通期下方修正でも「巻き返し」が前提、アダストリア(2685)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2685】アダストリア(東証1部) ---


現在値 2,485円/100株 PER11.3 PBR2.06 2月配当優待 8月配当

カジュアル衣料店をSC内軸に展開。グローバルワーク等ブランド多数。
配当金は2月8月の年2回で合計75円で、配当利回りは3.02%となります。

アダストリアは株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末の

株主に対して、3,000円分のお買い物券を年1回進呈しておりますので、

配当優待利回りは約4.22%となります。

業績を確認していきます。
■2014年2月期 売上高 1,532億円 営業利益 57.6億円 EPS▲206円 
■2015年2月期 売上高 1,845億円 営業利益 59.8億円 EPS 10.4円 
■2016年2月期 売上高 2,000億円 営業利益 160億円 EPS 188円 

■2017年2月期 売上高 2,036億円 営業利益 149億円 EPS 242円 
■2018年2月期 売上高 2,305億円 営業利益 135億円 EPS 233円 ce修正
□2017年8月中 売上高 1,077億円 営業利益 40.3億円 EPS 107円(9/29) 

2017年8月中間期の売上高は前年同期比10.3%増の1,077億円、営業利益

は同49.9%減の40.3億円と期初計画を下回りました。「niko and」「STUDIO 

CLIP」といった旧トリニティアーツの取扱ブランドが好調に推移したものの、

旧ポイント系の「GLOBAL WORK」が伸び悩んだほか、「LOWRYS FARM」

「LEPSIM」が夏物のMDを“ハズした”ため、値引販売を余儀なくされました。

なおトップラインに関しては既存店が99.9%で推移したことや、2月に子会社

化したアリシアが期初より寄与したため、1割強の増収を達成しています。


なお中間時点で2018年2月期通期予算も減額しており、売上高は前期比

13.2%増の2,305億円(従予:2,330億円)、営業利益は同9.5%減の135億円(従

予:150億円)と一転して減益となる見通しですが、会社側は下期の巻き返し

を大前提として、上期の凹み分しか減額していないため注意が必要です。

足許の11月既存店売上は101.2%と一見順調に見えますが、下期の前提は

103.5%で置いているため、10月の台風影響を鑑みると、なお未達圏です。

 

当社はローリング形式の3年中計を公表しており、2020年3月期に売上高

2,600億円・(国内/既存事業の)営業利益率10%を計画しています。売上高

のうち400億円は海外/新規事業のため、単純計算でこの分を控除すると、

営業利益220億円程度が目標値となります。基本的には投資余力を活用

したMA中心のシナリオになると思われ、本年2月に買収した「PAGEBOY」

のアリシア(年商約100億円)、4月に買収した米Velvet,LLC(年商約45億円、

41億円で買収)のような案件で外部成長を目指すとみられますが、アリシア

で10億円・米Velvet,LLCで33億円の“のれん代”が新たに積み上がってし

まったので、来期から旧トリニティアーツの“のれん代”が薄くなる見込み

はあるものの、年間で23億円ほど営業利益が押し下がる構造となります。

 

また当社は引っ越し貧乏の傾向があり、八重洲三井からグラントウキョウ

への移転は拡張(?)なので仕方ないにせよ、程なくして渋谷のヒカリエに

移転し、引越代に8億円を費やしています。これまで八重洲が本社だった

のは、本店所在地である水戸との交通利便考慮であり、本来のアパレル

集積エリアである神宮・青山・渋谷に再移転するというのは、理屈としては

わからなくもないのですが、渋谷は中期的に賃料上昇可能性が高いので

今後は家賃負担がかなり増加する可能性も考慮する必要があります。


ちなみに株主還元に関しては、既述の多額の“のれん代”の償却前利益

をベースに配当性向30%水準を掲げており、今期は75円(据置)を予想して

いますが、特別利益でやや嵩上げされている部分はあるものの、償却後

のEPSベースでも30%を超える程度であるため、従来の巡航配当金120円

を復元するには要時間とみられるものの、今期も80~85円までは増配の

可能性があると思われます。

*参考記事① ,410円* --
上半期でV字回復で高額のれん代こなす、アダストリア(2685)。

*参考記事② 2014-05-29 1,132円* ---
のれん代償却の重いアダストリア(2685)から優待券がきました!

 

 

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