相次ぐMAで業績拡大も、のれん償却が重し・SFPホールディングス(3198)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3198】SFPホールディングス(東証1部) NT 

現在値 2,276円/100株 PER32.5 PBR3.62 2月配当優待 8月配当優待

居酒屋「鳥良」「磯丸水産」が主力。クリエイト・レストランツHD傘下。
配当は2月・8月の年2回合計26円予想のため、配当利回りは1.14%となります。

SFPホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末の単元株主に対して、それぞれ4,000円分の食事券を進呈していますので、配当優待利回りは約4.65%となります。

業績は下記の通りとなっております。
■2016年2月変 売上高 140億円、経常利益 15.6億円 EPS 31.7円
■2017年2月期 売上高 359億円、経常利益 35.6億円 EPS 71.0円 

■2018年2月期 売上高 368億円、経常利益 38.2億円 EPS 100.1円 

■2019年2月期 売上高 377億円、経常利益 32.2億円 EPS 75.6円 

■2020年2月期 売上高 400億円、経常利益 30.0億円 EPS 69.9円 ce修正
□2019年8月中 売上高 200億円、経常利益 16.8億円 EPS 37.0円(10/11)


2019年8月中間期の売上高は前年同期比7.2%増の200億円、経常利益は同11.8%増の16.8億円でとなり、減益を予想していた期初予想から一転して売上高・利益共に期初予算を上回って増益着地となりました。出退店については、通期で純減1店を予定しており、本上期では出店・退店ともに4店のトントンとなり計画通りとなりました。業態別の既存店売上高は主力の「鳥良」が95.9%、「磯丸水産」100.8%とまちまちの結果だったものの、7月に買収したクルークダイニング(※後述)の2ヶ月分業績上乗せもあり、結果的にトップラインが上伸しました。利益については、PPSへの切替といった原価低減策の寄与があったものの、基本的には売上の伸びによる利益増となります。


なお2020年2月期の通期予算については、2Q時点で増額しており、売上高が前期比6.0%増の400億円(従予:390億円)、経常利益は6.9%減の30.0億円(従予:27.0億円)にそれぞれ修正しています。

出退店については順調進捗しており、出店・退店ともに計画を上回る見通しです。また、「磯丸水産」の既存店が好調に推移しているため実態反映させるとともに、台風や消費増税、インバウンド減少といったダウンサイドも一部織り込んだ上で増額している模様です。また、3月1日に買収したジョースマイルは期初から予算でみているものの、期中買収したクルークダイニングが下期からフル貢献するため、この増分を反映させた形となりますが、本件買収ものれんの償却が発生するため、利益貢献としては僅少と思われます。


当社はローリング式の従来3年中計で、2021年2月期に売上高500億円(CAGR10%)、経常利益45.0億円(CAGR6%)を計画していましたが、前回の本決算で1年先にロールしており、最終年度の2022年2月期の目標値として売上高500億円(CAGR16%)、経常利益42.0億円(CAGR9%)に数字を置き換えて、下方修正しています。従前は「鳥良」「磯丸水産」を期当たり約40店ほど出店する“大量出店型”の計画でしたが、足元では親会社のクリレスHDさながらのMAを中心とした“飛び道具”の活用による成長戦略へと方針転換しています。

 

実際のところ、本年3月には熊本の19店の居酒屋等を運営するジョースマイル(売上高約14億円・経常利益約1.5億円)を10.7億円で買収したほか、5月には長野でから揚げ店等を運営するクルークダイニング(売上高10億円・経常利益0.3億円)を5.0億円で矢継ぎ早に買収しています。こうした地方の有力飲食事業者の既展開業態を“輸入”して当社の地盤の首都圏などで展開するほか、逆に地方チェーンの不採算店に廉価業態の「鳥良商店」「いち五郎」「五の五」を“輸出”してシナジーの創出を図る計画です。惜しむらくは、当社は親のクリレスHDと異なりIFRSではないため、これら2社の買収により約22億円まで膨らんだのれんを10~12年で償却していくため、▲2億円強の営業益ヒットが見込まれるため、シナジーが出ないと利益貢献しないのが残念なところです。

 

なお買収余力については、2014年のIPO時に約130億円もの巨額の調達を実行しており、その後クリレスHDに対する自社株買いで約半分をかすめ取られてしまったものの、上述の2社の買収に約16億円の手金を突っ込んでなおほぼ無借金のキャッシュリッチ状態であり、依然盤石な財務体質と買収余力をキープしています。勿論、余力を株主還元に振り向けることも可能ですが、昨今の会社側の積極買収策を鑑みるに、年26円の配当を維持し、財務面を温存していく公算が高そうです。

 

*参考記事① 2019-06-21 1,765円 OP

親会社さながらのMAによる外部成長に舵、SFPホールディングス(3198)。 

 

*参考記事② 2018-12-19 1,637円 OP

駅前餃子業態は「日高屋」寄りへと迷走中、SFPホールディングス(3198)。

 

 

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