CCIとの世紀の大合併で、電通傘下へ・CARTA HOLDINGS(3688)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3688】CARTA HOLDINGS(東証一部) BY

現在値 1,328円/100株 PER--.- PBR1.50  6月優待 12月配当優待

ネット広告関連事業運営。19年初にサイバー・コミュニケーションズ(CCI)と合併。電通傘下に。
配当金は年2回・合計16円配当のため、配当利回りは1.20%となります。

 

CARTA HOLDINGSは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末時点の単元株主に対して、 "nanaco"や"WAON"等に交換可能な1,000円相当のギフトコードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約2.71%となります。

業績を確認していきます。
■2016年9月期 売上高 208億円、営業利益 17.2億円 EPS 61.8円 
■2017年9月期 売上高 258億円、営業利益 18.0億円 EPS 96.9円 
■2018年9月期 売上高 285億円、営業利益 14.2億円 EPS 93.6円 

■2019年12月期 売上高 260億円、営業利益 35.0億円 EPS 86.3円 ce変則修正

□2019年6月3Q 売上高 142億円、営業利益 24.0億円 EPS 63.7円 変則
□2019年9月4Q 売上高 193億円、営業利益 28.0億円 EPS 70.0円(11/13)変則

今期はVOYAGEとCCIの経営統合(※後述)による変則決算の影響と会計基準変更のため、前年同期比較はないものの、2019年6月第3四半期の売上高は142億円、営業利益は24.8億円となりました。会計基準変更により“ネット収益基準”を採用しているため、見えがかり上のトップラインが統合前の水準まで潰されていますが、CCIが中心のレップ機能を含んだ代理店事業は自動車や飲料系広告主の出稿意欲増加により堅調に推移しました。また、VOYAGEが中心となるアドPF事業についても、SSPの「fluct」及びスマホ向けADNである「Zucks」に加え、CCIのプレミアムメディア向け(PMP)の「BEYOND X」とDSP/ADN新サービス「PORTO」のローンチによる積み上げがありました。また、構成比は低いもののの、ゲーム/EC所管のコンシューマー事業については先行投資投資負担が重く、セグメント損益は均衡圏止まりという結果になりました。

なお通期となる2019年12月期の予算については、存続企業であるVOYAGEの決算期が9月期から12月期に移行することにより15ヵ月間の変則会計期間となり、VOYAGEの12ヶ月分とCCIの15ヶ月分の数字を取り込む形となります。そのため、前期との比較は難しいものの、11月に既に開示されている4Q決算の時点で、足許の好調を織り込む形で増額しており、売上高については期初予算比変わらずの260億円、営業利益は同40.0%増の35.0億円にそれぞれ修正しています。主に好採算の代理店事業における、ナショナルクライアントの出稿意欲の上昇が大きく寄与したほか、コンシューマー事業における広告宣伝費が想定以下に留まったこと等に由ります。

 

当社はVOYAGEとCCIが2019年1月に経営統合した企業となっています。CCIは電通とソフトバンクの合弁の老舗レップ会社であり、かつてはマザーズ上場銘柄(4788)であったものの、2009年に電通のTOBで同社の完全子会社になっており、存続会社となるVOYAGEが上場企業であるため、およそ10年振りに上場企業成りを果たした格好となります。ただVOYAGEもCCIも同じネット広告関連業種であるものの、CCIの方が売上高や従業員数が圧倒的に多いこともあり、実態としては“逆さ合併”と見做され、(おそらく不問になると思われるものの、)東証から「合併等による実質的存続性の喪失」の猶予期間入り指定を受けています。また、本件経営統合により、CCIの100%株主であった電通が当社株式の53.1%を握ることとなり、当社は事実上の電通グループ入りをすることとなりました。

 

今後の定性的な取り組みとしては、アドテクに強いVOYAGEとナショナルクライアントを多く抱えるCCIという補完性の高さを活かし、VOYAGEのアドテク商品(ADN・DSP・SSP)をCCIの販路に乗せていくとともに、これまでのCCIが溜め込んだ顧客マーケティング情報を活かしてVOYAGEと協業して新たなアドテク商品を開発するというのが基本戦略となります。また、既に電通には電通デジタルというネット広告に特化した子会社があるほか、同じく独立系だったセプテーニHD(4293)の筆頭株主にもなっているため、そちらのグループシナジーや更なる資本的な再編?がなされる可能性も考えられます。そのため、電通グループ全体のネット広告戦略として、当社がどのような立ち位置の会社になるのか見極めていく局面に入ったと言え、その如何によって当社の中長期な業績拡大のポテンシャルが決まってくるものと考えています。


なお、統合後の本年2月に開示された新中計によれば4年後の2022年12月期に売上高209億円→320億円(CAGR11%)、修正EBITDA36.2億円→60.0億円(CAGR13%)を一応の中期的な業績目標に定めてはいるものの、現時点において本中計の実現確度を図るのは次期尚早かと思います。

 

*参考記事① 2018-02-03 1,364円 OP

アドPF事業好調続き、新3年中計で復活期待・VOYAGE GROUP(3688)。


*参考記事② 2017-09-17 1,396円 OP
今期増額済も、来期以降の不安が残る・VOYAGE GROUP(3688)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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