【3221】ヨシックス/働き方改革余波で成長鈍化も、還元余力増大で増配期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3221】ヨシックス(東証一部)  OP

現在値 2,828円 PER18.0 PBR3.9 3月配当優待 9月配当優待

名古屋地盤の居酒屋チェーン。すし居酒屋、低価格均一居酒屋展開。
配当金は3月末・9月末の年2回合計24円配のため、配当利回りは約0.85%となります。

ヨシックスは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する3月末・9月末の株主に対して、3,000円相当の食事券(および食事2割引券10枚)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.97%となります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 109億円、経常利益 12.7億円 EPS 69.8円
■2017年3月期 売上高 127億円、経常利益 13.8億円 EPS 84.8円

■2018年3月期 売上高 156億円、経常利益 19.5億円 EPS 118.8円

■2019年3月期 売上高 179億円、経常利益 24.0億円 EPS 149.1円 

■2020年3月期 売上高 190億円、経常利益 25.6億円 EPS 156.6円 ce修正
□2019年9月中 売上高 92.8億円、経常利益 12.9億円 EPS 78.0円(11/7)


2019年9月中間期の売上高は前年同期比7.0%増の92.8億円、経常利益は同11.6%増の12.9億円となり、期初予想水準を上回る着地となり、2桁の増益を確保しました。主力の「や台ずし」を中心に16店舗を出店し、閉店(9店舗)・業態転換をネットした総店舗数は前期末比の318店から325店へ7店の純増となりました。労働基準法改正にともなう時間外労働の厳格化による深夜営業の抑制や定休日の設定により、月次の既存店売上高についてはそもそも前年割れで計画でしているとみられるため、上期は台風10号や15号の影響があったものの、6ヵ月累計は95~96%で折り返していることから概ね計画水準を確保出来ているものと考えます。なお、トップラインが今一つのわりに利益が大きく上振れしているののは、コスト削減と広告費抑制が主な理由です。

 

なお2020年3月期の通期予算については直近2月7日に再増額しており、売上高が前期比6.3%増の190億円(期初予:188億円)、経常利益は同7.5%増となる25.8億円(期初予:24.4億円)を予想しています。今期の出退店については、主力の「や台ずし」を中心に33店の出店、10店の退店を計画しており、元より今期は出店ペースが鈍化する見通ではあるものの、概ねその計画通りに進捗しているほか、会社側も達成見込みの旨コメントしています(実際に下期出店の17店は福岡工大駅前まで全て名有り・契約済となっている)。既存店売上高は開示済の12月分まで含めた9ヶ月間の累計で95%前後で推移しており、台風19号の影響を考慮すればまずまずの水準が確保出来ています。利益面については、相変わらず人件費が漸増傾向にあるものの、トップライン成長でカバー出来ているため、増額後の修正予算水準の達成確度はある程度高いものと考えています。

 

当社は2018年3月期に既に超過達成した中期目標をローリングしており、期限の定めこそないものの、中期目標として店舗数500店・売上高300億円・経常利益30億円(経常利益率10%)を掲げています。基本的には「田舎戦略」と称する戦略を採っており、「1.5~2等立地」かつ「30~40坪の広さ」かつ「新幹線隣接市町村で乗降客6千人超の駅前」において出物があった物件を賃料負担率7%以内の家賃で賃借し、内製化している建装事業部を活用することで低原価・早期完工による高速出店を実現するというスキームです。ただ昨今の人材確保難から、店舗運営に必要なバイトが相当程度確保可能な人口後背地を厳選して出店していることから、以前より出店ペースが鈍化しています。会社側はエリア毎に細かく事業部制を敷き、機動的な出店体制を採るなどしていますが、当面は期当たり純増20店くらいがせいぜいかと思われます(そのペースが続く場合、表記の中期計画の目標値を達成するのはあと7年はかかると考えられます)。

 

業態開発については、「や台ずし」「ニパチ」に続く業態開発として、焼鳥の「や台どり」や肉業態の「やっぱステーキや!」を開発したものの、いずれも失敗フォーマットに終わっています。そのため、直近では新規業態リスクを抑えた「にぱち(平仮名)」、という既存業態の280円均一店である「ニパチ(片仮名)」をマイナーチェンジしたフォーマットを開発し、ジャンボ焼鳥と釜飯を看板商品に鳥貴族インスパイア系業態としてステルス的に地方出店しています。特に鳥貴族は既存店のカニバリや値上げによる客離れで苦戦しており、展開エリアを絞ってS&B実行中のため現時点では地方での出店余力に乏しく、当社は今後の同社が展開するであろうエリアを先食いして押さえていく作戦とみられます。

 

なお、財務に関してはほぼ無借金状態を継続しており、配当も【5→12→16→20→24円(予】、と連続で増配を予定しています。これでも配当性向は15%程の水準であるため、内装建築が内製化されていたり、地方のため差入保証金も少なく資金需要に乏しいことを考慮すると、還元余力は非常に豊富であると考えられます。ただ自社株買いをするような会社ではないため、ナチュラルな増配を期待するような形となります。

 

*参考記事① 2019-07-25 2,533円 NT

“働き方改革”による営業時間短縮等で、成長モメンタムが鈍化・ヨシックス(3221)。

 

*参考記事② 2019-01-28  2,832円 NT

出店機動性が自慢だが、そろそろ次の業態開発を期待・ヨシックス(3221)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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