名実ともに“バリュートラップ銘柄”に変貌か、リテールパートナーズ(8167)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8167】 リテールパートナーズ (東証2部)  NT

現在値 1,251円/100株 PER15.7 PBR0.82 2月配当優待8月配当優待

食品スーパー中堅。山口の丸久と大分のマルミヤ、福岡のマルキョウが統合。
配当金は2月末・8月末の合計20円配当のため、配当利回りは1.60%となります。

リテールパートナーズは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点で単元株を保有

する株主に対して千円分の商品券(JCBギフトカード)を年2回進呈しておりますので、配当

優待利回りは約3.20%となります。

業績をチェックしていきます。
■2016年2月期 売上高 1,159億円、営業利益 44.0億円、EPS 168円 
■2017年2月期 売上高 1,429億円、営業利益 46.2億円、EPS 96.3円
■2018年2月期 売上高 2,289億円、営業利益 55.8億円、EPS 485円 

■2019年2月期 売上高 2,290億円、営業利益 49.4億円、EPS 77.3円  

■2020年2月期 売上高 2,341億円、営業利益 56.0億円、EPS 79.3円 ce 
□2019年8月中 売上高 1,178億円、営業利益 28.0億円、EPS 43.7円 ce 

2019年2月期の売上高は前期比同水準の2,290億円、営業利益は同11.5%減の49.4億円

となり、増益を計画していた期初予算から一転して減益となったほか、売上高・利益ともに

予算未達となりました。当社が地盤とする西日本地域は、豪雨・台風の影響があったことも

あり、主力SMである丸久の既存店売上高が98.8%、マルキョウが同99.4%と前年割したほか、

マルミヤストアも97.4%水準に留まりました。また、全社的に人件費上昇の影響を受けたため

採算性も悪化しました。なお出退店については、丸久が新店1・退店3、マルミヤストアが傘

下DS事業のアタックスマートで新店3となったため、期末の店舗数は1増の258店となり、

実質的な店舗数は前期とほぼ変わらずとなりました。


進行期である2020年2月期の予算に関しては売上高が2.2%増の2,341億円、営業利益は

13.3%増の56.0億円を予定しています。今期の出店計画は、傘下主要3社合計で新店3~4

を見込んでいるものの、退店も数店発生するとみられるため、ネット純増数は殆どないも

のと考えられます。実績期において、大型既存店が多いマルキョウには店舗あたり1億円

以上の改装費用を投じて、青果・惣菜コーナーの拡張や、イートインスペースの新設などを

実施した経緯もあるため、これらの改装後既存店の売上高の持ち直しがアップサイドとして

期待されるものの、足許でも相変わらず人件費の増加傾向が続いていることを考慮すると、

今期2桁の増益を達成するのはかなりハードルが高い印象を受けます。

 

今期はマルキョウ統合後に策定された3年中計の中間年度となっており、最終年度の2021

年2月期に売上高2,500億円(CAGR3%)、経常利益80億円(CAGR10%)を見込んでいます。

出店にによる外部成長については、3年で20店程と控えめとなっているものの、既存店の

店舗改装については3年で60~70店を予定しているため、内部成長重視となっています。

 

が、この新3年中計が走り出した矢先の昨年12月に、北海道地盤の大手地方スーパーの

アークス(9948)と、アレンザHD(3546)を傘下に収めたばかりのバローHD(9956)との資本

務提携を発表しました。業容の大きなアークスやバローと比べると、当社は規模的に

ふた回り程度小さく、新株式発行による資本提携により3社相互で約31億円の株式持合

することとなりましたが、アークスとバローの2社がそれぞれ約2.3%の持分を他の2社に割

当てるのに対して、当社は約6.7%の持ち分を割り当てることとなりました。当社としては

他社のスケールメリットを大きく活かせるものの、体力比で大きな増資を食らってしまった

ばかりか、“負ののれん”の多かったマルキョウを統合して大幅に財務が良化していたにも

拘わらず、時価発行どころか2割強ものディスカウント増資で、この2社に新株を刷ってしま

ったため、実質的には高い上納金を納めて大人の仲間に加えてもらったような形です。

 

そのため、P/L的にもB/S的にもバリュエーションが大きく毀損してしまったため、当社既存

株主への配慮もあってか、3月には発行済株式数の約6.4%にも及ぶ40億円規模の大規模

な自社株買いを発表しており、足元の7月5日までに22億円分の買付けを実行しています。

ただこの自社株買いも、現時点での平均買付単価は@1,211円であり、アークスとバローへ

の割当価格(@1,026円)を大きく上回っていることから、“負ののれん”に起因するバリュー

妙味はどんどん薄くなってしまっている印象を受けます。なお配当金についても、お茶濁し

的に2円増配となる年間20円を予定していますが、本来的には大幅増配などで対応した方

が資本政策的観点からすればナンボかマシだったように思います。

 

*参考記事① 2019-01-03  1,119円 OP

アークス、バローとの資本提携の評価は難しい・リテールパートナーズ(8167)。

 

*参考記事② 2018-06-11 1,760円 OP

経営統合による財務良化で、店舗改装に積極投資・リテールパートナーズ(8167)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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