【3688】CARTA HOLDINGS/配当ポリシーをDOE5%基準に大拡充、猶予期間も解除。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3688】CARTA HOLDINGS(東証一部) BY

現在値 1,530円/100株 P/E 16.0  P/B1.54  6月優待 12月配当優待

ネット広告関連事業運営。19年初にサイバー・コミュニケーションズ(CCI)と合併。電通傘下に。
配当金は年2回・合計50円配当のため、配当利回りは4.57%となります。

 

CARTA HOLDINGSは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末時点の単元株主に対し、"nanaco"や"WAON"等に交換可能な1,000円相当のギフトコードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約%となります(※3年以上継続保有で1,500円に増)。

業績を確認していきます。
■2017年9月期 売上高 258億円、営業利益 18.0億円 EPS 96.9円 
■2018年9月期 売上高 285億円、営業利益 14.2億円 EPS 93.6円 

■2019年12月期 売上高 261億円、営業利益 38.3億円 EPS 94.2円 変則15m

■2020年12月期 売上高 224億円、営業利益 34.6億円 EPS 70.5円 

■2021年12月期 売上高 245億円、営業利益 38.0億円 EPS 95.2円 ce

□2021年3月1Q 売上高 64.8億円、営業利益 16.7億円 EPS 53.3円(5/13)
□2021年6月2Q 売上高 120億円、営業利益 18.5億円 EPS 33.7円 四e

2021年12月期の業績については、VOYAGEとCCIの経営統合による変則決算と会計基準変更があったため、参考値比較による売上高は前年同期間比1.2%増の224.8億円、営業利益は同12.6%増の34.6億円で着地し、修正予算に対しても超過達成しました。CCI中心のレップ等代理店事業については、新型肺炎の影響を大きく受けてナショナルクライアントを中心にブランド広告の出稿意欲が低下したもののの、VOYAGE中心のアドPF事業は、スマホ向けADN「Zucks」において海外ゲーム顧客の大規模出稿があったことから、「テレシー」への先行投資をこなし、採算性が大きく改善しました。また、「ECナビ」やゲーム関連のコンシューマー事業についてもミックスの改善により採算性が向上しました。


進行期である2021年12月期の通期見通しについては、売上高が8.9%増の245億円、営業利益は9.7%増の38.0億円と2桁に迫る増収増益を予想しています。レップ等代理店事業については、新型肺炎禍の“慣性化”により企業側の出稿意欲の底打ちとブランド広告の回復が見込まれます。一方、アドPF事業については、Googleの「3rdPartyCookie」の段階的な開示取りや本年初春の「iOS14」からIDFA(端末個体識別)にユーザ許可が必要となることから、ターゲティング広告の一部に影響が見込まれ、代替測定機能の調達やそもそもサービス提供が出来なくなる分野が発生することから、保守的な前提を置いているようです。なお、5月13日に開示された1Qによれば、売上高はインラインの進捗であるものの、好採算の代理店事業の回復で利幅が確保しており、利益は大幅超過ペースで進捗しています。

 

当社はVOYAGE GROUPと、電通とソフトバンクの合弁のレップ企業であるCCIが2019年に経営統合した企業であり、CCIの完全親会社であった電通が当社株式の52.7%を握ることとなり、事実上の電通グループ入りをしています。ただCCIの方が規模が大きかったため、“裏口上場”と見做されており、東証より「合併等による実質的存続性の喪失」の猶予期間入りしていましたが、この度2年にわたる審査が終了し、晴れて猶予期間から解除されて晴れて年末に一部上場銘柄となりました。

 

2019年2月に開示された中計によれば、2022年12月期に売上高209億円→320億円(CAGR11%)、修正EBITDA36.2億円→60.0億円(CAGR13%)を中期的な業績目標に定めていますが、中計2年度目の修正EBITDA実績値は計画を4億円程上回る41.3億円を確保しており、事業構成の入り繰りでトップラインこそ未達ではあるものの、計画超過ペースで順調に進捗しています。利益柱の代理店事業は新型肺炎禍の影響を受けやすい状況であるものの、逆にアドPF事業において100万円からTVCMを出稿出来る運用型TVCM配信プラットフォームの「テレシー」を開発するなど、従来型代理店である電通とのシナジーが創出しやすい分野に注力する方針です。また、こうした協業を推進させるために、傘下のCCIとVOYAGEとの事業会社統合を本年中に完了させる予定となっています。

 

なお、株主還元については従来の配当性向25%方針から、DOE5%という一層踏み込んだ還元性政策に切り替えており、実績配当金は年16円から年48円へと3倍水準に激増させています。予想配当についても更に2円増配となる年50円を見込んでいるほか、さらにプライム市場基準である流通株式35%基準に抵触しない範囲で自社株買いを実施することとしており、もう一段の還元拡充の可能性があるものとみています。

 

*参考記事① 2020-11-05 1,313円 BY

【3688】CARTA HOLDINGS/実質存続性喪失の猶予期間は、そろそろ“喪明け”の兆し。

 

*参考記事② 2020-05-18  887円 BY

【3688】CARTA HOLDINGS/新型肺炎影響は限定的、中計はインラインで推移か。

 

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