アークス、バローとの資本提携の評価は難しい・リテールパートナーズ(8167)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8167】 リテールパートナーズ (東証2部) ---

現在値 1,119円/100株 PER12.2 PBR0.71 2月配当優待8月配当優待

食品スーパー中堅。山口の丸久と大分のマルミヤ、福岡のマルキョウが統合。
配当金は2月末・8月末の合計18円配当のため、配当利回りは1.61%となります。

リテールパートナーズは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点で単元株を保有

する株主に対して千円分の商品券(JCBギフトカード)を年2回進呈しておりますので、配当

優待利回りは約3.39%となります。

業績をチェックしていきます。
■2015年2月期 売上高 879億円、営業利益 34.8億円、EPS 95.6円
■2016年2月期 売上高 1,159億円、営業利益 44.0億円、EPS 168円 
■2017年2月期 売上高 1,429億円、営業利益 46.2億円、EPS 96.3円
■2018年2月期 売上高 2,289億円、営業利益 55.8億円、EPS 485円 

■2019年2月期 売上高 2,310億円、営業利益 57.0億円、EPS 91.6円 ce 
□2018年8月中 売上高 1,162億円、営業利益 25.5億円、EPS 48.1円(10/12) 

2018年8月中間期の売上高は前期比0.3%増の1,162億円、営業利益は同4.3%減の25.5

億円となり、増収増益を確保したものの、売上高・利益ともに期初予算未達となりました。

主力SMである丸久とマルキョウの既存店売上高がともに前年比100%程となったものの、

マルミヤストアは98.5%に留まったことが主な要因です。出退店については、丸久で出店

が出店1・退店2、マルミヤストアが出店1のためネット店舗数は純増なしとなったものの、

傘下DS事業のアタックスマートが純増2となったため、総店舗数は257店となりました。


進行期である2019年2月期予算に関しては、期初予算を据え置いており、売上高は0.9%

増の2,310億円、営業利益は2.1%増の57.0億円と微増を予定しています。今期は傘下の

丸久・マルミヤストア・マルキョウの其々で1店ずつ出店する計画でしたが、上期に出店し

ていないマルキョウの新店がまだ“名有り”となっていないため、これで打ち止めの可能性

もありそうです。一方で、大型の既存店が多いマルキョウに関しては、1店舗あたり1億円

以上の改装費用を投じて、青果・惣菜コーナーの拡張や、イートインスペースの新設など

により競争力の向上を図っていく方針です。ただ、下期は当社が地盤とする西日本地域は

豪雨・台風の影響があったため、上期の凹み分も考慮すると予算達成は難しい状況です。

 

今期はマルキョウ統合後に策定された3年中計の初年度となっており、最終年度の2021

年2月期に売上高2,500億円(CAGR3%)、経常利益80億円(CAGR10%)を計画しています。

出店にによる外部成長については、3年で20店程と控えめとなっているものの、既存店の

店舗改装については3年で60~70店を予定しているため、内部成長重視となっています。

これ以外ではシステム統合や、共同購買、物流センターなどのコスト削減や、共同PB品

の開発、電子マネー非対応であるマルキョウへの“マルカカード(ハウスマネーカード)”の

導入などを推進していく方針となっています。

 

が、この新3年中計が走り出した矢先の昨年12月に、北海道地盤の大手地方スーパーの

アークス(9948)と、ダイユー・リックHD(3546)を傘下に収めたばかりのバローHD(9956)との

資本業務提携を発表しました。業容の大きなアークスやバローと比べると、当社は規模的

にふた回り程度小さく、新株式発行による資本提携により3社相互で約31億円の株式持合

することとなりましたが、アークスとバローの2社がそれぞれ2.3%程度の持分を他の2社に

割り当てるのに対して、当社は6.7%程度の持ち分を割り当てすることとなりました。当社と

しては、他2社のスケールメリットを大きく活かせる反面、体力比では大きな増資を食らって

しまい、筆頭株主の座まで他2社に譲ってしまった格好となりました。また当社については

“負ののれん”の多かったマルキョウを統合して大幅に財務が良化していたにも拘わらず、

今回は時価発行増資どころか、2割強ディスカウントのおまけ付きなので、相当のシナジー

が生まれないと株主価値が毀損する不平等条約なので、市場では好感されたようですが、

バリュエーションの質的劣化に注意する必要がありそうです。

 

なお、株主還元については実績期の‘統合記念配当’の2円を普通配に切り替え、今期は

18円配当の据置を予定しています。一応、中計内ではROEの目標値にくわえ、配当性向

の向上や株主優待の制度拡充に言及しているほか、今回の相互持合いによる資本業務

提携で、会社側(というより現経営陣)も今のうちに少しでも時価総額を大きくしておく必要

があると認識したはずですので、株主還元については更に推進されるものとみています。

 

*参考記事① 2018-06-11 1,760円 ---

経営統合による財務良化で、店舗改装に積極投資・リテールパートナーズ(8167)。

 

*参考記事② 2017-12-06 1,409円 ---

マルキョウ統合で巨額の「負ののれん益」が発生、リテールパートナーズ(8167)。

 

 

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