【3221】ヨシックス(東証一部) OP
現在値 1,691円 PER--.- PBR2.52 3月配当優待 9月配当優待
名古屋地盤の居酒屋チェーン。すし居酒屋、低価格均一居酒屋展開。
配当金(実績)は3月末・9月末の年2回合計24円配のため、配当利回りは約1.41%となります。
ヨシックスは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する3月末・9月末の株主に対して、3,000円相当の食事券(および食事2割引券10枚)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.96%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 127億円、経常利益 13.8億円 EPS 84.8円
■2018年3月期 売上高 156億円、経常利益 19.5億円 EPS 118.8円
■2019年3月期 売上高 179億円、経常利益 24.0億円 EPS 149.1円
■2020年3月期 売上高 187億円、経常利益 23.5億円 EPS 121.8円
■2021年3月期 売上高(未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce
□2020年6月1Q 売上高 12.4億円、経常利益▲10.5億円 EPS▲71.8円(8/7)
2020年3月期の売上高は前期比4.3%増の187億円、経常利益は同2.0%減の23.5億円となり、期中で2度に渡り増額修正するなど好調に推移していたものの、終わってみれば期初予算水準での着地となり、利益も微減益となりました。労働基準法改正にともなう時間外労働の厳格化による深夜営業の抑制や定休日設定による売上減のほか、台風10号や15号の影響を受け、既存店売上高は(概ね計画通りとみられる)90%台後半水準で推移しました。然しながら、期末にかけて新型肺炎の影響を受けたことから、12ヶ月通算の同売上は90%前半にまで落ち込んだとみられます。出退店については、主力の「や台ずし」を中心に34店舗を出店し、閉店(12店舗)・業態転換をネットした総店舗数は前期末比の318店から343店へ25店の純増となりました。
進行期である2021年3月期の通期予算については、新型肺炎による影響で合理的な算出が出来ないことから依然未定としています。4月5日~5月7日まで全店で臨時休業を実施したほか、営業時間を短縮したため(東京都は足許でも短縮中)、去る8月7日に開示済の1Qについては、売上高が前年同期比73.0%減の12.4億円、経常利益は同赤転の▲11.1億円まで沈んでいます。7月既存店売上高も68.2%と戻りの鈍さが気掛かりであり、通期では損益均衡圏か赤字転落も視野に入るような状況と言えます。出退店予定についても未定としており、期初時点では1Q期間で出店名有りとなっていた11店舗のうち、実際は4店しか出店していないため、出店スケジュールも後ろ倒しになっている模様です。それでも、2Q期間も9店が既に出店名有りとなっていることから、出店意欲自体はかなり高いとみられます。
当社は中期目標として店舗数500店・売上高300億円・経常利益30億円(経常利益率10%)を掲げています。基本的には「田舎戦略」と称する戦略を採っており、「1.5~2等立地」かつ「30~40坪の広さ」かつ「新幹線隣接市町村で乗降客6千人超の駅前」において出物があった物件を賃料負担率7%以内の家賃で賃借し、内製化した建装事業部の活用により低原価・早期完工による高速出店を実現するというスキームを採っています。また本年7月には持株会社制への移行を明らかにしており、飲食事業をヨシックスフーズに、建装事業をヨシオカ建装に分割し、建装会社の方は当社創業者子息である吉岡裕太郎氏(野村證券出身)を代表に据えています。
そして本施策は吉岡Jr.に子会社で社長業を慣れさせる意図はもとより、建装事業を別会社化することで出店機動力をアップさせることが真の狙いと考えられます。新型肺炎禍で駅前の空き物件が急速に増加しているため、居抜物件でも自らスピード改装できる当社にとって千載一遇の出店拡大チャンスとなっているため、こういう体制になったとみられます。気掛かりなのは会社側が今後デフレに傾くとみているフシがあり、「にぱち(平仮名)」というジャンボ焼鳥と釜飯を看板商品とする廉価業態を鳥貴族インスパイア系としてステルス的に出店しているため、その見通しが外れた場合、商品力の無い(本当に無い)安かろう業態で店舗数ばかりが多くなってしまうリスクがあります。
なお財務に関しては直近で10億円の借入を起こしたものの、実質無借金状態を継続しており、外食企業の中では群を抜く良好な財務体質を維持しています。そのため、配当予想は中間配当を無配に修正したほか、通期も未定としているものの、無配にまで転落することはまずないかと考えています。
*参考記事① 2019-07-25 2,533円 NT
【3221】ヨシックス/働き方改革余波で成長鈍化も、還元余力増大で増配期待。
*参考記事② 2019-07-25 2,533円 NT
“働き方改革”による営業時間短縮等で、成長モメンタムが鈍化・ヨシックス(3221)。
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