【3221】ヨシックス/好財務をテコに、物件と飲食事業者の“ファイヤーセール”狙い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3221】ヨシックス(東証一部)  OP

現在値 1,844円 PER--.- PBR2.66 3月配当優待 9月配当優待

名古屋地盤の居酒屋チェーン。すし居酒屋、低価格均一居酒屋展開。
配当金(実績)は3月末・9月末の年2回合計24円配のため、配当利回りは約1.30%となります。

ヨシックスは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する3月末・9月末の株主に対して、3,000円相当の食事券(および食事2割引券10枚)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.55%となります。

業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 127億円、経常利益 13.8億円 EPS 84.8円

■2018年3月期 売上高 156億円、経常利益 19.5億円 EPS 118.8円

■2019年3月期 売上高 179億円、経常利益 24.0億円 EPS 149.1円 

■2020年3月期 売上高 187億円、経常利益 23.5億円 EPS 121.8円 

■2021年3月期 売上高(未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce
□2020年9月中 売上高 43.0億円、経常利益▲6.9億円 EPS▲48.1円(11/6)


2020年9月中間期の売上高は前年同期比53.6%減の43.0億円、経常利益は同赤転の▲6.9億円で着地し、期初予想との比較は無いものの大幅な減収減益となりました。新型肺炎禍にともなう緊急事態宣言発出にともない、4月5日から約1ヵ月間に渡って全店を休店としたほか、その後も東京・大阪・名古屋等の中核都市で時短営業を迫られたため、トップラインが大きく毀損する格好となりました。また、原価についても交渉により地代家賃を削減したものの、店舗固定資産に関しては減価償却が発生したほか、人件費も休業助成金だけでは埋めきれず、損益についても赤字圏に転落しました。出退店については、主力の「や台ずし」を中心に5店舗を出店したものの、26店舗を閉店したため上期末店舗数は純減20店の323店となりました。

 

2021年3月期の通期見通しについては、新型肺炎による影響で合理的な算出が出来ないことから依然未定としています。既に11月の単月の月次まで開示されており、既存店売上高については10月が80.4%、11月が80.1%とまずまずの水準をキープしていますが、本来的には飲食店の書入れ時である12月が忘年会回避ムードの中で低迷した公算が高く、3Q単独期間で切り取っても均衡圏止まりと考えられます。そのため、営業外で助成金受領による穴埋めがあるものの(経常利益から寄与)、通期では上期で凹んだ分の赤字がそのまま残るか拡大する可能性があると判断されます。なお出店については、11月に飯塚(福岡)店、12月に松江駅前を出店しております。

 

当社は中期目標として店舗数500店・売上高300億円・経常利益30億円(経常利益率10%)を掲げています。基本的には「田舎戦略」と称する戦略を採っており、「1.5~2等立地」かつ「30~40坪の広さ」かつ「新幹線隣接市町村で乗降客6千人超の駅前」において出物があった物件を賃料負担率7%以内の家賃で賃借し、内製化した建装事業部の活用により低原価・早期完工による高速出店を実現しています。また本年1月からは持株会社制への移行を済ませており、飲食事業をヨシックスフーズに、建装事業をヨシオカ建装に分割し、建装会社の方は当社創業者子息である吉岡裕太郎氏(野村證券出身)が代表に就任しています。

 

本施策は建装事業を別会社化することで出店機動力をアップさせることが狙いと考えられ、新型肺炎禍で駅前の空き物件が急速に増加しているため、居抜物件でも自らスピード改装できる当社にとって千載一遇の出店拡大チャンスとなっているため、こういう体制になったとみられます。また、昨年11月にはMAクラウドにて取得意向企業要件の開示を開始しており、本格的にMA案件のソーシング強化に取り組み始めたことから、新型肺炎禍での物件や飲食事業者の“ファイヤーセール”に狙いを付けて虎視眈々と業容拡大の機会を伺っているような状況です。

 

なお財務に関しては、昨年10億円の借入を起こしたものの、実質無借金状態を継続しており、外食企業の中では群を抜く良好な財務体質を維持しています。そのため、配当予想は中間配当を無配に修正したほか、通期も未定としているものの、有配圏に留まる公算が高いと考えています。

 

*参考記事① 2020-08-17 1,691円 OP

【3221】ヨシックス/千載一遇の出店好機到来も、デフレ志向の「にぱち」業態力は弱い。

 

*参考記事② 2019-07-25 2,533円 NT

【3221】ヨシックス/働き方改革余波で成長鈍化も、還元余力増大で増配期待。

 

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