【8167】 リテールパートナーズ/東証一部指定替えは案外、通期予算は早くも増額。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8167】 リテールパートナーズ (東証1部)  NT

現在値 1,813円/100株 PER18.7 PBR1.21 2月配当優待 8月配当優待

食品スーパー中堅。山口の丸久と大分のマルミヤ、福岡のマルキョウが統合。
配当金は2月末・8月末の合計20円配当のため、配当利回りは1.21%となります。

リテールパートナーズは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点で単元株を保有する株主に対して千円分の商品券(JCBギフトカード)を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.42%となります。

業績をチェックしていきます。
■2017年2月期 売上高 1,429億円、営業利益 46.2億円、EPS 96.3円
■2018年2月期 売上高 2,289億円、営業利益 55.8億円、EPS 485円 

■2019年2月期 売上高 2,290億円、営業利益 49.4億円、EPS 77.3円  

■2020年2月期 売上高 2,288億円、営業利益 44.6億円、EPS 50.0円  

■2021年2月期 売上高 2,283億円、営業利益 40.0億円、EPS 59.3円 期初ce

■2021年2月期 売上高 2,363億円、営業利益 62.5億円、EPS 96.9円 7/2修正ce
□2020年8月中 売上高 1,139億円、営業利益 18.5億円、EPS 35.3円 ce 

2020年2月期の売上高は前期比微減の2,288億円、営業利益は同9.6%減の44.6億円となり、期初の増収増益予算から一転して、減収減益に沈みました。当社が地盤とする西日本地域は、梅雨明けの遅れや冷夏・暖冬により季節商品が不振だったほか、ドラッグストアによる食品市場本格参入による競合激化の影響を受けました。主力SMである丸久の既存店売上高が98.1%、マルキョウが同99.4%、マルミヤストアも97.8%と軒並み前年割れとなりました。また、全社的に人件費や物流費の上昇の影響を受け、採算性が悪化しました。出退店については、丸久、マルミヤストア、マルキョウ何れも新店1となったため、期末店舗数は3店増の261店となりました。


進行期である2021年2月期の予算は期初時点に公表されており、売上高が微減の2,283億円、営業利益が10.4%減の40.0億円を計画しています。(※注・7月2日に予算増額済/売上高は2,363億円、営業利益:62.5億円)。今期の出店計画は、傘下主要3社合計で新店3~4店と前年並みを見込んでいます。実績期において、大型既存店が多いマルキョウには店舗あたり軒並み2億円以上の改装費用を投じ(原田店、嬉野店、帯山店)、青果・惣菜コーナーの拡張や、イートインスペースの新設などを実施するなどしており、これら改装後既存店の押し上げが期待されるものの、概ね横ばいを予想しています。期初予想では利益が2桁減となっていますが、これはパート時給の増加と新型肺炎の対策費用等を一部織り込んでいるものとみられます。

 

今期はマルキョウ統合後に策定された3年中計の最終年度となっており、本来的には売上高2,500億円(CAGR3%)、経常利益80億円(CAGR10%)が今期の予算としてセットされる必要がありますが、表記のとおりなので、事実上断念した格好となります。未達の理由は主として出店スピードの鈍化であり、中計3年間で20店程を見込んでいましたが、実際はこの半分程度に留まる見通しであるほか、別途閉鎖店舗もいくつかあるため、思うようにトップラインを伸ばせなかったことに由ります。

また店舗改装についても3年で60~70店を予定していたものの、おそらく計画の半分程度に留まる公算です。

 

本中計開示後の2018年12月には、北海道地盤の大手地方スーパーのアークス(9948)と、アレンザHD(3546)を傘下に収めたばかりのバローHD(9956)と資本業務提携を発表しました。新株発行をともなう資本業務提携により3社相互で約31億円の株式持合いすることとなりましたが、アークスとバローの2社がそれぞれ約2.3%の持分を他の2社に割当てるのに対して、両者より規模が二回り小さい当社は約6.7%(現:7.15%)の持ち分を割り当てることになったほか、2割のディスカウント付きだったので、激しく純資産割れした状態だった当社株は大きな毀損を強いられることととなりました。今後、これら2社との商品共同開発や互いの地場商品の融通(北海道のアークスからホッケを回してもらう等)により大きなシナジーを出さないと、三者割当増資で既存したバリュエーションの復元すらなかなか難しいと考えます。

 

他方、昨年3月には発行済株式数の約6.4%にも及ぶ40億円規模の大規模な自社株買いを発表しており、34億円分の買付けを実行しているほか、本年4月には東証一部に指定変更を受けています。この指定替えは案外でしたが、資本業務提携先である他の2社(いずれも東証一部)より社格が劣るため、今後の主導権争いでこれ以上アドバンテージを取られないように“箔”を付ける意向があったものと推察されます。なお配当金についても、東証一部指定記念配分の2円を維持し、年間20円を予定していますが、足許の好調な業績が確認されることから、おそらく年22円くらいまでは増配するものとみています。

 

*参考記事① 2019-07-08 1,251円 NT

名実ともに“バリュートラップ銘柄”に変貌か、リテールパートナーズ(8167)。

 

*参考記事② 2019-01-03  1,119円 OP

アークス、バローとの資本提携の評価は難しい・リテールパートナーズ(8167)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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