“働き方改革”による営業時間短縮等で、成長モメンタムが鈍化・ヨシックス(3221)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3221】ヨシックス(東証一部)  NT

現在値 2,533円 PER16.6 PBR3.8 3月配当優待 9月配当優待

名古屋地盤の居酒屋チェーン。すし居酒屋、低価格均一居酒屋展開。
配当金は3月末・9月末の年2回合計24円配のため、配当利回りは0.95%となります。

ヨシックスは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する3月末・9月末の株主に

対して、3,000円相当の食事券(および食事2割引券10枚)を進呈しておりますので、配当

優待利回りは約3.31%となります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 109億円、経常利益 12.7億円 EPS 69.8円
■2017年3月期 売上高 127億円、経常利益 13.8億円 EPS 84.8円

■2018年3月期 売上高 156億円、経常利益 19.5億円 EPS 118.8円

■2019年3月期 売上高 179億円、経常利益 24.0億円 EPS 149.1円 

■2020年3月期 売上高 188億円、経常利益 24.4億円 EPS 151.8円 ce
□2019年9月中 売上高 90.3億円、経常利益 11.7億円 EPS 73.1円 ce


2019年3月中間期の売上高は前期比14.4%増の179億円、経常利益は同22.6%増の24.0億

円となり、トップラインから2桁の伸びをキープしたものの、期初予算との比較では、減収

増益となりました。主力の「や台ずし」を中心に39店舗の新店を出店したものの、いわゆる

“働き方改革”への対応もあり、計画の56店舗までは届かず、閉店・業態転換などもネット

した総店舗数は、前期末の284店から318店へと34店の純増となりました。また、月次の

既存店売上高についても豪雨・台風といった天候不順の影響もあり、概ね100%水準を挟

んだ推移となったものの、通年では前年を割り込みました。それでも利益面については、

規模拡大による間接経費削減や広告費見直しにより予算線を確保した格好となります。

 

進行期である2019年3月期の予算については、売上高が4.8%増の188億円、経常利益は

同1.6%増となる24.4億円を予想しています。今期の出店については、主力の「や台ずし」

を33店、「ニパチ」を5店出店する計画となっているものの、10店の閉店を計画しており、

出店ペースはこれまでより鈍化する見通しです。また、労働基準法改正にともなう時間

外労働の厳格化により、深夜営業の抑制や定休日の設定を行うため、既存店売上高に

ついても減少を見込んでいます。また利益面についても“働き方改革”への対応のため、

人件費が増加し、利益率が悪化する見通しです。なお、既に6月分まで開示されている

3ヶ月間累計の既存店売上高については、95~96%水準で推移しており、既述のとおり

もとより既存店は減収前提ではあるものの、会社計画比よりもビハインドとみられます。

 

当社は前期(2018年3月期)に既に超過達成した中期目標をローリングしており、期限の

定めこそないものの、店舗数500店・売上高300億円・経常利益30億円(経常利益率10%)

を新たに掲げています。成長ドライバーについては、「1.5~2等」立地で出物がある物件

を賃料負担率7%以内の家賃で賃借し、自社で抱える建装事業部を活用し、低原価・早期

完工による高速出店を実現するとともに、早々に内装等の投資回収を進めるというのを

基本戦略としてきました。然しながら、昨今の“働き方改革”への対応もあり、人繰り的な

観点から出店ペースを落としてきているほか、個店の採算性基準が厳格化されたことが

要因とみられる閉店が増えてきたため、成長ペースが明らかに鈍化してきています。

 

業態開発については、「や台ずし」「ニパチ」に続く業態開発として、焼鳥の「や台どり」や

肉業態の「やっぱステーキや!」を数店出店しましたが、いずれも失敗フォーマットに終わ

っています。当社の場合は、内装工事をする建装事業部を内製化しているため、こうした

業態チャレンジがしやすく、撤退もしやすいことが他社と比べた時の強みではありますが、

いかんせん新規業態がヒットする“打率”が低すぎるので、引き続きその辺に期待したい

ところであります。なお、直近では「にぱち(平仮名)」、という既存業態をマイナーチェンジ

した新業態を開発し、ジャンボ焼鳥と釜飯をウリにして280円均一で売り出すという、周回

遅れでやってきた鳥貴族みたいなことをしていますが、これは鳥貴族の非出店エリアに

先回りして、ステルス的にマーケットを押さえてしまうのが狙いかと思われます。

 

なお、財務に関してはほぼ無借金状態を継続しており、配当も【5→12→16→20→24円

(予】、と連続で増配を予定しています。これでも配当性向は15%程の水準であるため、

資金需要が殆どないことを考慮すると、まだ追加で還元が出来る状況となっています。

そのため、現在の株価水準であれば、まずは自社株買いを繰り出すのが定石であり、

配当のさらなる積み増しよりも、そちら方面に期待したいと思います。

 

*参考記事① 2019-01-28  2,832円 NT

出店機動性が自慢だが、そろそろ次の業態開発を期待・ヨシックス(3221)。

 

*参考記事② 2018-07-06  3,025円 NT

年50店を超える大量出店で、2度の増額修正・ヨシックス(3221)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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