【8167】 リテールパートナーズ/通期見通しは1Q前にはや増額も、再増額も必至の勢い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8167】 リテールパートナーズ (東証1部)  OP

現在値 1,455円/100株 PER15.0 PBR0.89  2月配当優待 8月配当優待

食品スーパー中堅。山口の丸久と大分のマルミヤ、福岡のマルキョウが統合。
配当金は2月末・8月末の合計20円配当のため、配当利回りは1.21%となります。

リテールパートナーズは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点で単元株を保有する株主に対して千円分の商品券(JCBギフトカード)を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.88%となります。

業績をチェックしていきます。
■2017年2月期 売上高 1,429億円、営業利益 46.2億円、EPS 96.3円
■2018年2月期 売上高 2,289億円、営業利益 55.8億円、EPS 485円 

■2019年2月期 売上高 2,290億円、営業利益 49.4億円、EPS 77.3円  

■2020年2月期 売上高 2,288億円、営業利益 44.6億円、EPS 50.0円  

■2021年2月期 売上高 2,363億円、営業利益 62.5億円、EPS 96.9円 ce
□2020年8月中 売上高 1,240億円、営業利益 49.7億円、EPS 85.1円(10/9)

2020年8月中間期の売上高は前年同期比7.8%増の1,240億円、営業利益は同146.6%増の49.7億円となり、1Q前にはや増額していた予算を更に上回って着地しました。年明けからの新型肺炎の本格化にともない、マスクや消毒液といった衛生用品や内食需要の高まりによりトップラインが好伸し、連れて利益水準も大きく引き上がりました。主力SMである丸久の既存店売上高が106.8%、マルキョウが同106.0%、マルミヤストアも同104.8%と軒並み大きく前年クリアしました。出退店については、丸久が出退店各1、マルミヤストアが出店1、マルキョウが出店2退店3となったため、期末店舗数は横ばいの260店となりました。


進行期である2021年2月期の見通しは既に一度増額されており、売上高が前期比3.3%増の2,363億円、営業利益が同39.9%増の62.5億円に修正しています。今期の出店計画は、傘下主要3社合計で新店3~4店と前年並みを見込んでいます。前期に大型店が多いマルキョウで1店あたり2億円以上の改装費用を投じたほか(原田店、嬉野店、帯山店)、今期も開店20年を経過したマルミヤストア清武店に1.8億円もの改装費用を投じており、これらの貢献が見込まれます。そのため、本年10月に丸久プロセスセンター(※後述)を稼働させたことによる償却負担増があるものの、特売の削減やばら売り中止といった強気の採算性向上策により、利益水準は一段と切り上がる見通しであり、通期業績は再増額必至の強含み状態と考えられます。

 

今期はマルキョウ統合後に策定された3年中計の最終年度となっており、本来的には売上高2,500億円(CAGR3%)、経常利益80億円(CAGR10%)を業績目標としていました。当初はこの3ヵ年の間に20店程の出店を予定していましたが、実際はこの半分程に留まるペースに留まっており、かつ相当数の店舗閉鎖も実施しているため、初年度・中間年度の経過は低進捗となっていました。そのため、今期も期初時点の予算に照らせば大幅な未達が濃厚でしたが、折からの新型肺炎禍による神風にも近い“巣ごもり追い風”効果で、一転して予算の超過達成すら視野に入る様な状況にまで大幅に状況が改善しているような状況です。

 

2018年12月に北海道のアークス(9948)と、アレンザHD(3546)を傘下に収めたバローHD(9956)と資本業務提携を発表しており、新株発行をともなう資本業務提携で3社相互で約31億円の株式持合を実施しています。アークスとバローの2社が約2.3%の持分を他2社に割当てるのに対して、両者より規模が二回り小さい当社は約6.7%(現:7.15%)の持ち分を割当てることになったほか、2割ものディスカウントを強いられています。ただ全国的に強力な提携先2社に伍するべく地力強化のため、防府市に70億円もの巨費を投じて大規模なプロセスセンターを建設し、この10月に稼働を開始させたほか、九州の巨大な商売敵であるトライアル傘下のRetailAIが運用するスマートレジカートを同業他社に先駆けて導入するなど、先進的な取組が増えてきた点は評価出来そうです。

 

他方、2018年3月には発行済株式数の約6.4%にも及ぶ40億円規模の大規模な自社株買いを発表しており、昨年8月までに34億円分の買付けを実行しているほか、本年4月には東証一部に指定変更を受けています。自社株買い後の自己資本比率もなお6割強と高水準であり、配当は一部変更記念配当の2円を加算し、年22円を予想しているものの、目下の業績を鑑みると更なる配当の上積みが期待出来るかと思います。

 

*参考記事① 2020-07-07  1,813円 NT

【8167】 リテールパートナーズ/東証一部指定替えは案外、通期予算は早くも増額。

 

*参考記事② 2019-07-08 1,251円 NT

名実ともに“バリュートラップ銘柄”に変貌か、リテールパートナーズ(8167)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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