【2157】コシダカHD/絶妙のタイミングでカーブスと巨額負債の切り離しに大成功。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2157】コシダカホールディングス(東証1部) OP

現在値 439円/100株 PER40.1 PBR1.56  8月配当優待  2月配当

『カラオケ本舗まねきねこ』を直営展開。FC方式の女性フィットネス『カーブス』が利益柱。
配当金は2月末・8月末の合計で8円のため、配当利回りは約1.82%となります。

コシダカホールディングスは株主優待制度を導入しており、単元保有の8月末株主に対し、2,000円分の自社優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約6.37%となります。なお3年以上保有を継続した場合に限り、2,000円分が追加となりますので、その場合の配当優待利回りは約10.9%となります。

業績を確認していきます。   
■2017年8月期 売上高 552億円、経常利益 63.5億円 EPS 43.6円

■2018年8月期 売上高 617億円、経常利益 82.0億円 EPS 54.4円    

■2019年8月期 売上高 658億円、経常利益 95.6億円 EPS 76.5円  

■2020年8月期 売上高 433億円、経常利益 16.9億円 EPS▲2.8円 

■2021年8月期 売上高 355億円、経常利益 17.9億円 EPS 10.9円 ce   
□2021年2月中 売上高 169億円、経常利益 4.0億円 EPS 2.4円 ce    

2020年8月期の売上高は前期比34.2%減の433億円、経常利益は同82.2%減の16.9億円で着地しました。主力のカラオケ事業については、上期に消費増税や台風影響を受けたほか、下期の新型肺炎の本格化により1ヵ月半ほど臨時休業したほか、その後も営業時間短縮を余儀なくされました。既存店売上高については、4月・5月の10%弱(▲90%強)を底に戻り歩調ではあるものの、客足の戻りは依然鈍く、期末時点でも50%程度に留まっているような状況です。出退店については、駅前・大型店を中心に31店の新店を開業した一方、小型店やワンカラ等の不採算店を43店を閉店した結果、国内カラオケ店舗数は純減13店の513店となりました。なお、上期末時点でカーブス事業をスピンアウト(※後述)しており、同事業が下期から不算入となるため、売上高で▲140億円、経常利益で▲25億円ほど剥落しています。

 

進行期である2021年8月期の予算については、売上高が17.9%減の355億円、経常利益は5.4%増の17.9億円と減収ながらも増益を見込んでいます。カラオケ事業については、既存店売上高の戻りを相当程度(平時の8割)見込むほか、都心型・大型店を中心に20~30店の新規出店を予定しているほか、好調店舗の増床を進める方針であり、新型肺炎禍で退店した同一ビル内の他社空きテナントの床を借り増して好採算化を推進します。それ以外にもワタミと提携し、郊外ロードサイド店舗の有休部分を利用して「からあげの天才」を併設し、二毛作営業も推進します。なお、進行期についてもカーブス事業の前年上期分業績(売上高▲140億円、経常利益▲25億円)の剥落影響を受けるものの、カラオケ事業単体としては60億円程の増収を予想しています。

 

当社は2018年5月に約237万株(@598円)のPO&自社株売りにより約54億円を調達、カラオケ事業において資金が嵩む建築型の大型物件に投じることとしていましたが、2019年3月にワールドワイドでカーブスを運営する米国本社を逆買収し、185億円を突っ込みました。そしてその後の同年10月にカーブス事業のスピンオフを公表、本年2月末に成就となり、当社既存株主へのカーブス事業株式の現物配当により、当社はカラオケ事業へ集中することとなりました。

 

本件スピンオフの目的は、国内カーブス事業の成長が既に頭打ちになっていることから、米本部買収をテコに欧米を中心とした海外展開を一層進めるための本事業での単独資金調達が表向きの目的とされています。ただ、既述のとおり持株会社としては2018年にPOをしたばかりであり、当初目的であるカラオケ事業に資金を振り向けたい点や、既に成長が鈍化しているカーブス事業に経営陣等のリソースを振り向けたくない点、また190億円にも及ぶ巨額のカーブス商標権資産(とそれに紐づく巨額の負債)をカーブスHDにとっとと押し付けてBSを軽くしたいという裏事情が本当のところかとみられます。

 

本件スピンアウトについては、新型肺炎本格化のギリギリ直前であったため、追加の“手切れ金”が必要になる訳でもなく、予定どおり切り離せたので、タイミングとしては絶妙であったと言えます。その甲斐あって、当社は新型肺炎禍でモロに逆風を受けるカラオケ事業ながらも、足許の自己資本比率は5割強と驚異的な水準を維持させることに成功しています。そのため、今後淘汰が進むカラオケ業界の中でも圧倒的に勝ち残る可能性が高い一社となっており、その財務的余裕もあって配当も4円減配ながらも年8円と期初時点から有配を予想しているような状況です。

 

*参考記事① 2020-01-15 870円(*スピンアウト調整後株価) NT

【2157】コシダカホールディングス/カーブスのスピンオフの評価は難しい。

 

*参考記事② 2018-12-29 613円(*スピンアウト調整後株価) OP

カーブス本部“逆買収”で、去年の公募増資の意義は高い・コシダカホールディングス(2157)。

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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