【7456】松田産業/貴金属市況全面高の恩恵大、減価償却増を丸飲みして2桁増益圏。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7456】松田産業(東証1部)  OP

現在値 1,893円/100株 P/E 9.2  P/B 0.78  3月配当優待 9月配当

電子部品スクラップから貴金属を回収、電子材料・地金の形で販売。
配当は3月末・9月末の年2回・計38円配当であり、配当利回りは2.01%となります。

松田産業は株主優待制度を導入しており、100株以上保有の3月末株主に2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.06%となります(但し1年以上の継続保有が条件)。また、これとは別で3月末の株主へのサービスとして、希望する全株主に対して、富士山をフィーチャーした特製カレンダーを進呈しています。

業績を確認していきます。

■2017年3月期 売上高 1,630億円、経常利益 34.5億円、EPS 93.2円 

■2018年3月期 売上高 1,901億円、経常利益 51.4億円、EPS 131.3円 

■2019年3月期 売上高 2,083億円、経常利益 50.9億円、EPS 128.8円  

■2020年3月期 売上高 2,109億円、経常利益 63.8億円、EPS 153.7円 

■2021年3月期 売上高 2,200億円、経常利益 74.0億円、EPS 206.6円 ce修正(2/10)

□2020年9月2Q  売上高 1,116億円、経常利益 36.8億円、EPS 104.1円 

□2020年12月3Q  売上高 1,713億円、経常利益 63.7億円、EPS 178.1円(2/10)
★★★
2020年9月中間期の売上高は前年同期比9.9%増の1,116億円、経常利益は同13.2%増の36.8億円となり、1Q時点で開示した予算を上回って約2桁の増収増益で着地しました。主力の貴金属事業については、主要顧客であるエレキ業界において、緊急事態宣言明け以降は緩やかに電子デバイス分野の生産回復がみられたほか、金やパラジウム等の貴金属価格が上昇したことで販売スプレッドも拡大しました。一方、食品事業については、新型肺炎の影響で冷食・加工食品向けが順調だったものの、外食向けや土産物用等の業務用の水産品・畜産品需要が減退したため、当該セグメントは減収減益となりました。

2021年3月期通期見通しについては、3Q時点で再増額しており、売上高は前期比4.3%増の2,200億円(従予:UNCH)、経常利益は同15.9%増の74.0億円(従予:64.0億円)を予想しています。主力の貴金属事業については、産廃処理受託の取扱量は減少した一方でリサイクル量は増加したほか、販売側ではエレキ業界の回復や、金やパラジウムだけでなく銀価格といった金属市況全面高の恩恵を享受する見通しであり、一方、食品事業については、通期で外食等の業務用が低調に推移する公算が高く減益見通しとなります。去る2月10日に開示済の3Qは、売上高は前年同期比8.9%増の1,713億円、経常利益は同16.2%増の63.7億円で進捗していることから、関工場の生産設備投資による減価償却費の大幅な増加を飲み込んでなお、2桁の増益確保が予想されます。

 

今期は3年中計の中間年度であり、最終年度である2022年3月期に売上高2,083億円→2,200億円、営業利益49億円→55億円へ伸長させる計画となっていますが、数値自体は1年目で超過しています。貴金属事業における設備投資積極化や海外拠点の拡大を図る方針であり、昨年は貴金属スクラップの分別・選別・濃縮といった前工程を行う関工場に直近10年で最大規模となる設備投資を実施したほか、台湾に設立した現地法人の前処理工場を本格稼働を開始させるなどしています。特にこの関工場の設備増強完了により、今期の金属市況高による恩恵をフルに受けることが出来ているため、タイミングとしては絶好だったと言えそうです。

 

一方、まだまだ全社業績が貴金属市況の如何に大きく振らされることから、非貴金属事業の事業構成比拡大が課題となっています。そのため、産業廃棄物処理分野における設備・物流網の増強や、食品事業における海外販路の拡大、2016年2月に築地の水産専門商社であるガルフ食品の買収するなどしています。また先進的事業領域としては、太平洋セメントと協業でEV等のリチウムイオン電池からレアメタル回収する事業を始めたほか、食品事業でも大豆ミート原料(AgriaceソイミートベースS)の開発を進めるなどしており、中長期的な業容拡大が期待されます。

 

株主還元については、期初より2円増配の年36円配を予想しています。関工場への多額の設備投資により借入が大きく増加したほか、昨年11月には北九州で18千坪の工場用地を取得するなどしているものの、自己資本比率はなお6割を超えており、財務的には依然余裕があります。そのため、今期の大変順調な業績を鑑みれば落着増配が期待されるところであり、「38円+α」を予想しています。

 

*参考記事① 2020-07-20 1,437円 OP

【7456】松田産業/業績予想非開示だが、増配予想公表で中長期的に手応えも。

 

*参考記事② 2018-08-24  1,505円 OP

半導体好況で中計ほぼ前倒しも、会社保守的で還元意欲は乏しい・松田産業(7456)。

 

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