【3688】CARTA HOLDINGS/新型肺炎影響は限定的、中計はインラインで推移か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3688】CARTA HOLDINGS(東証一部) BY

現在値 887円/100株 PER14.1 PBR0.96  6月優待 12月配当優待

ネット広告関連事業運営。19年初にサイバー・コミュニケーションズ(CCI)と合併。電通傘下に。
配当金は年2回・合計16円配当のため、配当利回りは1.80%となります。

 

CARTA HOLDINGSは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末時点の単元株主に対してて、 "nanaco"や"WAON"等に交換可能な1,000円相当のギフトコードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約4.05%となります。

業績を確認していきます。
■2016年9月期 売上高 208億円、営業利益 17.2億円 EPS 61.8円 
■2017年9月期 売上高 258億円、営業利益 18.0億円 EPS 96.9円 
■2018年9月期 売上高 285億円、営業利益 14.2億円 EPS 93.6円 

■2019年12月期 売上高 261億円、営業利益 38.3億円 EPS 94.2円 変則15m

■2020年12月期 売上高 230億円、営業利益 25.0億円 EPS 62.8円 ce

□2020年3月1Q 売上高 59.4億円、営業利益 12.6億円 EPS 27.2円(5/14) 
□2020年6月2Q 売上高 100億円、営業利益 16.0億円 EPS 39.4円 四e

2019年12期はVOYAGEとCCIの経営統合(※後述)による変則決算と会計基準変更があったため、12ヶ月換算した上で、“ネット収益基準”に会計基準を遡及変更した参考値との比較をした売上高は前期比10.8%増の229億円(開示上は261億円)、営業利益は同3.8%増の30.8億円(同38.3億円)となり、実質増収増益となり、期初予算・増額後予算もクリアしました。CCI中心のレップ等代理店事業は自動車や飲料系広告主の出稿が想定より減少せずに成果報酬の計上が進んだほか、VOYAGE中心のアドPF事業についても、SSPの「fluct」及びスマホ向けADNである「Zucks」に加え、CCIのブランド広告主向けのDSP/ADN新サービス「PORTO」のローンチによる積み上げがありました。また、「ECナビ」やゲーム関連のコンシューマー事業についても、構成比僅少ながらも順調に推移したため、全セグメントで増収増益を果たしました。

進行期である2020年12月期の予算については、変則決算明けとなるため参考値との比較となるものの、売上高は前年同期間比0.3%増の230億円、営業利益は同18.9%減の25.0億円を其々予想しています。レップ等代理店事業については、予約型広告から運用型広告への業界の大きなトレンド変化にともない保守的な想定をしているほか、アドPF事業についてもCMerTVが株式譲渡により非連結となるため、ほぼ横ばいとなります。また全社的にGoogleの「3rdPartyCookie」の段階的な開示取りやめや、EUの「GDPR」規制等への対応が追加的に発生することから、その分の人工をみているものと考えられます。なお、5月14日開示済の1Qについては、調整後比較でほぼ横ばいとなっており、通期最大▲18億円の新型肺炎影響を見込んだ上で、通期予算を据え置いています。

 

当社はVOYAGEとCCIが2019年1月に経営統合した企業であり、CCIは電通とソフトバンクの合弁のレップ企業であり、同社はかつてマザーズ上場企業(4788)であったものの、2009年に電通のTOBで同社の完全子会社になっています。そして今次統合では存続会社となるVOYAGEが上場企業であるため、CCIは約10年振りに上場企業成りを果たしたほか、CCI完全親会社であった電通が当社株式の53.1%を握り、当社も事実上の電通グループ入りをしています。そしてVOYAGEもCCIも同業種ではあるものの、CCIの方が売上高や従業員数も多いため“裏口上場”と見做されており、東証から「合併等による実質的存続性の喪失」の猶予期間入りの指定を受けています。足許1Qでは外部アドバイザーと契約するとともに、社内体制・規約の整備を進めて、速やかに上場承認を得るべく進めている模様なので、おそらく不問方向で整理されるものと考えています。

 

昨年2月に開示された新中計によれば4年後の2022年12月期に売上高209億円→320億円(CAGR11%)、修正EBITDA36.2億円→60.0億円(CAGR13%)を中期的な業績目標に定めていますが、中計初年度の修正EBITDA実績値は計画を9億円程上回る40.3億円を確保しています。そのため、今後は新型肺炎の影響を受けナショナルクライアントのブランド広告を中心に受注が減少するものの、売上に直結しやすい成果連動広告等はさほど影響を受けないとみられるため、中計序盤の増勢ペースの“貯金”が効き、中計目標に近い数字を確保してくるもの考えています。また、定量面以外では上述の上場承認にくわえ、同じ電通グループ内の電通デジタルやセプテーニHD(4293)との業際整理や資本関係整理・経営再統合などが注目ポイントとなります。

 

なお、株主還元については年間配当16円を据え置いているものの、年初の自社株買い枠設定により約1%にあたる2.6億円分の自社株を上限まで買い切っています。当社は実質無借金であり、財務的にも非常に余裕があるため、配当については今期業績の如何によらず問題なく据え置かれるものと考えています。

 

*参考記事① 2019-12-05 1,328円 BY

CCIとの世紀の大合併で、電通傘下へ・CARTA HOLDINGS(3688)。

 

*参考記事② 2018-02-03 1,364円 OP

アドPF事業好調続き、新3年中計で復活期待・VOYAGE GROUP(3688)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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