今期は減額警戒圏だが、翌期からの持ち直しに期待・グリーンズ(6547)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6547】グリーンズ(東証1部) NT

現在値 1,191円/100株 PER11.5 PBR1.41  6月配当 12月株主優待

三重県地盤。「コンフォートホテル」を全国展開。「グリーンズホテル」も。
配当金は6月の年1回23円で、配当利回りは約1.93%となります。

グリーンズは株主優待制度を実施しており、12月末現在の単元株主に対して、自社運営施設で利用可能な優待券を2,000円分進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.61%となります。

業績を確認していきます。  
■2016年6月期 売上高 250億円、営業利益 22.7億円 EPS 129円 
■2017年6月期 売上高 260億円、営業利益 22.8億円 EPS 133円 

■2018年6月期 売上高 271億円、営業利益 19.0億円 EPS 93.6円 

■2019年6月期 売上高 308億円、営業利益 24.3億円 EPS 117円 

■2020年6月期 売上高 327億円、営業利益 20.8億円 EPS 103円 ce

□2019年9月1Q 売上高  80.7億円、営業利益 8.2億円 EPS 42.6円(10/31)

□2019年12月2Q 売上高  171億円、営業利益 19.1億円 EPS 96.8円 ce

 

2019年6月期の売上高は前期比13.8%増の308億円、営業利益は同27.4%増の24.3億円となり、ほぼ期初予算通りの水準で着地しました。前期に開業の名古屋伏見(175室)、S新浦安(312室)、札幌(151室)、伊勢(153室)の通期稼働効果と、宮崎(179室)、三宮(219室)、高知(167室)、新大阪(150室)の新規開業が主な増収要因となります。また、高単価物件であるS新浦安の牽引とGW10連休効果などもあり、RevPARが前期の5,543円から5,849円へ300円強も上伸したほか、前期開業のS新浦安の開業費用2億円の剥落による(営業利益の)押し上げがありました。


進行期である2020年12月期の予算については、売上高が5.9%増の327億円、営業利益は同14.4%減の20.8億円と一転して2桁の減益を見込んでいます。チョイスホテルズ(CH)事業における宮崎(179室)、三宮(219室)、高知(167室)、新大阪(150室)、グリーンズホテル(GH)事業における栄(148室)の2事業合計5棟・863室の通期稼働効果が見込まれるほか、CH事業において名古屋新幹線口(156室)、石垣島(81室)が新規開業予定となっており、これらが主な増収要因となります。増収の一方、2桁減益予算となるのは、人手不足などの構造問題に対して先行投資を図る(※詳細は後述)ほか、出店端境期となる今期は翌期出店分の開業費用がのしかかる格好となります。また、足許における台風等の自然災害の増加や韓国人旅行者の減少は割引要因であり、減益幅が予想より拡大する可能性があります。

 

当社はこれまでローリング形式による3年中計を公表しており、従来は2021年6月期に売上高320億円(CAGR7.8%)、営業利益26.0億円(CAGR10.9%)を目指していましたが、成果明瞭化のため今回開示の3年中計よりFIX形式へと変更しています。新たな業績目標は、最終年度の2022年6月期に売上高385億円(CAGR7.6%)、営業利益29.0億円(CAGR6.1%)としており、従来の中計と比較するとトップライン成長はこれまで通りのモメンタムを維持するものの、利益成長がやや緩慢となります。

 

基本的には新規出店による外部成長が基本戦略となり、翌2021年6月期出店分としては松山(197室)、名駅南(178室)のほか、京都南(未定)、京都下京(未定)、名古屋熱田(未定)の計5棟推定850室が名有りとなっており、今回3年中計は後半偏重型となる見通しです。また、本中計では107億円分の戦略投資枠を設定しており、ライブラリーカフェの新設やロビーのバリューアップ工事などのCAPEX投資を実行するほか、既存宴会場を貸会議室へコンバージョンし、収益源の多様化を図る方針です。また、人手不足やIT技術進展による環境変化に対応するため、セルフチェックインシステムや翻訳端末システムの導入などのデジタル化を推進し、中長期的なコスト抑制が期待出来るものの、これらの先行投資が中計の前半に集中するため、当面は見栄えのしない数字で仕上がるものと思われます。

 

一方、株主還元に関しては、実績期で3円増配したこともあり、年23円配当を据え置く方針としています。財務的には余裕があり(自己資本比率56.3%)、オペレーター特化型の非オンバランスホテル事業が生業であるため、本質的には大した資金需要などない筈ではあるものの、今回の中計では積極的にシステム等に投資していくことから、取り敢えず期初段階では意図的に株主還元を抑えているものとみられます。

 

*参考記事① 2019-05-15 1,532円 NT

名有り物件急増で中計走破圏も、株主還元物足りぬ・グリーンズ(6547)。

 

*参考記事② 2018-11-13  1,476円 NT

上場時調達資金を投じ、成長モメンタムの再加速を志向・グリーンズ(6547)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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