出店機動性が自慢だが、そろそろ次の業態開発を期待・ヨシックス(3221)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_4078.jpg

【3221】ヨシックス(東証一部) --

現在値 2,832円 PER21.1 PBR4.8 3月配当優待 9月配当優待

名古屋地盤の居酒屋チェーン。すし居酒屋、低価格均一居酒屋展開。
配当金は年2回合計20円のため、配当利回りは0.71%となります。

ヨシックスは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する3末・9末の株主に対して、

3,000円相当の食事券(および食事2割引券10枚)を進呈しておりますので、配当優待利回り

は約2.82%となります。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 90.1億円、経常利益 9.3億円 EPS 55.9円
■2016年3月期 売上高 109億円、経常利益 12.7億円 EPS 69.8円
■2017年3月期 売上高 127億円、経常利益 13.8億円 EPS 84.8円

■2018年3月期 売上高 156億円、経常利益 19.5億円 EPS 118.8円

■2019年3月期 売上高 185億円、経常利益 22.4億円 EPS 133.9円 ce
□2018年9月中 売上高 86.7億円、経常利益 11.6億円 EPS 72.8円(11/7)


2018年9月中間期の売上高は前年同期比16.0%増の86.7億円、経常利益は同20.7%増の

11.6億円となり、トップラインから2桁の伸びをキープしたものの、期初予算との比較では、

減収増益となりました。主力の「や台ずし」を中心に19店舗を出店したほか、一部の店舗

で業態転換を実施した結果、総店舗数は284店→301店(+17店)へと順調に増加しました。

一方、月次の既存店売上高については豪雨・台風といった天候不順の影響もあり、上期

の前年クリアは6月と8月の2箇月のみに留まりました。

 

なお、2019年3月期の通期予算については期初計画を据え置いており、売上高が前期比

18.0%増となる185億円、経常利益は14.4%増となる22.4億円を予想しています。今期出店

は主力業態の「や台ずし」「ニパチ」を中心に過去最高となる56店の出店を計画しており、

上期で19店が出店済のため、ネットすると37店が下期の出店店舗数となります。上期末

時点で18店が既に名有りになっていますが、今期は通年でバラつきなく出店する方針で

あったことを鑑みると出店は未達公算です。また、既存店についても、繁忙期である12月

の月次が前年割れとなっているため、上期末時点では利益が上振れ着地していますが、

既に上期の貯金を食い潰しまっている可能性もあり、予算達成は微妙な線かと思います。

 

当社は実績期である2018年3月期に超過達成した中期目標をローリングしており、期限の

定めこそないものの、店舗数500店・売上高300億円・経常利益30億円(経常利益率10%)

を新たに掲げています。成長のドライバーについては、「1.5~2等」立地で出物がある物件

を賃料負担率7%以内の家賃で賃借し、自社で抱える建装事業部を活用した低原価・早期

完工により高速出店を実現するとともに、早々に(内装等の)投資回収を進めるというのが

基本戦略となります。足許で出店ペースがやや陰っている?のが気掛かりですが、一応

会社側でも出店による外部成長戦略を強力に推進するために、エリアごとに8事業部制に

拡充するなど手を打っているため、まずは会社側の出店戦略を支持したいと思います。

 

「や台ずし」「ニパチ」に続く業態開発として、焼鳥の「や台どり」を開発しましたが、こちら

は藤井寺店の一店舗に留まっているため、おそらく失敗フォーマットだと思われます(もし

流行っていれば、当社は新店・業態転換で直ぐ出店出来るはずなのにそうしていない)。

また「いきなり!ステーキ」のインスパイア系と思われる、「やっぱステーキや!」も数店出店

しましたが、当社に限らず外食業態全体が肉ブームに相乗りして焼畑農業をしているよう

な状況に陥っているため、こちらのフォーマットも早晩廃止される可能性がありそうです。

よって、これは当社に限った話ではないものの、地方でも対応出来るような客単価帯の

新業態を開発しない限り、ご自慢の出店力が活かせないので、「や台ずし」や「ニパチ」

に次ぐレベルの新業態の早期開発が期待されます。

 

なお、財務に関してはほぼ無借金状態を継続しており、配当も【5→12→16→20円(予】と

連続増配を予定しています。ただこれでも配当性向は15%にも満たない水準であるため、

資金需要が殆どないことを考慮すると、まだまだ追加還元が出来る状況となっています。

当社は使用人への還元も重視しているため、成長幅に比して増配の幅が出せないのも

理由かと推察しますが、少なくとも株価下落時にはスポットで自社株買いをしてほしいと

考えております。

 

*参考記事① 2018-07-06  3,025円 --

年50店を超える大量出店で、2度の増額修正・ヨシックス(3221)。

 

*参考記事② 2018-01-04 3,930円 --

通期再増額濃厚だが、バリュエーション妙味は薄い・ヨシックス(3221)。

 


会社四季報 2019年1集新春号 [雑誌]

新品価格
¥2,200から

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村