【6904】原田工業(東証一部) NT
現在値 877円/100株 PER--.- PBR1.39 3月配当株主優待
自動車用アンテナで国内首位。日本アンテナの事業部門譲受で国内外拠点を拡充。
配当金(実績)は3月末一括の7.5円配当のため、配当利回りは約0.85%となります。
原田工業は株主優待制度を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、3,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回り(配当は想定)は約4.27%となります。また長期優遇制度を導入しており、単元株を1年以上保有する場合には、クオカードの進呈額が4,000円になりますので、その場合の配当優待利回りは約5.41%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 408億円、営業利益 27.7億円 EPS 27.7円
■2018年3月期 売上高 429億円、営業利益 22.5億円 EPS 35.3円
■2019年3月期 売上高 431億円、営業利益 17.3億円 EPS 43.0円
■2020年3月期 売上高 411億円、営業利益 6.8億円 EPS 9.2円
■2021年3月期 売上高 (未定)億円、営業利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce
□2020年6月1Q 売上高 80.8億円、営業利益▲4.3億円 EPS▲15.4円(8/11)
□2020年9月2Q 売上高 180億円、営業利益 0.0億円 EPS▲4.6円 四e
2020年3月期の売上高は前期比4.6%減の411億円、営業利益は同60.7%減の6.8億円となり、当初より連続減益予算だったものの、見込みより更に減益幅が拡大しました。主力の国内向けとアジア向けが自動車生産台数の減少のあおりを受けたほか、期末にかけて新型肺炎の影響を受け、これら2エリアは大幅減となりました。一方、北中米および欧州についても事業環境は同様であり、域内での自動車生産台数自体は減少したほか、為替での不利影響も受けたものの、営業拡販活動の奏功により共に増収となりました。そのため、エリア毎の入れ繰りはあれど、トップライン自体はほぼ計画通りとなりましたが、新型肺炎対策と好不調による生産性のムラが響き、利益については一段と圧迫される結果となりました。
進行期である2021年3月期の予算については、新型肺炎により合理的な算出が出来ないことから、期初より公表を見送っており、8月11日に既に公表済の1Qについては、売上高が前年同期比24.1%減の80.8億円、営業利益は同赤転の▲4.3億円水準に沈んでいます。自動車生産台数が急速に落ち込んでいる影響で、国内向けについてはおよそ半減水準まで落ち込んでいる一方、比較的早期に新型肺炎の影響が一巡した中国(アジア)向けや、北中米・欧州については国内同様に苦戦しているものの、相対的にはややマシとみられます。何れにせよ予算非公表1Qで底打ちを確認したとは言えない状況にあり、会社側はこの1Qでの通期予算の公表を見送ったことから不透明感は一層強く、通期でトントンかあるいは水面下の水準まで落ち込む可能性があるとみています。
今期は4中計「NEW GROWTH」の2年度目となっており、最終年度の2023年3月期までにROE10%以上を安定的に確保することを定量目標に掲げています。売上高や利益面の定量目標が示されなかったことからも推察されるとおり、本中計期間は業績拡大よりも定性的な取組みが中心となり、①5G及び自動運転分野強化、②R&D強化、③コスト削減等の組織強化、が具体的な取組施策として挙げられており、これらの取組み自体も必要な説明が無く漠としたものとなっています。なお、昨年12月にベトナム第3工場を稼働開始させており、生産能力は従来の6割増となり、グローバルで最大の生産拠点に成長させていることから、生産体制は充足しているとみられます。そのため、あとは自助努力ではなく自動車市況の回復がただひたすら待たれるような状況です。
財務に関しては130億円ほどの有利子負債を抱えているものの、手許に60億円弱の現金を保有しているため、十分な余力を確保していると言えます。一方、実績ベースのROEは1.5%に留っており、足許の状況を鑑みるに更なる低下が見込まれる状況であるため、中計目標のROE10%達成のために自社株買いが期待されるものの、他部品メーカー比で株価位置が低いという訳ではないので非実施の可能性が高そうです。
なお、株主数は2017年3月末の1,428名から、2018年3月末には11,131名、2019年3月末に27,707名へ激増傾向がみられたものの、足許の2020年3月期末については28,971名に伸びが一服しています。会社側の株主優待の負担額はおよそ1.3億円程度と推察されるものの、配当水準もさほど高くないため、制度の見直しがある場合でもまずは長期保有制限といった形が想定されます。
*参考記事① 2019-09-09 829円 OP
今期も大幅減益見込みだが、優待制度は維持か・原田工業(6904)。
*参考記事② 2018-07-11 823円 OP
本末転倒ながら、手厚い優待継続のための減配は妥当か・原田工業(6904)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。