アドPF事業好調続き、新3年中計で復活期待・VOYAGE GROUP(3688)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3688】VOYAGE GROUP(東証一部) ---

現在値 1,364円/100株 PER23.6 PBR 2.16 9月配当優待 3月優待

メディア向け広告配信プラットフォーム企画・運営。販促支援サイトも展開。
配当金は9月一括の15円配当のため、配当利回りは1.10%となります。

 

VOYAGE GROUPは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末の株主に
対して、"nanaco"や"WAON"等に交換可能な1,000円相当のギフトコードを
進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約2.56%となります。

業績を確認していきます。
■2014年9月期 売上高 150億円、営業利益 18.8億円 EPS 104円
■2015年9月期 売上高 177億円、営業利益 22.3億円 EPS 146円
■2016年9月期 売上高 208億円、営業利益 17.2億円 EPS 61.8円 
■2017年9月期 売上高 258億円、営業利益 18.0億円 EPS 96.9円 
■2018年9月期 売上高 300億円、営業利益 12.0億円 EPS 58.4円 ce

□2017年12月1Q 売上高 68億円、営業利益 4.0億円 EPS 29.1円(1/31)
□2018年3月中 売上高 140億円、営業利益 7.0億円 EPS 39.3円 四e

2018年9月期の売上高は前期比24.2%増の258億円、営業利益は同5.0%増

の18億円となり、中間時点の増額予算もクリアして上振れ着地となりました。
主力のアドPF事業において、SSPの「fluct」がスマホ用webサイトの媒体社
を中心に好調に推移したほか、同様にスマホ向けADNである「Zucks」も、

ゲーム以外の大型クライアント獲得が順調に拡大し、後発ながら高い業績

成長を示しました。一方、ポイント事業は会員数自体は増加しているものの、

前年のリニューアルによる混乱や、PCからスマホへの移行コスト等も嵩み、

当該セグメントは減収減益に沈んでいます。

進行期である2018年9月期の予算については、売上高が15.9%増の300億円、

営業利益は33.6%減の12.0億円と減益を見込んでいます。主力のアドPF事業

に関しては、業界の約3割のシェアを握るとみられるSSPの「fluct」において、

従来から強みを持つPCやスマホweb以外のスマホアプリ回りの取引先拡大

を目指すほか、DSP/ADNの「Zucks」「CMerTV」も顧客開拓やSSPとの垂直

統合効果を狙います。但し、この高成長が続くアドPF事業において、昨年5月

から、ブランド価値を下げる媒体(※微妙なサイトだが高利益率と推察される)
との取引見直しを実施した結果、進行期についても約6億円の減益インパクト

が発生する見込みであり、実質ベースでの全社の営業利益は横ばいながら、

数字の見た目上は大幅減益といった形の予算となります。


当社は新中計を開示しており、3年後の2020年9月期に売上高258→420億円

(CAGR17.5%)、営業利益18.0→30.0億円(CAGR18.4%)と年率2割弱の成長を

目指しています。成長の柱となるのは、既述の通りアドPF事業の取引先拡大

等となりますが、動画広告「CMerTV」との連携による高単価化が、収益面で

のドライバーとなります。足許で苦戦気味のポイント事業に関しては、広告費

の積極投入、還元率アップ、(他部署への)人事異動による採算性向上を図る

ほか、27億円超に及ぶポイント発行残高の有効活用を図っていく方針です。

会社側はこの「アドPF」「ポイント」の主要2事業に加え、「インキュベーション」

も含めた三本柱で、デジタルガレージのような企業体を目指しているとみられ

ます。ただこの中ではインキュベーション事業の存在感がかなり薄く、イオン

ディライト子会社であるカジタクと提携した、当社子会社における家事サービス

のネット販売事業や、新卒採用支援事業のサポーターズが育ってきたものの、

まだ利益は水面下となっています。また、昨年11月には仮想通過ウォレットを

展開する合弁会社を設立していますが、業績寄与は要時間かと思われます。

 

当社は2014年に公開価格@2,400円で上場して、約12億円を調達したものの、

足許の業績反落により、公開価格を大きく下回る株価水準で停滞しています。
ただ10億円弱の借金に対して、上場時の調達資金を含めた手許現金は50億

円を超える水準を確保しており、非常に優良な財務状態が続いています。

そのため、20%基準の配当性向目標を持ちつつも、足許では5億円(4.1%)もの

自社株を買い切ってきており、それが株主還元意欲かどうかはともかく、株価

の下支え意向はかなり強い印象です。元より当社は渋谷界隈では就職人気

企業の一角として、優秀な人材を集めており、従業員持株会の保有比率も高

まっているため、その辺の政策に関しては一定の理解が出来るものであります。

(当社は元より、“人を軸とした事業開発会社”を標榜しています。)

*参考記事① 2017-09-17 1,396円 ---
今期増額済も、来期以降の不安が残る・VOYAGE GROUP(3688)。

*参考記事② 2017-01-20  1,112円 ---
2桁の売上成長続くも、雌伏期の続くVOYAGE GROUP(3688)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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