【4809】パラカ/23年振りの減収も、保有駐車場収益と財務基盤厚く、配当維持の公算。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4809】パラカ(東証一部) OP

現在値 1,607
円/100株 PER15.5 PBR1.03 9月配当株主優待

時間貸し駐車場運営・管理。土地賃借型を中心に土地自社保有型も展開。
配当金は9月末一括の55円配当のため、配当利回りは約3.42%となります。

パラカは株主優待を実施しており、9月末に単元株を保有する株主に対して、2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約
%4.66%となります。

業績を確認していきます。 
■2017年9月期 売上高 126億円、経常利益 21.9億円 EPS 152.1円 

■2018年9月期 売上高 136億円、経常利益 19.5億円 EPS 192.0円

■2019年9月期 売上高 140億円、経常利益 20.7億円 EPS 241.4円 

■2020年9月期 売上高 124億円、経常利益 11.8億円 EPS 75.5円 

■2021年9月期 売上高 125億円、経常利益 15.0億円 EPS 103.8円 ce
□2021年3月2Q 売上高 61.3億円、経常利益 7.2億円 EPS 49.3円 ce

2020年9月期の売上高は前期比11.5%減の124億円、経常利益は同42.9%減の11.8億円となり、22期連続で更新していたトップライン成長が止まったほか、利益も大幅減となりました。年明けから新型肺炎禍の影響を大きく受け、繁華立地・商業施設周辺・パーク&ライド型駅前立地の売上が著しく減少しました。そのため、賃料減額や出来高方式への契約切替を推進する等したものの、穴埋めしきれませんでした。
新規車室については、新型肺炎禍で不採算の賃借駐車場を中心に解約を進めた一方で、保有駐車場は前期並みの約29.5億円(247車室)を仕入れたため、賃借・保有をネットした車室純増数は前期比▲190室となり、期末時点の車室残高は30,712室と微減に留まっています。

進行期である2021年9月期の通期予算については、売上高が0.2%増の125億円、経常利益は26.6%増の15.0億円を予想しています。新規の賃借駐車場の仕入は抑制し、むしろ不採算現場の解約を進める一方で、保有駐車場の取得に引き続き注力していく方針です。直近5年間においては、【15.6→17.0→24.7→30.6→29.5億円】、といった具合にバランスシートに負荷をかけて保有駐車場を確保しにいっており、この基調が継続する見通しです。なお、既存駐車場の稼働前提については、終わった2020年9月期4Q期間と同レベルの水準で計数の前提を組んでいるため、会社側アナウンスによれば“保守的”ですが、足許の緊急事態宣言でそれ以下の水準に沈んでいる公算が高いため、ガイダンスは楽観禁物かと思われます。


当社は成長のドライバーとして、低金利を活かしたオンバランスの保有駐車場を柱に据えており、粗利構成比では賃借駐車場と並んでいましたが、新型肺炎禍でついに逆転しました。特に賃借駐車場で圧倒的なシェアを誇る地方中核都市(新潟・青森・水戸・長岡・甲府・姫路など)で、保有駐車場の取得を進めており、実績期では青森・姫路で買い増ししたほか、横浜・大阪のほか、門前仲町や新宿(若松河田)といった高坪単価のエリアまで積極的に買いに行っています。既に保有駐車場の簿価は265億円超に上っており、これが粗利ベース利回り5.7%(実績)で回っている計算となります。

 

当社は従来よりドミナント戦略により、用地の仕入情報や利用者のサービス券の面で、都市ごと丸ごと囲い込む戦略を採っておりましたが、保有駐車場に注力する背景は、地方中核都市で“中心回帰現象(コンパクトシティ化)”が発現してきているため、シャッター街の再開発による地価の上昇と、将来的なマンション業者への高値転売まで視野に入れた動きを睨んでのものと推察されます。また、昨今の新型肺炎禍で、地方中核都市の駅前商業エリアの廃業事業者の増加が見込まれるほか、ホテル用地とも仕入れ競合しずらくなったため、保有駐車場の仕入れ環境は良化しているほか、有力売買仲介業者である東急リバブルや大成有楽不動産販売との提携を相次いで公表していることから、一層オンブックでの業容拡大を志向しているものと推察されます。

 

保有駐車場中心の戦略を推進する上で重要なのが財務状況ですが、自己資本比率については43.4%と引き続き高水準をキープしています。当社は過去に仕込んだ低簿価の保有駐車場を切り売りして含み益を利益として顕在化させ、自己資本を厚くしながら安い場所で仕入れを続けるキャピタルリサイクルを実現しています。そのため、この好財務を活かして、同業最大手のパーク24が無配(大幅減配)に沈む中、配当についても年55円の横ばい予想を据え置いており、余裕の資金繰りを感じさせるところであります。

 

*参考記事① 2020-02-26 1,900円 OP

【4809】パラカ/地方物件の高値転売で、仕入積極化とB/S良化の両立を実現。

 

*参考記事② 2019-01-11 1,610円 OP

目下の興味は業績よりも日成ビルド工業(スペースバリューHD)の動き、パラカ(4809)。

 

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