【7545】西松屋チェーン/12月月次も好調持続で、3度目の増額修正も視野に。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7545】西松屋チェーン(東証1部)  NT

現在値 1,506円/100株 PER12.8 PBR1.41 2月配当優待8月配当優待

ベビー・子供衣料と生活雑貨のロードサイド大型店を全国展開。配当金は2月末・8月末の年2回計22円で、配当利回りは1.46%となります。

西松屋チェーンは株主優待を実施しており、100株を保有する2月末・8月末現在の株主に対して、年2回・1,000円分の株主優待カードを発行しておりますので、配当優待利回りは約2.78%となります。別途、3年以上保有を継続する株主への長期優遇制度があります。

業績を確認していきます。
■2017年2月20日期 売上高 1,362億円、経常利益 80億円 EPS 79.0円  
■2018年2月20日期 売上高 1,373億円、経常利益 71億円 EPS 74.0円

■2019年2月20日期 売上高 1,381億円、経常利益 39億円 EPS 34.1円  

■2020年2月20日期 売上高 1,429億円、経常利益 23億円 EPS 17.3円

■2021年2月20日期 売上高 1,590億円、経常利益 110億円 EPS 117.1円 ce修正 
□2020年8月20日2Q 売上高 804億円、経常利益 65億円 EPS 72.2円

□2020年11月20日3Q 売上高 1,231億円、経常利益 110億円 EPS 120.9円(12/21)

2020年8月期の売上高は前年同期比12.7%増の804億円、経常利益は同2.7倍の65億円となり、期初予算の倍以上となる利益水準で着地しました。緊急事態宣言下の4月・5月は既存店の客数こそ微減となったものの、6月以降は軒並み客数・単価のみ増加に転じて大増勢となりました。新型肺炎禍であっても乳幼児を連れ出せる広々とした店内が受け入れられ、紙おむつや粉ミルクといった必需品購入層の獲得に成功したほか、ついで買いによる客単価増が寄与した格好です。なお出店に関しては、通年計画50~60店(純増ベース20店)に対して23店を出店し、不採算店閉鎖やリプレイスを積極的に進めたことで退店も21店まで膨らんだため、純増は2店に留まりました。


2021年2月期の通期見通しについては、期中で2度増額しており、売上高が前期比11.2%増の1,590億円、経常利益は同4.6倍となる110億円と大増勢を予想しています。但し、去る12月21日に開示されている3Qによれば、売上高は同13.3%増の1,231億円、経常利益は同3.4倍の110億円をマークしており、利益については既に増額後の通期予算を超過達成しているような状況です。更に後発情報となる12月月次も、既存店が115%水準で仕上がっていることから、再々増額が必至の状況とみられます。なお、3Q末の店舗数も1,008店舗と中間時点と変わっていないことから、今期の出退店についても入り繰りの結果、純増ゼロ圏となりそうです。

 

当社は中期的な業績目標値として、5年後の2025年2月期に売上高2,000億円(CAGR7%)、経常利益200億円(CAGR55%)をセットしなおしており、これは従来中計を1年先にロールしたものとなっており、表記のとおり最終年度の目標額も一応増額していますが、当社は予算信頼度が低いため画餅的な数値目標となっています。新型肺炎禍が継続する中で当社店舗の広々とした作り込みがたまたま支持されており、本来の実力よりも「かなりの追い風」を受けているような状況ですが、仮に今期の数字が経常利益130~140億円で仕上がると仮定してもなお、中計目標値達成の可視性は依然低い状況と考えています。

 

基本戦略としては、新規出店によるトップライン増加と、PB商品自社開発による利幅確保の二本柱となります。既述のとおり出店については、拡張移転的な色合いを含んでいるものの、基本は「スクラップ&ビルド」なので、採算性は多少改善しても、トップラインが中々伸びないところが課題となっています。PB商品に関しては、継続的な家電メーカーOBの採用により、安価で機能性に優れたベビー用品・玩具等を自社開発するSPA化を推進しており、販売する店舗数が増えない分、従来のターゲットレンジを広げて小学校高学年向け商品の開発を進めています。また、PB商品の海外販路の拡大のため、中国最大ECサイト天猫(Tmall)、台湾で180店を展開する「Les Enphants」、ベトナムで20店を擁する「さくこ」、中国で30店のスーパーを展開する「銀泰西選」といったアジア圏でのEC/卸売りを推進していますが、ユニクロや無印のような日本発PBブランド商品としてのプレゼンスはまだ確立されていない印象です。


財務に関しては相変わらずの無借金経営をキープしており、500億円の現金を抱えるチタン級の好財務を誇っているほか、現金とは別で有価証券を70億円程保有しています。それでも配当については配当性向24.0%水準となる22円配を予想しており、目下の好業績に拘らず1円増配のため物足りない水準となっています。このほか散発的に実施している自社株買いも5億円程度と小規模に留まっており、この辺の還元政策が抜本的に見直されない限り、これ以上の株価バリュエーションの見直しは進みずらいと考えています。

 

*参考記事① 2020-06-13 925円 NT

【7545】西松屋チェーン/新型肺炎による売上耐性高く、予想外の上振れも視野。

 

*参考記事② 2019-12-26 944円 NT

店舗純増僅少で、PB商品の卸売展開に活路・西松屋チェーン(7545)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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