【7545】西松屋チェーン/新型肺炎による売上耐性高く、予想外の上振れも視野。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7545】西松屋チェーン(東証1部)  NT

現在値 925円/100株 PER19.8 PBR0.95 2月配当優待8月配当優待

ベビー・子供衣料と生活雑貨のロードサイド大型店を全国展開。配当金は2月末・8月末の年2回計21円で、配当利回りは2.27%となります。

西松屋チェーンは株主優待を実施しており、100株を保有する2月末・8月末現在の株主に対して、年2回・1,000円分の株主優待カードを発行しておりますので、配当優待利回りは約4.43%となります。別途、3年以上保有を継続する株主への長期優遇制度があります。

業績を確認していきます。
■2017年2月20日期 売上高 1,362億円、経常利益 80億円 EPS 79.0円  
■2018年2月20日期 売上高 1,373億円、経常利益 71億円 EPS 74.0円

■2019年2月20日期 売上高 1,381億円、経常利益 39億円 EPS 34.1円  

■2020年2月20日期 売上高 1,429億円、経常利益 23億円 EPS 17.3円

■2021年2月20日期 売上高 1,500億円、経常利益 50億円 EPS 46.7円 ce 
□2020年8月20日2Q 売上高 740億円、経常利益 25億円 EPS 23.3円 ce

2020年2月期の売上高は前期比3.5%増の1,429億円、経常利益は同40.3%減の23億円となり、中間時の減額修正予算に対しても未達で着地しました。出店に関しては、通年計画50店(純増ベース40店)に対して41店を出店したものの、不採算店閉鎖やリプレイスを積極的に進めたことで退店も39店まで膨らんだため、純増は僅か2店となり期末の店舗数は1,006店に留まりました。紙おむつや粉ミルクといったベビー消耗品・服飾雑貨が好調に推移した一方、梅雨明け遅れや暖冬といった天候影響で衣料品が不振となりました。既存店売上高については101.0%水準を確保したものの、冬物衣料の値引きによる在庫処分が響き、利益が圧迫された格好となります。


進行期である2021年2月期の予算については、売上高が前期比4.9%増の1,500億円、経常利益は同111.2%増の50億円を予想しています。出退店については50~60店の出店に対して、30~40店の退店を見込んでおり、20店程の純増を予定しております。月次の既存店売上高は期初からの3ヶ月分が既に開示されており、新型肺炎による紙おむつ特需発生とそれに伴う“ついで買い”の増加や、初夏衣料の販売ピークとなるGWの気温上昇により、109.7%と高水準をマークしています。当社店舗は郊外型で車利用を前提とした立地が多く、実需MDであることから新型肺炎による影響を受けずらいものとみられ、1Q(3月‐5月)のような高水準の売上が通期で持続するかどうかはさておき、予算達成の期待が高まります。

 

当社は中期的な業績目標値として、5年後の2025年2月期に売上高2,000億円(CAGR7%)、経常利益200億円(CAGR55%)をセットしなおしており、これは従来中計を1年先にロールしたものとなっており、表記のとおり最終年度の目標額も一応増額していますが、当社は予算信頼度が非常に低いため画餅的な色あいの強い数字となっています。

 

基本的な戦略としては、新規出店によるトップライン増加と、PB商品自社開発による利幅確保の二本柱となります。PB商品に関しては、家電メーカーOBの採用を継続しており、安価で機能性に優れたベビー用品・玩具等を自社開発する“SPA化”を推進しています。新規出店については、リプレイスによる店舗大型化を進めつつ出店しているものの、不採算店の閉鎖も多いため、店舗純増が想定以下となっており、ひいては好採算のPB商品展開がモタつく状況となっています。そのため、中国最大のECサイトである天猫(Tmall)にPB商品を出店したほか、台湾で180店を展開する「Les Enphants」、ベトナムで20店を擁する「さくこ」、中国で30店のスーパーを展開する「銀泰西選」といったアジア圏の小売事業者への卸売りを本格化させています。ベビー衣料はユニクロやしまむらの展開する「バースデイ」、紙おむつはAmazon等のECとの競合が激しいので、海外でのホールセール販売強化に舵を切る方針です。


財務に関しては相変わらずの無借金経営をキープしており、400億円の現金を抱えるチタン級の好財務を誇っているほか、現金とは別で有価証券を70億円程保有しています。それでも配当については性向45.0%水準となる21円配の据置を予想しており、定期的に少量の自社株買いを実施してはいるものの、株主還元は依然として物足りない水準となっています。

 

*参考記事① 2019-12-26 944円 NT

店舗純増僅少で、PB商品の卸売展開に活路・西松屋チェーン(7545)。

 

*参考記事② 2019-06-15  869円 NT

ユニクロや他社EC拡大で、ビジネスモデル揺らぐ・西松屋チェーン(7545)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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