マルキョウ統合で巨額の「負ののれん益」が発生、リテールパートナーズ(8167)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8167】 リテールパートナーズ (東証2部) ---

現在値 1,409円/100株 PER2.68 PBR0.91 2月配当優待8月配当優待

食品スーパー中堅。山口の丸久と大分のマルミヤ、福岡のマルキョウが統合。
配当金は2末・8末の合計18円配当のため、配当利回りは1.28%となります。

リテールパートナーズは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する

株主に対して千円分の商品券を1枚(年2回)進呈しておりますので、配当優待

利回りは約2.69%となります。

業績をチェックしていきます。
■2014年2月期 売上高 848億円、営業利益 36.9億円、EPS 75.5円
■2015年2月期 売上高 879億円、営業利益 34.8億円、EPS 95.6円
■2016年2月期 売上高 1,159億円、営業利益 44.0億円、EPS 168円 
■2017年2月期 売上高 1,429億円、営業利益 46.2億円、EPS 96.3円
■2018年2月期 売上高 2,300億円、営業利益 69.0億円、EPS 524円ce修正 
□2017年8月中 売上高 1,159億円、営業利益 26.7億円、EPS 506円(10/12)

2017年8月中間期の売上高は前年同期比64.5%増の1,159億円、営業利益は同

16.1%増の26.7億円となり、期初予算比では増収減益となりました。売上と利益

の2桁伸長は主にマルキョウ(9866)の統合による影響が殆どであり、期初から

フルに業績に寄与しています。ただ予算からは下振れしており、主力の丸久と

マルミヤストアの上期既存店は、ともに97%程度で落着しました。一方で、相対

的に利益率の低いマルキョウ店舗の売上高が堅調に推移したため、結果的に

利益予算のみ未達になったものとみられます。


2018年2月期通期予算に関しては1Qの時点で修正しており、売上高は前期比

60.9%の2,300億円、営業利益は50.8%増の69億円と従来予想を据え置いている

ものの、最終利益に関しては特別利益(後述)の計上にともない、21→206億円

へ修正しています。展開店舗数は上期末時点で純減1店の257店となり、下期

の出店もゼロとみられるものの、上期同様に約10店程の改装を実施する計画

です。ただ上期の凹み分の持ち越しと、下期は店舗展開エリアでの台風影響

があったとみられるため、「ボトムラインを除いて」予算未達圏と思われます。

 

今期はマルキョウとの経営統合1年目ということもあり、中長期的な数値目標

は明らかにしていないものの、定性的な目的については「中四国・九州エリア

のドミナント」と「規模効果の追求」を掲げており、具体的な動きとしては、仕入

や販促、運営といった部会を組成して、統合シナジーを模索しはじめた様です。

 

ということで、業績的なところは“各社の単純な足し算”程度の見所しかないの

ですが、注目なのは本年3月にマルキョウを傘下に収めた際の交換比率です。

同社が無借金の好財務企業であり、BPS2,824円というディープバリュー状態

だったにもかかわらず、BPS1,000円超の当社がDCFを算定根拠に「1:1」という

驚きの株主交換比率で経営統合を行ったため、今期は実に173億円にのぼる

巨額な負ののれん益を計上することとなりました。これにより当社BPSは1062

→1552円(+490円)、と激増したため、財務面が飛躍的に良化しました。これに

より、更なる同業他社の買収や垂直統合などの投資余力が創出されたので、

統合がひと段落する来期以降、改めてこの「使い道」に期待したいと思います。

 

なお、さすがに旧マルキョウ株主へ配慮したのか、本中間の時点で「経営統合

記念」として配当を2円積み増して、10円を配当しており、現時点で前期比2円

増となる通年18円配当(期末は8円)を予定しております。ただこの増配幅でも

巡航ベースでの配当性向は2割程度とみられるため、還元余力はなお大きく、

今期も業績の展開次第では、20円までは再増配の目があると推察されます。

 

 

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