目下の興味は業績よりも日成ビルド工業(スペースバリューHD)の動き、パラカ(4809)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4809】パラカ(東証一部) ---

現在値 1,610円/100株 PER11.77 PBR1.20 9月配当株主優待

時間貸し駐車場運営・管理。土地賃借型を中心に土地自社保有型も展開。
配当金は9月末一括の50円配当のため、配当利回りは約3.11%となります。

パラカは株主優待を実施しており、9月末に単元株を保有する株主に対して、2,000円分の

クオカードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約4.34%となります。

業績を確認していきます。 
■2015年9月期 売上高 109億円、経常利益 17.8億円 EPS 119.5円
■2016年9月期 売上高 120億円、経常利益 21.5億円 EPS 145.4円 
■2017年9月期 売上高 126億円、経常利益 21.9億円 EPS 152.1円 

■2018年9月期 売上高 136億円、経常利益 19.5億円 EPS 192.0円(11/6)

■2019年9月期 売上高 146億円、経常利益 19.6億円 EPS 136.7円 ce
□2019年3月中 売上高 70.6億円、経常利益 9.7億円 EPS 67.3円 ce

2018年9月期の売上高は前期比7.7%増の136億円、経常利益は10.9%減の19.5億円となり、

22期連続の増収・7期連続の最高益を確保しましたが、期初予算に対しては大幅な未達で

落着しています。新規車室は前期並みの現場数を確保したものの、小型化が進んだため、

保有・賃借を合わせてネットした車室純増数は前期比65.3%減となる1,198室となり、期末の

車室残高は29,218室と伸びが鈍化しました。また、新規車室の開拓先行費用が嵩んだこと

にくわえて、看板の一括更新や高採算現場の解約、北陸地方における豪雪による貸し止め

減収と除雪費用が重しとなったほか、本社移転・営業所開設により利益が圧迫されました。

なお、最終利益だけは固定資産の成田駐車場の売却益により、増収をキープしています。

進行期である2019年9月期通期予想については、売上高が7.1%増の146億円、経常利益は

0.8%増の19.6億円を予想しています。既述のとおり、実績期における新規車室の積み上げ

が甘かったため、トップラインの伸びは1桁に留まる見通しです。ここ数期は賃借駐車場の

仕入難化も相俟って、保有駐車場の取得に特に注力しており、前4期で12.8→15.6→17.0

→24.7億円、といった具合にバランスシートを重くして新規車室をなんとか確保しています。

ただ、リスクを孕みつつも高採算の保有駐車場の割合が増えるわりに利益の伸びが緩く

なるのは、今期13人(注:全社員は80人)もの新卒を採用することによる人件費増や、シス

テム投資の増加、愛宕ガーデンヒルズへの本社移転による賃料増加等によるものです。


当社は成長のドライバーとして、低金利を活かしたオンバランスの保有駐車場を柱に据え

ており、既に粗利の構成比では賃借駐車場と並ぶ規模に育っています。特に賃借駐車場

で圧倒的なシェアを誇る地方中核都市(新潟・青森・水戸・長岡・甲府・姫路など)で、保有

駐車場の取得を進めています。当社は従来よりドミナント戦略により、用地の仕入情報や

利用者のサービス券の面で、都市ごと丸ごと囲い込む戦略を採っておりましたが、ここに

きて保有駐車場に注力する背景は、地方中核都市で“中心回帰現象(コンパクトシティ化)”

が発現してきているため、シャッター街の再開発による地価の上昇と、将来的なマンション

業者への高値転売まで視野に入れた動きをとっているものとみられます。

 

そのため、最大手のパーク24よりも不動産屋化が顕著であり(実際の株価のマルチプルも

転売不動産屋のそれに近い)、財務面への影響が懸念されますが、これまで配当を絞って

きたこともあり、2007年から10年以上POをしていないにも拘わらず、足許の自己資本比率

で43%水準を確保しているため、保有駐車場注力施策による増資の懸念も限定的です。

 

なお、かねてより当社株を買い捲っている金沢の立駐建築業者である日成ビルド工業の

動向については、昨年9月の大量保有報告により、17.97→18.99%まで買い上がっている

ことが明らかとなっています。同社によるプレッシャーもあり(!?)、実績期までで7期連続の

増配となっていましたが、保有駐車場を更に積極的に増やす意向の今期は、年50円配を

据え置く方針(配当性向36.6%)となっています。同社親会社のスペースバリューHD(1448)

よりもバリュエーションも高いので、どこまで本気で関与するか不明ですが、昨年同社は

ツバを付けていた日本エスコンの主導権を中電に横取りされてしまった経緯もあるので、

物色の矛先が当社に向いてくる可能性は十分にあろうかと思います。

 

*参考記事① 2017-12-29  2,547円 ---

駐車場オペレーターだが、「不動産屋感」は一層強く・パラカ(4809)。


*参考記事② 2016-12-24  1,988円 ---
創業者の内藤氏が社長復帰、オンバランス経営が鮮明なパラカ(4809)。

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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