【6904】原田工業(東証一部) NT
現在値 911円/100株 P/E 16.5 P/B 1.71 3月配当株主優待
自動車用アンテナで国内首位。日本アンテナの事業部門譲受で国内外拠点を拡充。
配当金(実績)は3月末一括の7.5円配当のため、配当利回りは約0.82%となります。
原田工業は株主優待制度を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、3,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.11%となります。また長期優遇制度を導入しており、単元株を1年以上保有する場合には、クオカードの進呈額が4,000円になりますので、その場合の配当優待利回りは約5.21%となります。
業績を確認していきます。
■2018年3月期 売上高 429億円、営業利益 22.5億円 EPS 35.3円
■2019年3月期 売上高 431億円、営業利益 17.3億円 EPS 43.0円
■2020年3月期 売上高 411億円、営業利益 6.8億円 EPS 9.2円
■2021年3月期 売上高 347億円、営業利益▲10.8億円 EPS▲59.4円
■2022年3月期 売上高 400億円、営業利益 16.0億円 EPS 55.1円 ce
□2021年9月2Q 売上高 180億円、営業利益 2.0億円 EPS 6.9円 ce
2021年3月期の売上高は前期比15.6%減の347億円、営業利益は同赤転の▲10.8億円となり、期初予算との比較は無いものの、概ね中間時点で開示した通期見通し水準の着地となりました。
新型肺炎禍により国内・北中米・アジア市場で軒並み自動車生産台数が減少し、その影響を色濃く受けたものの、期末にかけて回復基調が鮮明になってきたこともあり、欧州市場については為替一定ベースで横ばい圏まで持ち直すなど明るい兆しもみられました。利益面についてはこれらトップラインの減少が主因で赤字となったものの、営業外で助成金を受けた一方、同程度の構造改革費用を計上しています。
進行期である2022年3月期の見通しについては、売上高が15.3%増の400億円、営業利益は黒転の16.0億円とV字回復を見込んでいます。足許では世界的に自動車生産台数が急速に回復していることから、先行して良化の兆しがみられた欧州市場を筆頭に新型肺炎禍前の水準を復元することが見込まれます。実際に期初の受注残高については、1年前との比較で36.4%増の30億円となっており、特にアジア市場の回復が顕著になっています。定性的なところでは、好調な欧州市場の営業力強化のため、英国現法の支店としてドイツにも拠点を新設し開発機能も移設します。
今期は4年中計「NEW GROWTH」の3年度目となっており、最終年度の2023年3月期までにROE10%以上を安定達成することを目標に掲げています。売上高や利益面の業績目標が示されなかったことからも推察されるとおり、本中計期間は業績拡大よりも定性的な取組みが中心となり、①5G及び自動運転分野強化、②R&D強化、③コスト削減等の組織強化、が具体的な取組施策として挙げられています。2019年12月にベトナム第3工場を稼働開始させ生産能力が従来の6割増になっていることから、既にある程度目標とする生産可能数量に到達しているものとみられ、この2022年3月期の予想ベースのROEも9.9%とほぼ達成見込みの水準となっています。
上記の①5G及び自動運転分野強化、②R&D強化については、特に“コネクティッドカー”と呼ばれる他技術と密接する車に関する商材拡充を進めており、主力の自動車アンテナについてはADAS(次世代運転者支援技術)関連製品の開発強化や、マルチGNSS(全球測位衛星システム、GPSらの総称)やWi-Fiやbluetooth対応可能商品拡充を推進しています。なお、全社の研究開発費用については平年は年15億円程度で推移していましたが、足許では年13億円程度であり、これは年10億円の減価償却費+α、の範囲となっています。
財務に関しては130億円ほどの有利子負債を抱えている一方、手許に46億円弱の現金を保有しており、自己資本比率も35.3%と一定程度の水準を維持しています(そもそも自動車部品メーカーは好財務企業が多い)。注目の株主数については、株主優待導入前の2017年3月末の1,428名から、2018年3月末には11,131名、2019年3月末に27,707名へ激増したものの、2020年3月末は28,971名、2021年3月末は34,351名となっています。会社側の株主優待の負担額はおよそ1.5億円程度と推察されるものの、配当水準もそれほど高くないため、制度の見直しがある場合でもまずは長期保有制限といった形が想定されます。
*参考記事① 2020-08-13 877円 OP
【6904】原田工業/1Qでの通期予算開示を見送り、不透明感は強い状況。
*参考記事① 2019-09-09 829円 OP
今期も大幅減益見込みだが、優待制度は維持か・原田工業(6904)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。