名有り物件急増で中計走破圏も、株主還元物足りぬ・グリーンズ(6547)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6547】グリーンズ(東証1部) --

現在値 1,532円/100株 PER13.0 PBR1.90  6月配当 12月株主優待

三重県地盤。「コンフォートホテル」を全国展開。「グリーンズホテル」も。
配当金は6月の年1回20円で、配当利回りは約1.31%となります。

グリーンズは株主優待制度を実施しており、12月末現在の単元株主に対して、自社運営

施設で利用可能な優待券を2,000円分進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.62%

となります。

業績を確認していきます。 
■2015年6月期 売上高 224億円、営業利益 21.6億円 EPS 138円   
■2016年6月期 売上高 250億円、営業利益 22.7億円 EPS 129円 
■2017年6月期 売上高 260億円、営業利益 22.8億円 EPS 133円 

■2018年6月期 売上高 271億円、営業利益 19.0億円 EPS 93.6円 

■2019年6月期 売上高 310億円、営業利益 22.7億円 EPS 117円 ce

□2018年12月2Q 売上高  160億円、営業利益 19.3億円 EPS 101円 
□2019年3月3Q 売上高  230億円、営業利益 18.5億円 EPS 93.6円(5/7)

2018年12月中間の売上高は前年同期比15.1%増の160億円、営業利益は同4.5%増の19.3

億円となり、予算比はないものの、増収増益での折り返しとなりました。チョイスホテルズ

(CH)事業において、前期に開業した名古屋伏見(175室)、S新浦安(312室)、札幌(151室)、

伊勢(153室)の4棟791室がフル寄与したほか、高単価物件であるS新浦安の牽引より、

RevPARは前年同期の6,114円→6,391円へ300円弱も押し上がりました。昨年秋口の台

風や豪雨・地震により、グリーンズホテル(GH)事業も含めたポートフォリオ全体で15%強を

占める関西・北海道物件が一時的に影響を受けたものの、当社本拠地である三重県で

1ヵ月に渡って高校総体が開かれた特需などもあり、数字自体は順調に仕上がりました。


2019年6月期の通期予算については期初の数字を据え置いており、売上高が14.3%増の

310億円、営業利益は19.1%増の22.7億円を予想しています。今期はCH事業において新

規に4棟の開業を予定していましたが、宮崎(179室)、三宮(219室)、高知(167室)の3棟

上期で開業を済ませたほか、残る新大阪(150室)についても開業済となっています。

そのため、通常は営業利益を大きく押し下げる開業費用が既に大方織り込まれており、

今期の増益は前期開業の大型案件・S新浦安の開業費用2億円の剥落によるところが

大きく、そのS新浦安も想定以下で苦戦しているとみられるものの、5月7日に開示済の

3Qの数字から判断するに、今期業績は十分に達成可能圏にあると言えそうです。

 

当社はローリング形式による3年中計を公表しており、最終年度となる2021年6月期の

業績目標は売上高271→320億円(CAGR7.8%)、営業利益19.0→26.0億円(CAGR10.9%)

となっています。新規出店による外部成長が基本戦略となりますが、本中計では50億円

分の戦略投資枠を設定しており、ITや人材への投資や、同業他社チェーンのMA、個店

単位でオペレーターチェンジを狙っていく方針です。また、一昨年のIPOで28億円を調達

していることもあり、基本的には自社で物件を持たないアセットライト型の純オペレータ

ということもあり、実質的に無借金経営のため、財務面では余力残しとなっています。

この戦略投資枠の使途は具体化していないものの、現時点で名駅前(156室)、石垣島

(81室)、松山(197室)、名古屋栄(148室)、京都(180室)、名駅南(178室)が“名有り”物件

となっているため、オーガニックな成長でだけでも、表記の中計目標は達成可能な範囲

にあるものと現時点では考えています。


なお、こうした新規出店についてはREIT/ファンドルートでの新規出店が継続的に期待

出来ます。既存物件では、ケネディクス(4321)のホテルファンドや、星野リゾート(3287)、

いちごホテル(3463)、インヴィンシブル(8963)、JHR(8985)、みらい(3476)といったホテル

特化型REITのみならず、総合型のファンドやREITや私募REITの物件を受注しているた

め、賃料はシビアかもしれませんが、パイプライン自体はそれなりに充実しています。

(この他にエリアリンクからも八日市や魚津、鹿島など複数のベストインを賃借している)

 

一方、株主還元に関しては、前期の記念配込の20円配当を据え置く方針としています。

財務的には余裕があるものの、MA案件の出物に備えて、財務を温存しているものとみ

られますが、オンバランス型のホテル事業でない以上、基本的には大した資金需要など

ないはずであるため、現状の配当性向17%水準はあまりに過少であり、実質無借金であ

ることも鑑みれば、25%水準の年「30円+α円」の配当が妥当であると考えています。

 

*参考記事① 2018-11-13  1,476円 --

上場時調達資金を投じ、成長モメンタムの再加速を志向・グリーンズ(6547)。

 

*参考記事② 2018-03-20 1,625円 --

虎の子の札幌物件売却で、オフバランス経営が鮮明・グリーンズ(6547)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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