今期も大幅減益見込みだが、優待制度は維持か・原田工業(6904)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6904】原田工業(東証二部) OP

現在値 829円/100株 PER27.7 PBR1.29 3月配当株主優待 

自動車用アンテナで国内首位。日本アンテナの事業部門譲受で国内外拠点を拡充。
配当金は3月一括7.5円配当のため、配当利回りは約0.90%となります。

原田工業は株主優待制度を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、

3,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.52%となります。

また長期優遇制度を導入しており、単元株を1年以上保有する場合には、クオカードの

進呈額が4,000円になりますので、その場合の配当優待利回りは約5.72%となります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 432億円、営業利益 10.7億円 EPS▲4.4円 
■2017年3月期 売上高 408億円、営業利益 27.7億円 EPS 27.7円 

■2018年3月期 売上高 429億円、営業利益 22.5億円 EPS 35.3円

■2019年3月期 売上高 431億円、営業利益 17.3億円 EPS 43.0円

■2020年3月期 売上高 415億円、営業利益 12.0億円 EPS 29.8円 ce

□2019年6月1Q 売上高 106億円、営業利益 2.2億円 EPS 6.0円(8/9) 
□2019年9月2Q 売上高 205億円、営業利益 3.5億円 EPS 6.9円 ce 

2019年3月期の売上高は前期比微増の431億円、営業利益は同22.9%減の17.3億円となり、

当初より連続減益予算だったものの、見込みより更に減益幅が拡大しました。主力の国内

向けについては、自動車生産台数の増加と拡販により増収を確保したものの、人件費等

の原価率上昇により、大幅なセグメント減益となりました。また、国内と並ぶ主力市場であ

るアジア・北中米向けについても、全般的に為替影響を受けたほか、特に中国の自動車

市場の落ち込みが響いて減収となったほか、利益面についてもトップライン減少に起因す

る採算性悪化に加え、国内同様に人件費や原材料費の高騰影響を受けました。


進行期である2020年3月期の予算については、売上高が3.8%減の415億円、営業利益は

30.9%減の12.0億円と大幅続落を見込んでいます。実績期は堅調だった国内向けの一服

が見込まれるほか、アジア・北中米向けについては、中国市場の冷え込みが依然として

続いているため、全社業績はトップライン段階から反落する見通しとなります。利益面に

ついても、全般的な操業度の低下と中国・メキシコ等の海外工場における人件費の増加

により今期は減益幅は一段ときつくなる公算です。


実績期は6年長計「HARADA NEXTSTAGE 19」の最終年度であり、売上高を299億円から

400億円へ、営業利益を3.4億円から40億円(営業利益率10%)へそれぞれ伸長させる目標

でしたが、売上計画は達成、利益計画は未達となりました。2012年に日本アンテナから車

載部門(年商60億円)を約27億円で譲受し、そこから更に100億円程の売上高を積み増す

ことに成功したものの、国内外における人件費や原料費の高騰で利益が圧迫されました。

 

今期からは期間を4年間とした新中計「NEW GROWTH」を策定しており、最終年度の

2023年3月期までにROE10%以上を安定的に確保すること、を新たな定量目標に掲げてい

ます。売上高や利益面の定量目標が示されなかったことからも推察されるとおり、本中計

期間は業績拡大よりも定性的な取組みが中心となり、①5G向けR&D強化、②自動運転向

けのR&D強化、③コスト削減等が具体的な取組施策として挙げられています。既に必要な

拠点は揃っているとみられ、工場の新設等の計画もないため、当面は(特に中国の)自動

車市況の回復をひたすら祈るだけの展開となりそうです。


財務に関しては120億円ほどの有利子負債を抱えているものの、手許に70億円弱の現金

を保有しているため、十分な余力を確保していると言えます。今期の配当については7円

50銭配当の据置を予想していますが、大幅な減益見通しにより、図らずも配当性向は25%

水準まで大きく上昇する見込みです。ただ、実績ベースのROEは6.8%に留まり、今期予想

ベースでは更に4.7%水準にまで下がってしまうことから、中計目標のROE10%達成のため

には、自社株買いが求められる状況です。なお、株主数は2017年3月末の1,428名から、

2018年3月末には11,131名へと激増しており、実績期の2019年3月末には27,707名へと

更に激増しています。会社側の株主優待の負担額はおよそ1億円を超えてきたと思われ

ますが、大幅減益見込みの今期予算をベースに優待込みの総還元性向?を試算しても

4割以下の水準とみられますので、まだ優待制度を維持出来る範囲と考えています。

 

*参考記事① 2018-07-11 823円 OP

本末転倒ながら、手厚い優待継続のための減配は妥当か・原田工業(6904)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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