【4809】パラカ(東証一部) OP
現在値 1,900円/100株 PER12.5 PBR1.25 9月配当株主優待
時間貸し駐車場運営・管理。土地賃借型を中心に土地自社保有型も展開。
配当金は9月末一括の55円配当のため、配当利回りは約2.89%となります。
パラカは株主優待を実施しており、9月末に単元株を保有する株主に対して、2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約3.94%となります。
業績を確認していきます。
■2016年9月期 売上高 120億円、経常利益 21.5億円 EPS 145.4円
■2017年9月期 売上高 126億円、経常利益 21.9億円 EPS 152.1円
■2018年9月期 売上高 136億円、経常利益 19.5億円 EPS 192.0円
■2019年9月期 売上高 140億円、経常利益 20.7億円 EPS 241.4円
■2020年9月期 売上高 147億円、経常利益 22.0億円 EPS 151.4円 ce
□2019年12月1Q 売上高 35.5億円、経常利益 5.2億円 EPS 35.8円(2/5)
□2020年3月2Q 売上高 69.0億円、経常利益 10.4億円 EPS 74.7円 ce
2019年9月期の売上高は前期比3.0%増の140億円、経常利益は6.3%増の20.7億円となり、トップラインこそ解約の想定超でやや予算に届かなかったものの、22期連続の増収を確保したほか、最終利益ベースでは8期連続の最高益となりました。新規車室については前期から現場数が減少したものの、大型化が進んだため、保有・賃借を合わせてネットした車室純増数は前期比40.6%増となる1,684室、期末車室残高は30,902室となりました。なお、最終利益については固定資産に上げていた札幌のパーキング101ビルを建物老朽化を理由に売却しており、この譲渡益を約15億円を計上した影響で額が大きく膨らんでいます。
進行期である2020年9月期の通期予算については、売上高が4.4%増の147億円、経常利益は6.0%増の22.0億円を予想しています。引き続き新規の賃借駐車場の仕入は難化傾向にあるものの、保有駐車場の取得に特に注力しており、直近5期で【2.8→15.6→17.0→24.7→30.6億円】、といっ具合にバランスシートに負荷をかけて新規車室を確保しているため、これらが本格的に寄与し始めます。また実績期では新卒の大量採用13人(注:全社員は80人)もの新卒を採用したことによる人件費増や、愛宕ガーデンヒルズへの本社移転による賃料増加があり利益が伸び悩んだものの、この一巡が見込まれるため、消費増税影響の通期化やキャッシュレス決済の対応費用等をこなして利益率がやや良化する見通しです。
当社は成長のドライバーとして、低金利を活かしたオンバランスの保有駐車場を柱に据えており、既に粗利の構成比では賃借駐車場と並ぶ規模に育っています。特に賃借駐車場で圧倒的なシェアを誇る地方中核都市(新潟・青森・水戸・長岡・甲府・姫路など)で、保有駐車場の取得を進めています。当社は従来よりドミナント戦略により、用地の仕入情報や利用者のサービス券の面で、都市ごと丸ごと囲い込む戦略を採っておりましたが、ここにきて保有駐車場に注力する背景は、地方中核都市で“中心回帰現象(コンパクトシティ化)”が発現してきているため、シャッター街の再開発による地価の上昇と、将来的なマンション業者への高値転売まで視野に入れた動きをとっているものとみられます。
また、実績期で売却した札幌の駐車場ビルで15億円の譲渡益を出したように、過去に仕入れた地方中核都市の低簿価物件で大きな含み益を顕在化させてバランスシートを良化させつつも、今期は実績期の30億円を更に20億円上回る50億円規模の保有駐車場の仕入れを目標としており、仕入れの積極化と財務良化がバランスしている点は大変特徴的といえます。実際、期末時点の自己資本比率は実に44.6%と不動産業者としては破格の好財務水準となっているため、当面はエクイティファイナンスは懸念不要と考えています。リスクとしては、足許での新型肺炎によるインバウンド及び国内観光客/ビジネス客の減少によりホテル建設案件が減った場合、地方保有物件の高値転売が難しくなる点などが挙げられます(それでもオフィスやマンションの素地需要である程度は下支え出来ると考えられる)。
なお、当社株における投資論点のひとつである金沢の立駐建築業者である日成ビルド工業(スペースバリューHD傘下)の動向については、足許で18.99%→19.81%まで持分を増加させているほか、当社株の保有目的もこれまでの“純投資”から“駐車場運営・管理事業におけるノウハウの吸収と新たな取引関係構築の契機とするため”とわざわざ変更報告してきています。スペースバリューHD側も不祥事があったばかりなので、当面仕掛けてくる可能性は低いとみられますが、当社サイドの動きとして創業者であり会長兼社長の内藤氏がまた会長に引っ込み、ライブドア(オン・ザ・エッジ)出身の古参の間嶋常務が社長に昇任したりしているため、大きな資本異動シナリオ等も否定しきれないところかと思います。
*参考記事① 2019-01-11 1,610円 OP
目下の興味は業績よりも日成ビルド工業(スペースバリューHD)の動き、パラカ(4809)。
*参考記事② 2017-12-29 2,547円 OP
駐車場オペレーターだが、「不動産屋感」は一層強く・パラカ(4809)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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