通期再増額濃厚だが、バリュエーション妙味は薄い・ヨシックス(3221)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3221】ヨシックス(東証一部) --

現在値 3,930円 PER37.9 PBR8.30 3月配当優待 9月配当優待

名古屋地盤の居酒屋チェーン。すし居酒屋、低価格均一居酒屋展開。
配当金は年2回合計12円のため、配当利回りは0.31%となります。

ヨシックスは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する3末・
9末の株主に対して、3,000円相当の食事券(と食事2割引券10枚)を進呈
しておりますので、配当優待利回りは約1.83%となります。

業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 76.3億円、経常利益 5.4億円 EPS 42.7円
■2015年3月期 売上高 90.1億円、経常利益 9.3億円 EPS 55.9円
■2016年3月期 売上高 109億円、経常利益 12.7億円 EPS 69.8円
■2017年3月期 売上高 127億円、経常利益 13.8億円 EPS 84.8円

■2018年3月期 売上高 149億円、経常利益 17.4億円 EPS 103.4円 ce修正
□2017年9月中 売上高 74.7億円、経常利益 9.6億円 EPS 57.4円(11/7)


2017年9月期中間の売上高は前年同期比22.2%増の74.7億円、経常利益

は同33.4%増の9.6億円となり、期初予想を上回りました。新店29店に対し、

閉店が僅か1店に留まったため、総店舗数は234→262店へ大きく増加し、

トップライン段階から2割の伸びを記録しました。既存店売上高に関しても

概ね前年並みを確保したほか、人件費等の費用も想定を下回りました。

 

なお、2018年3月期の通期予算も増額しており、売上高は前期比17.8%増の

149億円(従予:128億円)、経常利益は25.9%増の17.4億円(従予:13.6億円)に

修正しています。今期の新店は主力業態の「や台ずし」を中心に、前の期

を上回る42店を計画していますが、上述のとおり、上期末で29店の出店を

果たしているほか、既に15店の新店が名有りとなっているため、出店計画

に関しては確実に計画超過とみられます。また、足許11月末までの既存店

も堅調に推移しているほか、増額した通期予算も上期の上振れ分しか取り

込んでおらず、新店の繁忙期寄与も考慮すると、再増額が濃厚な情勢です。

 

当社は中期目標として、来2019年3月期に店舗数300店・売上高180億円・

経常利益18億円(経常利益率10%)の達成を目指しておりますが、この目標

に関しては完全に射程圏内に捉えており、さすがに今期は難しいものの、

来期は普通にやるだけで達成可能と推察されます。カギとなるのはやはり

出店の出来・不出来になるかと思われますが、ドミナント出店に拘るあまり

出店計画をショートさせた鳥貴族(3193)と異なり、当社は地域別に事業部

にわけて全国展開しているため、1.5~2等立地とはいえ路面店を確保し、

計画を超えた出店が出来ている点は特に評価出来ます。そのため、長期

目標として掲げている店舗数500店・売上高300億円・経常利益30億円に

ついても“荷もたれ感”はなく、数年間で達成が可能であると考えています。

 

また、売上高の好伸にくわえ、1.5~2等立地で家賃も安く、自社で内装の

施行部隊を抱えていることでコストが抑えられており、どんどんキャッシュ

が溜まっています。また借金も殆どなく、株主へ払い出す配当性向も僅か

12%に留まっており、今後は財務面の良化ばかりが進んでしまうことから、

還元するか・MAするかといった資金活用に注目していきたいと思います。

 

当社のような会社は業態(ブランド)だけを他所から買ってきて、持ち前の

出店力・内装工事力を活かして多店舗展開するのがベターなのですが、

いかんせん「これや(串カツ)」などの自社発の育成ブランドに拘っている

フシもあるため、その辺での割り切りに期待したいところです。なお足許

の株価水準は当面の成長を織り込んでおり、バリュエーション的に割高

感も出てしまっているため、新業態等での成長ストーリーを示さない限り、

(分割・優待拡充以外で)これ以上の評価をするのは難しいと思われます。

 

*参考記事① 2017-07-01 1,581円 ---

業績・出店ともに順調も、資金活用は課題・ヨシックス(3221)。


*参考記事② 2016-12-08 1,281円 ---

通期増額修正済も、早くも未達懸念燻る・ヨシックス(3221)。

 

 

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