件)。また、これとは別で3月末の株主へのサービスとして、希望する全株主に対して、富士山をフィーチャーした特製カレンダーを進呈しています。

業績を確認していきます。

■2017年3月期 売上高 1,630億円、経常利益 34.5億円、EPS 93.2円 

■2018年3月期 売上高 1,901億円、経常利益 51.4億円、EPS 131.3円 

■2019年3月期 売上高 2,083億円、経常利益 50.9億円、EPS 128.8円  

■2020年3月期 売上高 2,109億円、経常利益 63.8億円、EPS 153.7円 

■2021年3月期 売上高 (未定)億円、経常利益(未定)億円、EPS(未定)円 ce 

□2020年9月中  売上高 1,000億円、経常利益 31.0億円、EPS 77.9円 四e 

2020年3月期の売上高は前期比1.3%増の2,109億円、経常利益は同25.3%増の63.8億円となり、期初計画どころか中間の修正増額計画も上回って着地しました。主力の貴金属事業については、主要顧客であるエレキ業界が、米中貿易摩擦等の影響を受け買取数量が縮小したものの、販売側の貴金属価格が上昇(主に白金)したことで好採算化が進み、利益は大幅増となりました。一方、食品事業についても、新型肺炎の影響による加工食品需要の高まりを受け、メイン商材である魚すり身や畜肉系の畜産品販売が増加したものの、運送費や保管コストの上昇を補い切れず、当該セグは増収ながらも減益となっています。


進行期である2021年3月期の予算については、新型肺炎による影響を合理的に算出出来ないことから未定としています。主力の貴金属事業については、エレキ業界の動向が不透明なことから買取側が鈍くなる可能性はあるものの、販売側は金やパラジウム価格といった金属市況高の恩恵が期待出来るため、関工場の生産設備投資による減価償却費の増加といった下押し要素はあるものの、横ばい程度で留まることが期待されます。食品事業については、従来の水産品調達先であった中国・タイ・ベトナムといった東南アジア諸国が新型肺炎の影響を受けているため、新規調達先の開拓や変更を進める方針ですが、業務用食材の減少が見込まれるため、此方のセグメントは減益が濃厚であり、従って全社業績も減益圏になるものとみられます。

 

今期は3年中計の中間年度であり、最終年度である2022年3月期に売上高2,083億円→2,200億円、営業利益49億円→55億円へ伸長させる計画となっていますが、市況好況に支えられ、数値自体は1年目で超過してしまっているような状況です。主力の貴金属事業における設備投資積極化や海外拠点の拡大を図る方針であり、昨年は貴金属スクラップの分別・選別・濃縮といった前工程を行う関工場に直近10年で最大規模となる設備投資を実施したほか、台湾に設立した現地法人の前処理工場を本格稼働を開始させるなどしています。

 

前回中計が1年前倒しで数値目標達成したように、金をはじめとする貴金属市況の高騰による好況をたまたま享受している要素が強いことから、相対的に市況に左右されにくい産業廃棄物処理分野における設備・物流網の増強や、食品事業における海外販路の拡大、2016年2月に買収したガルフ食品(築地の水産専門商社)に代表されるMAなど、貴金属事業の事業構成比を下げるための手打ちも進めています。新たな領域として、太平洋セメントと協業で大型リチウムイオン電池のリサイクルを開始しており、此方は貴金属回収のみならずセメントも取り出し可能であるため、大型リチウムイオン電池の廃棄本格化が予想される2025年に向け事業強化していく方針です。

 

なお株主還元については、今期の業績予想が未定ながら2円増配の36円配を予想しています。上述の関工場への多額の設備投資により借入が大きく増加したものの、自己資本比率はなお6割を超えており、財務的には余裕があることから、増配での配当予想の開示に踏み切ったものとみられます。また、毎回の取得規模は小さいものの、自社株買いを散発的に実施する傾向がみられ、(株主通信にもそれを暗に匂わせる記述があることから、)、追加の買い入れも期待出来るかと思います。

 

*参考記事① 2018-08-24  1,505円 OP

半導体好況で中計ほぼ前倒しも、会社保守的で還元意欲は乏しい・松田産業(7456)。

 

*参考記事② 2017-07-09 1,472円 NT

金属リファイナーから食品商社への色合いが強まる、松田産業(7456)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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