【7351】グッドパッチ/DX潮流本格化で高成長続く、上場による信用効果を謳歌。 | なちゅの市川綜合研究所

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当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

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【7351】グッドパッチ(東証マザーズ) OP

現在値 2,353円/100株 PER75.3 PBR18.2 8月無配 株主優待なし

企業のアプリやwebサービスを主にデザイン面で支援して開発。独子会社で欧州展開も。


配当基準日は8月・2月ですが、配当実績はなく無配予想を継続しています。
グッドパッチは株主優待制度を導入していません。

業績を確認していきます。 当社は2020年のIPO銘柄となります。

■2017年8月期 売上高 6.4億円、経常利益▲2.5億円、EPS N/A円*非連結
■2018年8月期 売上高 13.7億円、営業利益▲0.1億円、EPS▲3.2円 

■2019年8月期 売上高 16.8億円、営業利益 0.7億円、EPS 8.4円 

■2020年8月期 売上高 21.4億円、営業利益 2.1億円、EPS 31.1円 

■2021年8月期 売上高 25.1億円、営業利益 2.9億円、EPS 31.1円 ce 
□2021年2月中 売上高 12.0億円、営業利益 1.3億円、EPS 13.8円 四e 

2020年8月期の売上高は、前期比27.3%増の21.4億円、営業利益は同2.8倍の2.1億円となり、大幅な増収増益となったものの、6月末の上場時公表時見通しとの比較では減収増益となりました。主力のデザインP事業については、社会的なDX風潮の高まりを受け、月平均PJ単価は前期比3割弱増の5.5百万円まで上伸した一方、年明けからの新型肺炎本格化や案件の大型化により月平均PJ数自体は同微減の22件に留まりました。国内は特に低調だった3Qで底を打ち、4Qに復元したものの、海外(ドイツ)においては厳しいロックダウンを強いられたため、案件が低調だっただけでなく離職者も増加するなど厳しい状況でした。なお、引き合いや受注残高は順調であるため、翌期送りの影響も大きかったものとみられます。


進行期である2021年8月期通期予算については、売上高は前期比20.9%増の25.1億円、営業利益は同36.7%増の2.9億円と2割強の増収増益を見込んでいます。主力のデザインP事業については、引き続きドイツにおいてロックダウン等による経済活動全般の停滞影響を受けるものの、国内においては緊急事態宣言明け以降(要は上場後)に引き合い、今後のデジタルシフトを見据えた受注が飛躍的に増加していることから高い成長を維持する公算です。なお新型肺炎によるマイナス影響をドイツでは向こう半年から1年、国内では同半年程度の需要減を織り込むとともに、人材採用を積極化(中途30人+新卒10人)することによる人件費増も計画しているため、それらをこなした上での大幅増益予算となりますが、会社側は保守的である旨アナウンスしています。

 

当社は本年6月にマザーズに上場したばかりのIPO銘柄であり、この2020年8月期までの5年間の売上高CAGRは約43%とトップライン段階から高成長を続けています。主力のデザインP事業の重要KPIである月平均PJ単価は直近1年で24%増、月平均PJ数は同11%増となっており、これはサントリーといったナショナルクライアントからの継続受注や、リンクアンドモチベーションの主力製品である「MOTIVATION ClOUD」のUX/UIに深く関与し、同製品が大ヒットしたほか、グッドデザイン賞を受賞するなど、トロフィー案件の積上げにより受注が好伸しているものと考えられます。この他、出前館アプリのUX/UIの全面刷新や、ユーザベースのSPEEDAの支援などの実績を重ねています。

 

現時点において中計等の開示はなされていないものの、会社側では当面の売上高CAGR20%~30%を掲げており、向こう数年で売上高100億円の達成を視野に入れています。また、現状300人足らずのデザイナー数を1,000人体制にまで拡充していく方針であり、契約デザイナーからのマージンが収益源となるデザインPF事業の構成比拡大により、更なる高採算化を目論んでいます。特に政権交代以降はデジタル庁設立に代表されるDX潮流が進んでいるため、デザイン/UX専業会社として唯一の上場企業である信用面での優位性を活かし、一層の業容拡大を図ります。この10月には電通とDX事業支援の「X Design Partner」という3ヶ月~半年でデジタル新事業の立ち上げを支援する新サービスをローンチしており、本件自体の業績寄与は限定的であるとみられるものの、日経等で大々的に取り上げられ大きな宣伝効果があったほか、電通のパートナーとしての信用補完が期待されるため、当面の受注には追い風に寄与するとみられます。

 

なお上場時の初値は公募の4倍程となる@2,757円だったものの、公募価格は@690円のため資金調達額は2億円程に留まっており、資金使途は採用費用がメインとなっています。元より知識集約型のモデルであるため特段の資金需要は発生しないものとみられますが、自己資本比率6割強ではあるものの、現預金は10億円ほどしかないため、当分は無配を継続して内部留保される公算が高そうです。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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