【3688】CARTA HOLDINGS/実質存続性喪失の猶予期間は、そろそろ“喪明け”の兆し。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3688】CARTA HOLDINGS(東証一部) BY

現在値 1,313円/100株 PER20.7 PBR01.38  6月優待 12月配当優待

ネット広告関連事業運営。19年初にサイバー・コミュニケーションズ(CCI)と合併。電通傘下に。
配当金は年2回・合計16円配当のため、配当利回りは1.22%となります。

 

CARTA HOLDINGSは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末時点の単元株主に対してて、 "nanaco"や"WAON"等に交換可能な1,000円相当のギフトコードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約2.74%となります(※3年以上継続保有で1,500円に増)。

業績を確認していきます。
■2016年9月期 売上高 208億円、営業利益 17.2億円 EPS 61.8円 
■2017年9月期 売上高 258億円、営業利益 18.0億円 EPS 96.9円 
■2018年9月期 売上高 285億円、営業利益 14.2億円 EPS 93.6円 

■2019年12月期 売上高 261億円、営業利益 38.3億円 EPS 94.2円 変則15m

■2020年12月期 売上高 230億円、営業利益 25.0億円 EPS 62.8円 ce
□2020年6月2Q 売上高 111億円、営業利益 19.9億円 EPS 39.3円(8/12)

2020年6月期の業績については、VOYAGEとCCIの経営統合による変則決算と会計基準変更があったため、参考値比較による売上高は前年同期比9.3%増の51.6億円、営業利益は同130.4%増の7.2億円で進捗し、期初予想との比較はないものの大幅な増益を確保しました。CCI中心のレップ等代理店事業については、新型肺炎の影響を大きく受けてナショナルクライアントの出稿意欲が低下したもののの、VOYAGE中心のアドPF事業については、スマホ向けADN「Zucks」において海外ゲームクライアントの大規模な広告出稿があったことから、採算性が大きく改善しました。また、「ECナビ」やゲーム関連のコンシューマー事業については、“巣ごもり”効果により関連メディアのPVが一段増となり、セグメント利益は前年同期比4倍弱の水準に膨れ上がりました。


なお2020年12月期の通期予想についても参考値との比較となるものの、売上高は前年同期間比0.3%増の230億円、営業利益は同18.9%減の25.0億円と期初予想を据え置いています。レップ等代理店事業については、予約型広告から運用型広告への業界の大きなトレンド変化にともない保守的な想定をしているほか、アドPF事業についてもCMerTVが株式譲渡により非連結となるため、ほぼ横ばいとなります。また全社的にGoogleの「3rdPartyCookie」の段階的な開示取りやめにくわえ、9月リリースの「iOS14」からIDFA(端末個体識別)にユーザ許可が必要となることから、これらの影響や対応費用発生が想定されるため、上期業績が想定超の推移とみられるものの、保守的に期初予想を据え置いているものと考えられます。

 

当社はVOYAGE GROUPと、電通とソフトバンクの合弁のレップ企業であるCCIが2019年1月に経営統合した企業であり、統合では存続会社となる当社が上場企業であったため、CCIは約10年振りに上場企業成りを果たしたほか、CCIの完全親会社であった電通が当社株式の52.7%を握ることとなり、事実上の電通グループ入りをしています。そしてVOYAGEもCCIも同業種ではあるものの、CCIの方が売上高や従業員数も多いため“裏口上場”と見做されており、東証から「合併等による実質的存続性の喪失」の猶予期間入りの指定を受けていますが、直近のアナウンスによれば早ければ年内、遅くとも来年中に上場再承認される見通しとなっており、不問の公算が高そうです。

 

昨年2月に開示された新中計によれば、4年後となる2022年12月期に売上高209億円→320億円(CAGR11%)、修正EBITDA36.2億円→60.0億円(CAGR13%)を中期的な業績目標に定めていますが、中計初年度の修正EBITDA実績値は計画を9億円程上回る40.3億円を確保しています。そのため、今後は新型肺炎の影響を受けナショナルクライアントのブランド広告を中心に受注が減少するものの、売上に直結しやすい成果連動広告等やゲーム関連事業についてはさほど影響を受けないとみられるため、表記数値の達成可能性は依然残るものとみています。また業績上積みのため、足許では手許現金でのMA案件も繰り出しており、インフルエンサー事業でInstagramに強みを持つKAIKETSU社の過半の株を取得し、本年7月から連結化するなどしています。

 

なお、株主還元については年間配当16円を据え置いているものの、年初の自社株買い枠設定により約1%にあたる2.6億円分の自社株を上限まで買い切っています。当社は実質無借金であり、財務的にも非常に余裕があるため、配当については今期業績の如何によらず問題なく据え置かれるものと考えています。

 

*参考記事① 2020-05-18  887円 BY

【3688】CARTA HOLDINGS/新型肺炎影響は限定的、中計はインラインで推移か。

 

*参考記事② 2019-12-05 1,328円 BY

CCIとの世紀の大合併で、電通傘下へ・CARTA HOLDINGS(3688)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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