【3198】SFPホールディングス/好財務活かし、買収による外部成長の好機が到来。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3198】SFPホールディングス(東証1部) NT 

現在値 1,641円/100株 PER--.- PBR2.58  2月配当優待 8月配当優待

居酒屋「鳥良」「磯丸水産」が主力。クリエイト・レストランツHD傘下。
配当基準日は2月・8月の年2回ですが、現時点では配当予想を公表していません。

SFPホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末の単元株主に対して、それぞれ4,000円分の食事券を進呈していますので、配当優待利回りは約4.87%(無配前提)となります。

業績は下記の通りとなっております。
■2017年2月期 売上高 359億円、経常利益 35.6億円 EPS 71.0円 

■2018年2月期 売上高 368億円、経常利益 38.2億円 EPS 100.1円 

■2019年2月期 売上高 377億円、経常利益 32.2億円 EPS 75.6円 

■2020年2月期 売上高 402億円、経常利益 29.1億円 EPS 56.7円

■2021年2月期 売上高 (未定)億円、経常利益 (未定)億円 EPS (未定)円 ce


2020年2月期の売上高は前期比6.5%増の402億円、経常利益は同9.5%減の29.1億円となり、減益にはなったものの、中間時の増額予算をほぼ確保して着地しました。出退店については通期で純減1店を計画していたものの、昨年7月にクルークダイニングを買収(※後述)したことにより純増32店と計画比で大幅増となりましたが、本件買収を無視すれば純減7店となっています。業態別の既存店売上高は主力の「鳥良」が96.0%、「磯丸水産」100.5%とまちまちの結果だったものの、両業態とも2月単月から新型肺炎影響を受けたことを鑑みれば、実態としてはかなり健闘したと言えそうです。なお利益面については、人件費や内装等修繕コストが嵩んで減益となったものの、PPSへの切替といった原価低減策により、ある程度オフセットした模様です。


2021年2月期の通期予算については、新型肺炎影響により合理的な算出が出来ないことを理由に現時点では未定としています。店舗の休業期間は4月8日からGW明けの概ね1ヵ月間であるものの、全店休業前の3月も時短で営業したため既存店売上高は63.0%に沈んでいます。また、6月1日時点の足許についても、276店中230店の再開に留まっているほか、引き続き営業時間を短縮していることから、新型肺炎影響は1Q(3月-5月)期間だけでは織り込み切れず、2Q期間(6月-8月)も相応のダメージを受けるとみられます。そのため既存店の回復実態を確認出来るのは早くても3Q期間(9月-11月)となりますが、書き入れ時の年末年始には間に合うとみられるため、今期の予想利益の半減は必至としても、赤字転落までは免れるものと考えています。


当社はローリング方式の3年中計を公表しており、最終年度の2022年2月期に売上高500億円(CAGR16%)、経常利益42.0億円(CAGR9%)を目指し、今期はその中間年度という位置付けでしたが、こちらも単年度予算同様に未定に変更しています。従前は「鳥良」「磯丸水産」を期当たり約40店ほど出店する“大量出店型”の方針でしたが、これら主力の2業態が飽きられてきたり、自社競合するようになったこともあり、(新型肺炎前までは)親会社のクリレスHDさながらのMAを中心とした“飛び道具”の活用による成長戦略へと方針を転換しています。

 

2019年3月には熊本の19店の居酒屋等を運営するジョースマイル(売上高約14億円・経常利益約1.5億円)を10.7億円で買収したほか、5月には長野でから揚げ店等を運営するクルークダイニング(売上高10億円・経常利益0.3億円)を5.0億円で次々に早に買収しています。こうした地方の有名業態を“輸入”して当社の地盤の首都圏で展開するほか、逆に地方の不採算店には当社廉価業態の「鳥良商店」「いち五郎」「五の五」を“輸出”して、業態の鮮度を保つ入れ繰りをする方針です。残念ながら当社は親のクリレスHDと異なり、会計基準にIFRSを採用していないため、相次ぐ買収により約20億円超まで膨らんだのれんを償却していく必要があり、年▲3億円強の営業益ヒットを考慮するとP/L寄与が殆ど見込めない点には注意が必要です。

 

かような状況から、取り下げ前の中計目標値については売上高は達成可能圏・利益は未達濃厚といった印象でしたが、新型肺炎の別の側面として、当社以上に立ち行かなくなった地方の外食運営会社が相当数あるものとみられ、MAによる外部成長の“玉(案件)”はかなり補充されたとみています。また買収余力についても、2014年のIPO時に約130億円もの巨額調達を実行し、その後クリレスHDへの自社株買いで約半分を取られてしまったものの、足許の3月・4月にも合計100億円の借入を実行しています。一応の資金使途は手元流動性確保と、年度設備資金となっているものの、そもそも本件借入前で自己資本比率7割強という異例の高水準を確保していたこともあり、買収資金として振り向けることは問題ないとみられ、またとない成長好機到来という見方も出来そうです。

 

*参考記事① 2019-12-25 2,276円 OP

相次ぐMAで業績拡大も、のれん償却が重し・SFPホールディングス(3198)。

*参考記事② 2019-06-21 1,765円 OP

親会社さながらのMAによる外部成長に舵、SFPホールディングス(3198)。 

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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