【4917】マンダム/最需要期の夏場は低調の公算。西村元延氏が退任し、次男が社長就任。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4917】マンダム(東証1部)  OP

現在値 1,875円/100株  P/E 116.8  P/B 1.31 3月配当 9月株主優待

「ギャツビー」「ルシード」など男性化粧品首位級。女性用も育成、海外はインドネシアに強み。
配当は3月/9月の年2回・36円配当のため、配当利回りは約1.92%となります。

 

マンダムは株主優待制度を導入しており、3月末現在の100株以上保有の株主に対して、5,000円分の自社製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.58%となります。


業績を確認をしていきます。企業会計基準29号の収益認識基準(新収益)を採用しています。

■2018年3月期 売上高 813億円 営業利益 84.5億円 EPS 130.2円 

■2019年3月期 売上高 789億円 営業利益 71.3億円 EPS 108.8円 

■2020年3月期 売上高 817億円 営業利益 59.7億円 EPS 97.7円

■2021年3月期 売上高 633億円 営業利益▲7.9億円 EPS 19.1円 

■2022年3月期 売上高 640億円 営業利益 9.5億円 EPS 16.0円 ce新収益
□2021年9月中 売上高 331億円 営業利益 9.6億円 EPS 19.3円 ce

2021年3月期の売上高は、前期比22.6%減の631億円、営業利益は同赤転の▲7.9億円となり、1Q時点で公表した期初見通しを下回って赤字圏まで転落しました。主力の国内市場については、新型肺炎禍による外出機会の減少により同15.9%減となり、回復が最需要期が過ぎた後の3Q以降となったほか、海外市場についても同様に2Qが底になったものの、主戦場のインドネシアについては回復が4Qまでズレ込みました。商品別では全般的に制汗剤・スタイリング剤が低調、スキンケア品が堅調に推移し、ブランド別では男性向けのGATSBYが夏場の天候不順の影響を色濃く受けたほか、女性向けのBifestaも化粧機会減少に伴いクレンジング品が後退しました。


進行期である2022年3月期通期見通しについては、売上高は1.1%増の640億円、営業利益は同黒字転換の9.5億円と反転増を見込んでおり、新収益基準への以降に伴いトップラインは微増の見えがかりとなりますが、実力ベースでは約7%の程度の増収と試算されています。国内市場については、新型肺炎禍による影響を上半期まで織り込む一方、直前4Q期間に実施した主力品のリブランディング効果の発現を見込みます。海外市場については、ECチャネルの強化とGATSBYのスタイリング剤の拡販を予定しています。当社は商品構成上夏場が最需要期となるため、集団免疫の獲得が遅れている現状は会社想定比ビハインドとみられ、未達公算が高いとみられます。


今般当社は2024年3月期を最終年度とする新3年中計を策定しており、最終的に売上高815億円、営業利益65.2億円(営業利益率8.0%)の達成を目標としており、概ね新型肺炎前の2020年3月期の業績水準の奪回を目指します。注力取組分野として、①ブランド革新、②インドネシア再生、③デジタル化とイノベーション等が挙げられています。①については、GATSBYのキャラクターを佐藤健氏、Bifestaを本田翼氏に変更しイメージの刷新を図るとともに、スタイリング剤や制汗剤等のイメージが強いGATSBYを男性コスメブランドにリブランドするほか、Bifestaについても別ブランドでの展開も含め堅調なスキンケア商材の拡充を図る方針です。

 

他方、このリブランドにあたって販促費や(従来品の)返品の増加が見込まれるほか、直近4Q生産力増強のために新設した福崎工場の新生産棟の前倒し稼働開始にともなう減価償却費の増加も重しとなるため、新型肺炎禍で需要が伸びない中計序盤は構造的に大変苦しくなると考えられます。②のインドネシアについては、同国の商流がこれまでの小商店等を中心としたものからECへ変化していることから、①によるブランド再定義を含め抜本的な再構築が必要になっています。かような状況もあり、今年より創業家の西村一族内で社長交代しており、25年に渡り社長を続けてきた元延氏から、海外やマーケティング畑出身の次男の健氏(39歳)へ世代交代しているため、まずはこのインドネシアの再生を期待したいと考えています。

 

なお財務面については、37億円程度の有利子負債を控除して90億円超のネット現金を抱えており、相変わらずの好財務状況(自己資本比率は73.1%)となっています。そのため、今次中計の3年間は増配継続を還元ポリシーに掲げており、併せて現状100億円以上保有している政策保有株式も純資産の10%以内に縮減していく方針としているため、業績によらずこの株売却(推定30億円超)分が還元原資になるとみられます。

 

*参考記事① 2012-12-28 2,384円 OP

マンダムから株主通信が来たので分析。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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